【ちょっとしたお話】 予防・ケア
今日は腎機能を調べる検査についてのお話です。
前回ちょっとしたお話で紹介した通り、腎臓病は進んでいく病気のため、1度障害を受けるとその機能は回復しません。
腎臓に疾患がないか早目に気付けるよう、以下の検査を定期的に受けることをオススメします(・∀・*)
【血液の検査】
1、BUN(血液尿素窒素)
→栄養源であるたんぱく質の燃えカス=窒素が血液中にどれだけ含まれているかを示すもの。
腎臓でろ過・吸収されるため、腎機能が落ちると上昇します。
2、CRE(クレアチニン)
→クレアチニンは、筋肉が働くためのエネルギー源であるクレアチンが代謝されてできる老廃物です。
BUNと同様、腎機能が落ちると上昇します。
3、電解質(ナトリウム・カリウム・クロール・リンなど)
→腎臓には血液中の電解質を調節する機能もあります。
そのため、腎機能が落ちると、電解質のバランスが崩れてしまうことがあります。
4、血球検査
→腎機能が落ちると、腎臓が生産している造血ホルモンの分泌量が減り、貧血になることがあります。
※初期の腎臓病では、血液検査では異常がみつからない場合があります。
【尿の検査】
初期の腎臓病を発見できる場合があります。
腎臓病になると、低比重尿(薄いオシッコ)になったり、尿中にタンパクが下りたりします。
【エコー検査】
腎臓の表面がデコボコに観察されたり、腎臓自体の萎縮がみられたりします。
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腎臓も、肝臓と同様に症状があらわれにくい臓器のひとつです。
病気を早期に発見するためにも、半年に1回の健康診断を心がけましょう☆
気になることがございましたら、ぜひ一度ご相談ください(*^^*)
文責 動物看護士 鳥居
今日はお家でできる涙やけ対策を紹介します!!
1、涙やけとは?
涙がまぶたから溢れ出てしまう「流涙症」により、犬の目の周りの被毛が濡れて色が変わってしまう事を
涙やけと言います。この涙やけの原因となる流涙症は、被毛の色が変わって見た目が悪くなるだけでなく、
充血したり乾燥したりと目のトラブルにも繋がってしまうと言われています。
タイプ① 分泌される涙の量が多い。
原因→まつ毛や被毛が目に触れる等。
対処法→目に触れそうなまつ毛や被毛は抜く。
タイプ② 涙の排泄に問題がある。
原因→目と鼻を繋いで涙の通り道となる鼻涙管が詰まる。
対処法→麻酔下で鼻涙管が通るように洗浄する。
タイプ③ 目が涙をうまくキープできない。
原因→まぶたにあるマイボーム腺(目の表面に一定量の涙をキープするために必要な油を分泌する腺)が詰まり、涙を目の表面に保持出来なくなる。
対処法→マイボーム腺を温めて油の詰まりを解消する。
または、麻酔下でマイボーム腺の詰まりを絞り出す処置をする。
タイプ④ その他の病気。
原因→(例)眼瞼内反(まぶたが内側に反っている病気)、ドライアイなど。
対処法→原因となる病気を治す。
流涙症のタイプと原因が特定されたら、それぞれに適した治療を行います。
当院でも長年涙やけを患っていたワンちゃんがドライアイの治療のためにマコモ水の点眼を一日二回続けるようになったら治まりました!といううれしい症例をいくつも伺ったことがあります。
1つのパターンに限らず、様々な原因が重なって症状が出る場合も多いため、まずは動物病院で診察を受け、慎重に判断する事がおすすめです。
3、お家でできるデイリーケア♪
●目の周りを拭く…市販の涙やけ用ローションなどに浸したコットンで、目の周りに付いた涙や目ヤニを
拭き取ります。目安は1日1回。
●目を温める…濡らして温めたタオルで、犬の目を覆います。温める時間や頻度は自由ですが、
できるだけ頻繁に行うと効果的。
目の周りを拭き取る方法の他、温めてマイボーム腺の働きを活性化させるなど、毎日行うことで回復につながります。涙やけは仕方のないことと思っている飼い主様も多いかもしれませんが、まずはタイプや原因を探るところから始めてみて下さいo(^▽^)o
引用文献:2013年Wan9月号より
文責:動物看護師 西尾
「尿石症」は頻尿、血尿、排尿困難(尿が出にくい)などの症状を引き起こす病気です。
ひどい子になると完全尿閉(尿が全く出ない)となり、急いで入院や手術をする必要があります。
尿石の種類はいくつかありますが、多くの場合はストラバイト結石やシュウ酸カルシウム結石と診断され、治療後に再発を防ぐために食餌療法が必要となります。
治療・再発防止のためのご飯は結石の材料となるリンやマグネシウムなどの栄養素を制限してあります。
基本的には処方食のみを与え、確実に栄養素の制限が出来るようにしていただく事が理想です。
しかし、「どうしてもオヤツを欲しがって…」という方には、「マグネシウムが多いものは絶対に避けて下さい」とお伝えしています。
尿石症の子に与えてはいけないオヤツ
マグネシウムは 大豆製品、魚介類、海藻、木の実(これは他の理由からもワンちゃんには避けて頂きたいおやつです)に多く含まれています。
例) 海苔 ごま ワカメ きなこ 煮干し 納豆 豆腐 アサリ イクラ ほうれん草 切り干し大根
リンは 魚介類、乳製品に多く含まれています。
例) しらす 煮干し レバー チーズ 卵黄 ハム ササミ 海苔 そら豆 モロヘイヤ
!!!ポイント!!!!!
