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犬・猫・ペットの治療と予防│リリー動物病院

【ちょっとしたお話】 予防・ケア

 ここのところ、ひと月~ふた月くらいの間に、猫の外傷でお見えになる方が増えています。
その外傷で通院なさっているYさんという飼い主さん(この方はご自分の猫が二匹いるのにも拘らず、野良猫6~7匹のお世話をしてみえる奇特な方です!)と先日お話しをした時の事です。

  • 私 「もしかしたら、猫の発情と関係あるのかないのか・・・本当に最近猫ちゃんの外傷がすごく多いんですよね~・・・。」
  • Yさん 「そうだよね~・・・。やっぱ女の子の取り合いをするのかな~・・・??よくよく考えたら、猫の出産って、春が多いから、今の時期は発情の関係で喧嘩が多いんだろうね~・・・。。。」

 ・・・ホントそうだと思います。(まぁ、でもオス猫はやはりテリトリー意識が強いが故に、去勢したオス猫ちゃんも年中喧嘩はしてますが・・。)

 特に外に出す猫ちゃんは喧嘩が多く、そして、よっぽど酷くならない限り、家で症状を出しません。
 飼い主さんが気付かれた時には、痛みと敗血症の一歩手前で「食欲が落ちた。」とか、「身体から悪臭のする膿を出している!」という凛告(りんこく)でお見えになることが殆どです。

 そういう患者さんがお見えになったら、まず膿の培養検査をします。(外注です)
 そして、うちにある抗生物質でどれが効くかを判定します。
 ただ、その結果が出るまでに時間(喧嘩による咬傷時に細菌感染によって出来てしまった膿を少し取って育てて、何が原因菌であるかを調べるのに掛かる時間のことです。)が掛かりますので、取り敢えず広範囲の細菌を叩くことの出来る抗生物質を二種類選んで注射して様子を見ます。

 症状によっては、内服薬でよくなる子もいれば、抗生物質で細菌のコントロールをした後、外科手術をしなくてはならない子もいます。(結構います!)
 病院に連れてこられる飼い主さんは、当たり前の話になりますが、ご自分の猫ちゃんを可愛がってみえる方が殆どなので、その度飼い主さんと私達は「あ~・・・・。こんなに酷くなっちゃってたのね~・・。お口が利けたらもっと早くに分かったのにね~・・・。」と言う会話を交わします。
 数日経つと、原因菌の培養結果とそれに合う抗生物質が割り出されるので、もし合わなければ別の抗生物質をお出しするなり、合っているようでしたら更に同じ抗生物質で数日間様子を見て頂きます。
 あまり参考にならないでしょうが、当院で最近出た細菌は(ダジャレみたいですが。)スタフィロコッカスとG型溶血連鎖球菌、そしてフソバクテリウム属の菌でした。

 以前から、猫の飼い主さんに 「猫は自由が好きだと言う気持ちを尊重して、外に出すことにより、感染るかもしれない病気や喧嘩での外傷もこれもこの子の運命だとして受け止めるか・・・、はたまた猫の自由は奪うけど、安全を取るか・・・。どちからの選択だと思います。」とお話しています。
 もし、前者の方がお見えになられましたら、一日一回は必ず頭の先からシッポの先まで触ってみて、痛がらないか?出血や膿のような物が出ていないかをチェックしてくださいね!

2009年 3月 11日 掲載

今日は、ワクチンで予防できる猫ちゃんの伝染病についてご紹介します。
当院では猫ちゃんのワクチンの種類として、3種と4種を用意しております。
3種で予防できるのは、「猫ウイルス性鼻気管炎・猫カリシウイルス感染症・猫汎白血球減少症」の3種類の伝染病です。
4種の場合、これに「猫白血病」が加わります。いずれの病気も伝染力が強く、感染猫の唾液や鼻水・目ヤニなどから感染します。

それでは、ひとつずつご紹介します。

  • 猫ウイルス性鼻気管炎 

    猫ヘルペスウイルスによっておこる病気で、40℃前後の発熱と激しいクシャミ・咳を示し多量の鼻水や目ヤニがでます。
    また他のウイルスや細菌との混合感染を引き起こして、重い症状となって死亡することもあります。
    特に子猫のときはかかりやすく、高い死亡率を示す場合もあります。

  • 猫カリシウイルス感染症 

    猫ウイルス性鼻気管炎と類似のカゼ様症状を示しますが、進行すると口の中や舌に水疱や潰瘍をつくります。
    一般的に鼻気管炎よりは軽い症状ですが、混合感染する場合が多く、この場合は重い症状となります。

  • 猫汎白血球減少症(別名:猫伝染性腸炎) 

    パルボウイルスによる病気で、高熱、嘔吐、下痢などの症状を示し、血液中の白血球の数が著しく少なくなります。
    脱水症状がつづくと猫は衰弱し、特に子猫では非常に死亡率の高い伝染病です。

  • 猫白血病 

    猫白血病ウイルスに感染すると、はじめは健康そうに見えますが、次第に元気がなくなっていきます。
    免疫力が低下するので、あらゆる感染症に抵抗できない状態になり、口内炎、胃腸炎、鼻炎などがなかなか治らず、またリンパ腫や白血病など致命的な病気を伴い最後は高確率で死んでしまう病気です。
    感染猫の唾液には多くのウイルスが含まれていて、猫同士の毛づくろいなどをつうじて口、鼻から感染します。
    また、お母さんが感染していると、その赤ちゃんにも感染が伝搬することが多い病気です。

猫ちゃんのワクチンは、8週齢くらいから接種が可能です。始めの年だけ、間隔をあけての2回接種が必要で、その次の年からは、1回ずつ1年ごとに追加接種が必要です。
猫ちゃんがこれらの伝染病にかからないように、または症状の発現を最小限にできるように、毎年のワクチン接種をお勧めします。

2009年 2月 13日 掲載

 ますます寒くなってきましたね。

 冬の季節は動物たちも飲水量が減り、膀胱に濃い尿がたまりがちなせいか、膀胱炎や膀胱結石・尿道結石を患ってしまうワンちゃんや猫ちゃんが多いように思います。


次のようなサインが見られたら要注意です…!
お早めにご来院下さい。

  • おしっこの回数が増えた・トイレにいく回数が増えた
  • しようとするがおしっこが出ない
  • おしっこをするときに痛そう

 膀胱炎になると残尿感があるので、トイレの回数が増えます。また、血尿が出たりします。
 尿道に結石がつまってしまった場合は、ワンちゃん・猫ちゃんはおしっこを出したくても出せない状態なのですが、これは放っておいて1日や2日がたつと、膀胱にたまった尿の毒素が急性に腎臓を侵し、次には体全体にまわってしまい、「尿毒症」という危険な状態になってしまいます。
 こうなると元気も食欲もなくなり、嘔吐などの症状が見られます。
 こうなる前に、飼い主さんの普段からの動物たちのおしっこの出具合や状態の観察が大事になります。

 これらの病気のおうちでできる予防法としては、やはり水分をいっぱい摂らせてあげることです。
 なかなかお水を飲まないこの場合は、肉のゆで汁やだし汁をあげたり、普段のゴハンをふやかしてあげたり、スポイトでお水を飲ませてあげるのも工夫のひとつです。
 また、まめにお散歩をしておしっこをがまんさせないようにするのも、予防のひとつです。

2008年 12月 28日 掲載

 まだ残暑がつづく中、みなさんいかがお過ごしですか?
 以前に犬と猫の避妊手術についてのお話を掲載したので、今回は去勢手術についてのお話を、簡単にさせていただきます。

1.手術のタイミングは?

 女の子の避妊同様、性成熟の前の6~9ヶ月前後が望ましいと言われています。
 特に睾丸(精巣)がちゃんと下降せずにお腹の中に残っている、いわゆる「陰睾(*)」の子の場合、精巣が腫瘍化する可能性が普通の子よりも何倍も高くなるので、早めの去勢手術をお勧めしています。

(*)陰睾とは…
 犬と猫の精巣は、生まれた直後はまだお腹の中にあるのですが、生後数ヶ月以内に鼠径部(内股の部分)を通って下降してきて、陰嚢内に収まります。
 「陰睾」はこの下降が正常におこらず、精巣がお腹の中か鼠径部に停留してしまっている状態をいいます。
 この場合精巣は陰嚢内よりも温度が高い環境にさらされるので、正常な機能を営めません。

2.メリットは?

  • 病気にかかりにくくなる
     高齢になるとなりやすい前立腺の病気や、精巣・肛門周辺の腫瘍の予防、会陰ヘルニア(肛門近くの筋肉が弱くなり、そこから直腸や膀胱が筋肉の外にとびだしてきてしまう病気)の予防になります。
  • 問題行動が減る
     マーキング(排尿によるテリトリーの主張)や支配性による攻撃、ほかのオスとの争いといった行動を起こす可能性がぐんと低くなります。
  • メス犬・猫を気にせずにすむ
     メスの子に望まない妊娠をさせてしまう可能性がなくなります。

3.デメリットは?