★ 上記にあげた食べ物以外でも多くの物にマグネシウムが含まれています。
あくまでも基本は処方食だけ!とお考えいただき、やむを得ず他の食べ物を与える場合はどのようなものでも少量のみを心掛けて下さい。
★ 処方食以外の物を与えることで栄養素の制限が弱まるため、悪化・再発のリスクが上がってしまいます。
処方食だけの子よりもさらに検診(尿検査)が重要になりますので、出来れば1~2か月ごとにしっかりと検査を受けてくださいね。
担当:獣医師 水出
花粉症の方には憂うつな季節ですね。花粉症の友人のマスク姿に同情しつつも、私は絶対に!花粉症にはならない!! と決めています。対策は何もしていませんが。
動物にも花粉アレルギー(と思います。)と診断することがありますが、人間のように目のかゆみや鼻水・くしゃみが出るというよりは、かゆみを伴う皮膚炎を起こすことの方が多いです。症例は、ほぼ100%犬で、猫ではまれです。
原因となる花粉はスギ花粉よりも、草むらなどに生えている雑草の花粉であることが多いので、草むらに行かないのが良いのですが、それはまず不可能です。体についた花粉を落とすという意味ではシャンプーも有効ですが、シャンプーの成分である界面活性剤は皮膚を守っている脂質(主にセラミド※下記参照 )を除去してしまうので、やりすぎると逆効果になってしまいます。
お散歩は毎日のことなので、花粉がつきにくいような服を着せたり、草むら後はぬれタオルで体を拭く、くらいが現実的な対策と思われます。
※セラミド・・・皮膚のいちばん表層の角質層の細胞間に存在する脂質で、親水基を持ち保湿に重要な物質であると考えられています。皮 膚の乾燥はアトピー性皮膚炎の悪化要因です。 セラミド配合のサプリメントを飲み始めてから、かゆみ止めのお薬を減量できたワンちゃんもいますので、ぜひお試し下さい。
獣医師 渡辺
皆さん、おうちのワンちゃん猫ちゃんを人間に例えると何歳かご存知ですか?
方法はいくつかありますが、簡易的に最初の1年を20歳、その後は1年ごとに4歳と計算した場合、下の図のようになります。
飼い主さんにとって8歳くらいのワンちゃん猫ちゃんは、まだまだ元気そうに見えますが、人間の年齢に換算してみると、実は50歳近くになります。
人間の場合、会社に勤めていれば、特に病気の徴候がなくとも、年に1回程度の健康診断を受ける方が多いと思います。
では、おうちのワンちゃん猫ちゃんの場合はいかがでしょうか?
上の表のように人間の年齢に当てはめてみると、1年に1回の健康診断では、4年に1回しか健康診断を受けていないことになります。
すこし少ない印象を受けませんか?