  • 交配できなくなる
     精巣を除去してしまうため、精子を産生することができなくなり、交配が不可能になります。
  • 太りやすくなることがある
     エネルギーの代謝に変化が起こるためか、女の子の避妊後と同様、太りやすくなる子がいます。

 以上、去勢手術についてお話させていただきました。睾丸をとってしまうこと、麻酔をかけること、いろいろ悩まれることはあると思いますが、やはり病気予防の意味では、手術をお勧めしています。
 交配の予定などよくご家族で話し合って、判断なさってくださいね。

2008年 9月 01日 掲載

 前々回で、「子宮蓄膿症」について触れましたので、今回は主に犬と猫の女の子の避妊手術の意味や、術後のメリットとデメリットについて簡単にご説明しますね。

1.避妊手術の目的

 避妊手術の目的は、永久的な避妊の他、生殖器(卵巣、子宮、膣・・・代表的なのが、子宮蓄膿症)の病気の予防と治療、そして雌性ホルモンが関与していると思われる病気(乳腺腫瘍や肛門嚢腺腫など)の予防にあります。

 避妊手術をする時期は、その動物の種類により性成熟(大人の身体になる時期)も異なるので一概には言えませんが、犬では6~15ヶ月、猫では6~9ヶ月で性成熟を迎えると考えたら、これより早期の時期が理想的だと言われています。(その理由は後述)

 あまりにも早すぎる避妊手術は、麻酔の危険性もありますし、老齢であれば見かけは元気に見えても、循環器系、呼吸器系、その他の病気を考慮して、慎重に行わなければなりません。

2.避妊手術の時期と乳腺腫瘍との関係

 乳腺腫瘍の発症は、避妊手術をする時期と大きく関連しています。

・犬の場合・・・初回発情以前,二回目の発情以前,二回目以降に避妊手術を行った場合の乳腺腫瘍の発症率は、それぞれ 0.05%,8%,26% だと言われています。
 その後発情(年齢)を重ねていく毎に、乳腺腫瘍の発症率は増加しており、2歳半以降になると乳腺腫瘍の予防的効果はかなりの率で落ちるという報告があります。

・猫では同様に、6ヶ月以前,7~12ヶ月齢,13~24ヶ月齢時に避妊手術を行った乳腺腫瘍の発症率は、それぞれ9%,14%,89%であり、24ヶ月以降は殆ど無効であり、避妊していない猫は、避妊している猫の7倍乳腺腫瘍のリスクが高いと言う報告もあります。
(因みに、猫の乳腺腫瘍の80以上は悪性だと言われています。)

 以上の事から、乳腺腫瘍の発症には性ホルモンが大きく関与しているので、性ホルモンの暴露の時期が短ければ短いほど、乳腺腫瘍の発症が抑えられると言えます。

3.子宮蓄膿症に関しては、どんな病気であったかは、前々回の「ちょっとしたお話」を参考にしてくださいね。

4.避妊手術のメリット

 2・3などの病気を予防できる事の他に、発情期のマーキングや発情期の鳴き声(猫)、そして発情期の不安行動(例えば、飼い主さまや同居動物を咬んだりする行為)がなくなったりします。

5.避妊手術のデメリット

 避妊手術によって、食欲抑制効果のあるエストロジェン(性ホルモン)の分泌が止まるので、術後、食欲増進によって肥満になる事があります。

 それと共に卵巣を除去したことにより、生体に必要なカロリーが15~25%減少するため、手術前と同じカロリーの餌を与えていると、やはり肥満になり易いと言われています。

 そして、術後の合併症として、卵巣の取り残しによる発情や子宮蓄膿症、そして尿失禁になる事もあると言われています。

 また、東洋医学的観点から言うと、体の中心線である大事な任脈(にんみゃく)にメスで傷を付けることは、あまり良くないと言われており、高齢になってから、冷え性になる動物も弱冠ですがいるようです。


 以上、避妊手術の概要を説明させて頂きました。
 「病気ではない健康な動物に麻酔をかけて、避妊手術するのはある意味可哀想だ。」と言うお気持ちも「本当にそうだな~・・・。」と、思います。

 ただ、今は20年や30年前とは違い、動物のワクチンやフィラリアの予防が徹底してきて、動物の寿命が長くなった分、上の2や3の病気も増えつつあると思います。
 天寿をまっとうするまでの間、これらの病気にならなければ、これに越した事はないのですけどね・・・・。

 ですので、これらの事を考慮して、未病と言う観点から若いうちに避妊手術をするか、どの動物も上の病気に罹るとは言い切れないから流れに任せるか・・・とても難しい選択だと思いますが、やはりこれらの病気になった動物達を治療させて頂く立場の私としては、最終的には、避妊手術をお薦めしたいと思います。

後は、動物達は口が利けませんので、飼い主さまの判断ですね・・・。。。

2008年 7月 07日 掲載

 暑い季節がやってきました。この時期、草むらで活動的になる要注意な生き物達がいます。
 今回は好奇心旺盛なワンちゃん猫ちゃんには要注意な、そんな生き物達についてご紹介したいと思います。

■マムシ
 頭が三角形で胴が短いのが特徴のヘビです。
 咬まれた場合、すぐ激痛とともに局所がひどく腫れます。皮下出血や嘔吐、呼吸困難をおこすこともあります。
 ちょうど先日、耳を咬まれて治療をしたワンちゃんがいました。
■ヤマカガシ
 全長80センチくらいの日本で一番多い毒ヘビです。
 毒牙で咬まれると血液の凝固障害や皮下出血、臓器不全などがおこります。体をおさえるとウロコの間からも毒液を出します。
■カエル
 耳の後ろにある耳腺から毒液を出すカエルがいます。
 また、ヒキガエルの全身のイボからは「ガマの油」として知られている白い毒液がにじみ出ていて、嘔吐や視力障害、神経障害などを起こします。
 これも先日、散歩中にカエルで遊んでいたあるワンちゃんがお目眼をやられてしまって、飼い主さんがすぐに眼を洗浄したことで難を逃れました。
■ムカデ
 肉食で、触るとすぐに咬む、ゲジゲジした生き物です。
 咬まれたときの主な症状は局所の激しい痛みと腫れで、全身症状が出ることはあまりありません。
 よく外で干している洗濯物についていることがあるので、要注意です‥!

■ニホンイモリ
 別名アカハライモリで、お腹が赤いのが特徴的なイモリです。
 皮膚にフグと同じテトロドトキシンという毒を持ちます。

 これらの生き物達にやられてしまった時は、傷口や眼に毒が入ったと思われる時はすぐに水で洗浄してあげて、そのまま動物病院に連れてきてください。

 もちろんワンちゃん猫ちゃんだけでなく人にとっても要注意な生き物達なので、特に草むらや田んぼ道を歩かれる時には、気をつけてくださいね。

2008/6/21掲載

追伸—
 ヘビにかまれた疑いで来院したワンちゃん猫ちゃんは今年だけで、すでに5匹以上です‥!
 みなさん、気をつけてくださいね。

2008/7/28追加掲載

2008年 6月 21日 掲載

 フィラリアの予防薬は、蚊が吸血中に犬猫の体内に蚊のお腹からフィラリアを入れてから一ヶ月間成長したフィラリアの子虫(まだ成虫になる前の段階で)を駆虫するものです。
 そろそろ涼しくなり蚊の量も減って来ましたが、薬の性質上、一月前にさかのぼって考えて予防しなくてはなりません。
 ですので、蚊が出始めて一ヶ月してから予防を開始し、蚊があまり飛ばなくなってから一ヵ月後に予防を終ることになります。
 かの有名な忠犬ハチ公は、東京大学で解剖した結果、実はフィラリアに侵されて死んだのだと言われています。(これは余談ですね・・・。)

 私の臨床の経験でも、外飼いの犬で、1シーズン(ひと夏)のうちの数ヶ月間、飼い主さんがフィラリアの予防をし忘れただけで、次の年に心臓の聴診をしたら、心臓の音が変わっていた(フィラリア独特の心臓の不整脈)ことが結構あります。

 ご自分のワンコちゃんの心臓がフィラリアに侵される事なく、いつもきれいなままの心臓である為にも、最後まできちんと予防して下さいね。
 これは飼い主さんの責任ですので、どうぞよろしくお願い致します。

2007年 10月 17日 掲載

 毎年この時期(四月下旬の田植えが始まりつつある時期から九月下旬頃まで)になると、除草剤を撒く方がでてきて、お散歩中のわんちゃんが中毒になり、病院に運ばれてくる事があります。
 軽症では、一過性の嘔吐などの消化器症状で済むのですが、重症になると、吐血、そして肝臓障害、腎臓障害など、多臓器に渡る障害を受け、命を落とす子達もいます。