当院も加入している『ペットの健康を守る会』では、半年に1回の健康診断をお勧めしております✩
健康状態を把握する、病気を早期に発見するためにも、半年に1回の健康診断を心がけましょう(*^^*)
参考文献 ロイヤルカナン ベッツプランニュース
文責 看護士 鳥居
2015年1月、中国の陝西省にある野生動物の研究施設で飼育されているジャイアントパンダ4頭が「ジステンパー」に感染し、そのうち2頭が残念ながら亡くなってしまったというニュースが飛び込んできました。
この病気は犬ジステンパーウイルスによって感染し、発症すると死亡率が90%以上とも言われる恐ろしい病気です。
混合ワクチンの普及によって、発生率はかなり減ってきているものの、まだまだ恐ろしい病気の一つとしてあげられます。
今回はこの病気のお話をさせていただきます。
原因:犬ジステンパーウイルス
このウイルスは感染した動物のすべての分泌物・排泄物中に含まれます。
主な感染ルートは人間の風邪と同じような「飛沫感染」です。
ウイルスの排泄は通常症状回復後1~2週間と考えられます。
発生:飼い犬、野生動物(キツネ、タヌキ、フェレットなど)
※ 飼い猫は罹らないとされています。
症状:① 倦怠、食欲不振、元気消失、発熱
熱は一度下がったあとに再度上がります。この二回目の発熱の頃から症状が出始めます。
② 目やに、鼻水などの風邪症状 嘔吐、下痢 結膜炎など
③ 神経症状 ( 全身発作、“チューインガムを噛んでいるような”歯がみ 歩行障害 麻痺)
治療:残念ながら、基本的には効果的な治療法はないとされており、対症療法(その時出ている症状をおさえる治療)をしていくことになります。
死亡率は極めて高く、命が助かったとしても症状がじわじわと進行していったり、後遺症が残ったりする恐ろしい病気です。
予防:混合ワクチンを打つことで100%近く感染を防ぐことができます。
しかし、毎年一度追加接種をしていかないと生涯にわたる予防効果は得られないと考えられています。
一年に一度の追加接種を忘れず、恐ろしいウイルスから大切なペットをガードしてあげてくださいね。
いつの間にか、ずいぶん寒くなってきましたね。冷え症の私にとって、冬は地獄の季節です。温泉行きたいなぁ。
皆さんもよくご存知と思いますが、冷えは万病のもとです。冷えると免疫力が低下するので感染症を発症しやすくなり、また胃腸の動きも悪くなるので消化不良や下痢を引き起こします。
動物は毛がフサフサしているので暖かそうに見えますが、平熱が人間より2度以上高いので(鳥さんはなんと平熱が40℃台です)、もしかしたら私たちより「寒いな・・・」と思っているかもしれません。
さて、動物の温め方ですが、動物は暑くなっても自分で服を脱げませんので厚着させるのはオススメしません。動物が寒いと感じたら、いつでも移動できるような暖かい場所を用意するのが一番、理想的です。室温が高いと、もし暑くなった時に苦しいので(動物は主に呼吸を使って体温調節をします)、エアコンに頼るよりもホットマットや湯たんぽの方が適しています。鳥さんやげっ歯類の皆さんは、ペット用の赤外線ライトなど専用の暖房器具が市販されていますので、それを使って下さいね。
電化製品のコードはかじられないように、くれぐれもご用心を。
獣医師 渡辺
昨年の10月、大阪で逃げ出したワンちゃんが人を噛んでしまうという事故がありました。
そのワンちゃんの飼い主様は「狂犬病は絶滅した病気だと思っていた」ことから、国から義務付けられている狂犬病予防ワクチンを未接種のまま飼われていたそうで、書類送検にまで発展してしまいました。
日本ではワンちゃんを飼う際に『狂犬病予防法(昭和25年法律第247号)』に基づいて以下のことが定められています。
① 91日令以上の犬の所有者は、その犬を所有してから30日以内に狂犬病ワクチンを接種、市町村への登録をし、鑑札の交付を受ける。
② 鑑札と注射済票は必ず犬につける。※
③ 犬が死亡した場合や犬の所有者が変更した場合は30日以内に市町村に届け出る。
④ 引っ越しの際には30日以内に引っ越し先の市町村に届け出る。
これを怠った場合の罰則は以下の通り。
① 未登録の犬、狂犬病ワクチン未接種の犬、鑑札・済票を装着していない犬は捕獲・抑留の対象となる。
② 上記の犬の所有者は20万以下の罰金の対象となる。
※鑑札と注射済票は年一回の狂犬病予防ワクチンの接種後に毎年新しく配付されます。
この狂犬病予防法に対する皆様のご理解・ご協力により、1956年以降日本での狂犬病の発生はみられておりません。
では、なぜ国内から撲滅されたウイルスの予防を現在も義務付け続けているのでしょうか。