 除草剤は、散布した直後は解らない為、わんちゃんも(そして飼い主さんも)それに気付かずに、食べて(食べさせて)しまいます。
 犬が(猫も)、先の尖った草を食すのは、体が繊維を求めていたり、少し胃などの消化器がむかついたりする時だと言われており、その行為自体は異常ではないのですが、これからの時期は、除草剤による中毒にならない様、くれぐれもお気をつけ下さい。
 そして、草を食べた後、異変を感じたら、直ぐに受診して下さいね。

2006年 8月 30日 掲載

 好奇心旺盛なワンちゃん、猫ちゃん達はお散歩で、たまに蜂や蛇の害に遭うことがあります。
 それらに刺されたり、咬まれた場合、以下の事を参考にして頂ければと思います。

●蜂について
 毒を持つ蜂として一般的なのが、スズメバチ、アシナガバチ、ミツバチ、クマバチです。
 ミツバチとクマバチの針にはトゲがついており、刺さった部分に残りますが、スズメバチとアシナガバチは何度でも刺します。
 ハチの毒はアナフィラキシーショック(急性のアレルギー反応)を起こす事がありますので、一刻も早い治療が必要です。
 応急処置としては、針が残っている場合は抜き取ります。但し、針には毒嚢という透明の袋が付いてますから、摘んで毒を押し込んでしまわないように、爪で弾き飛ばすようにするのが良いと言われています。
 吸引器具があれば、毒を吸出し、水でよく洗い流します。(蜂の毒は水に溶けます。)
 抗ヒスタミン薬やステロイドの軟膏があれば、塗って冷やしておきます。
 応急処置の後は、直ぐ近くの病院へ連れて行ってください。

●ムカデについて
 ムカデは肉食で、触ると直ぐに咬みます。夜行性の為、咬傷はたいてい夜に起こります。
 主な症状は局所の激しい痛みと腫れで、全身症状が起こることはあまりありません。
 抗ヒスタミン薬やステロイドの軟膏を塗り、局所を冷やした後、病院へ連れて行ってください。

●ヘビ(マムシ、ヤマカガシ)について
 マムシに咬まれた場合、直ぐ激痛とともに局所がひどく腫れ始めます。
 腫れは急速に広がり、皮下出血や筋肉の壊死、嘔吐、呼吸困難、DIC(播種性血管内凝固症候群)、腎不全などを惹き起こすこともあります。
 顔面を咬まれた場合は、患部からいつまでも出血していることがあります。
 四肢を咬まれた場合は、命にかかわる事は殆どありませんが、治療が遅れると重症になります。

 マムシ、もしくはそれ以外の毒ヘビに咬まれた場合、患部を縛ったり、切開したり、冷やしたりという処置は、方法を誤ると却って悪化させる場合にもなりかねません。出来るだけ早く、病院に連れて行く事が大切です。

 尚、ヤマカガシなど、体の毒腺から毒液を噴出して、それが目に入ると重度の眼症状が起こることがあるので、その場で直ぐに、大量の水で洗い流してから病院に連れて行ってください。

2006年 8月 23日 掲載

●BCSって何?

「うちの子、太りすぎてない?」
これは診察室で、よく受けるご質問のひとつです。

 確かに厳密に言えば、「この種類はこの体重を超えてはいけない」という基準が決められています。でも実際は、同じ種類の子でも大きな骨格の子から小さな骨格の子まで、ずいぶんと体格に差があります。

 そこで、その子その子の体格にあわせた体重の管理方法として考え出されたのが「BCS (Body Condition Score)」です。

 胸のところの骨(肋骨)や骨盤を触ってみてください。軽く触った程度で骨の形がはっきりとわかればそれがその子のベスト体重です。
「指で探らなければどこに骨があるのかわからない」というのであれば、ダイエットの必要があります。もちろん、ぱっと見ただけで骨が浮いて見えてしまっているのはやせすぎですね。 

 ご家庭でペットの体重を量るのは、なかなか面倒で大変だと思います。でも、肥満は人間でもペットでもいろいろな病気の原因となります。
「BCS」は、触るだけで結果のわかる手軽で信頼性のある検査方法です。日頃からちょっと意識して美しいプロポーションを保っていきましょう!!

2005年 12月 16日 掲載