狂犬病はラブドウイルス科リッサウイルス属狂犬病ウイルスによる人畜共通感染症です。
狂犬病ウイルスに感染したワンちゃんは、まず性格の変化と行動の異常が見られるようになり、症状が進むと“狂躁期”に入ります。この段階では光や音の突然刺激に対する過敏な反応を示し、常に興奮状態となり無目的な徘徊や目に入るものを頻繁に咬みつくようになります。この攻撃性は病気の症状によるものですので、どんな大人しいしつけの行き届いたワンちゃんであっても必ず凶暴化して誰にでも噛みついてウイルスをうつすようになってしまいます。
更に進行すると全身の麻痺症状(四肢の筋肉の麻痺による歩行不能、咀嚼筋の麻痺による下顎下垂と嚥下困難、舌を口外に垂らしながら流涎)が見られるようになり、やがて死を迎えます。
狂犬病ウイルスの致死率はほぼ100%とされるほど非常に高く明確な治療法も確立されておりません。この為、人でも動物でも発症てしまうとほぼ間違いなく死に至ります。
狂犬病は現在もほとんどの国で頻繁に発生しており、WHOの発表では年間およそ5万5千人(うち3万人以上がアジア地域)の人が感染により亡くなっています。
2014年にはお隣の国中国の台湾で猛威を振るっていることなどからも、狂犬病ウイルスによる国内汚染は今もなお常に身近な恐怖と言えるでしょう。
平成19年度における日本の挙検病予防ワクチンの接種率は76%(登録件数からの数字:厚生省調べ)~41%(飼育頭数からの推定:日本獣医師会調べ)となっているそうです。
もし国外からウイルスが入ってきた時に日本国内のワクチン接種率が75%以下であると感染が拡大してしまうとされていますので、現在の狂犬病ウイルスに対する日本の防御は極めて弱いものか、場合によってはほぼ機能していないものと考えられると思います。
狂犬病は過去のものではありません。
日本から撲滅できた今だからこそ、皆様にご理解・ご協力いただき、もう一度ワクチン接種徹底のお手伝いをさせて頂きたいと思います。
担当: 獣医師 水出
今回は、緊急時におけるやけどの応急処置の仕方をご紹介します。
やけどにも、化学薬品でのやけど・凍傷などいろいろありますが今回は熱によるやけどについてお伝えします。
①冷水・保冷剤で患部を冷やします。
やけどの場合、かなりの痛みがある可能性がありますので、咬まれないように注意してください。
②清潔なガーゼで覆います。
患部に繊維がくっついてしまうので、脱脂綿は使わないようにしましょう。
③こすらないようにして動物病院へ行きましょう。
特に広範囲の場合、患部を冷やしたあとは、体温保持に心掛けましょう。
濡れたままで放置すると、低体温を起こす可能性がありますので注意が必要です。
あくまでも緊急時の対応です。
病院にお電話がつながる時は、連絡を取りながら対応して下さいね(*^^*)
文責:看護士 鳥居
今日は皮膚の怪我ややけど、床ずれなどの治療に効果のある「ラップ療法」についてご紹介します。
情報提供をしてくださったゴン太ちゃんの飼い主様、本当にありがとうございました(^^)
<準備するもの>
☆ ガーゼ
☆ ビニール袋 ※排水溝用の穴が開いているものだとより便利です。
☆ はさみ
☆ セロテープ
☆ 紙テープ
<作り方>
1、 ガーゼを患部のサイズに切る。
2、 ビニール袋の中にガーゼを入れて包み、端をセロテープでとめる。
3、 ビニールの表面(患部に当てる面)に穴をあける。
※もともと穴の開いている排水溝用の物だと穴をあける手間がはぶけて便利です。
4、 完成!!
<使い方>
1、傷口を水道水で洗い、表面の死んでしまった皮膚組織や異物を除去する。
2、作ったビニールガーゼを患部に貼る。 ※軟膏・消毒薬等は使わない。
3、紙テープで剥がれないようにとめる。
4、一日一回程度ビニールガーゼを交換する。
<メリット>
☆ 患部とガーゼが直接くっつかないので、従来の方法によるガーゼを剥がす際に起きていた治りかけの患部を傷つけたり、出血等の痛みを伴わない。
☆ 傷口から浸出する液はビニールにあけた穴からガーゼが吸い取ってくれるので汚れない。
☆ 膿等の傷口から浸出する液が無い場合は、サランラップ等のビニールで覆うだけでも治療効果が得られる。
<最後に>
この方法は、2013年12月10日発行の中日新聞で『「軟こう・ガーゼ」での傷治療 湿潤療法と比較を』というタイトルで紹介されていました。(この記事を飼い主様が持って来てくださいました。)
記者の方が実際に自分の肌で実験を行っており、治り具合を記録したところ感染治療用の軟膏とガーゼを使用した場合よりも早く回復していく様子が載っていました。
床ずれ、やけど等でお困りの患者様に、是非試して頂きたいと思います(^^)♪
文責 看護士 西尾