ちょっとしたお話
みなさんは、ワンちゃん・ネコちゃんの災害時の備えは万全ですか?
今回は災害にあった際、避難所などに入る事を想定し、できた方がいいことの一つ、『ワンちゃんの基礎訓練(「お座り」「伏せ」「待て」など)ができている』ことについて詳しくお話しさせていただきますね。
★飼い主さんとの信頼関係ができており、飼い主さんの指示を聞くことにより、精神的に安定するため、慣れない環境化でもパニックになりにくくなります。
★避難所などの集団生活でも行儀よく、周りの方に迷惑をかけることなく生活できます。
野生のワンちゃんは群れの中で暮らします。
そして、群れの中にはリーダーが存在しており、リーダーが他のワンちゃん達に「何をすべきか」を示します。
人と暮らすワンちゃんも同じです。
ワンちゃんはリーダーからの指示がないと混乱してしまいます。
ワンちゃんが人と幸せに暮らすには、人がリーダーとなり、ワンちゃんに「何をすべきか」を示すことが必要です。その第一歩が基礎訓練なのです。
ワンちゃんに飼い主さんがリーダーなのだと認識し、信頼してもらわなければなりません。その条件として…
- 1 しつけ(基礎訓練を含む)をしている
- →指示通りうまく出来た時に、ワンちゃんに自信がつきます。また、うまく出来た時に褒めてくれる飼い主さんを頼もしく感じます。
- 2 態度が一貫している(飼い主さん自身の決めたルールを曲げない)
- →その時の気分で叱ったり褒めたりしないようにしましょう。
- 3 一緒にいるとワンちゃんが楽しいことがある・嬉しいことがある
- →散歩に連れ出してあげる、一緒に遊んであげる、いっぱい触ってあげるなどしましょう。
- 4 常に主導権を握る(ワンちゃんの思い通りに動かない)
- →ワンちゃんが吠えたりひっかいたりしてねだってきた直後におやつをあげたり、遊んだりしない。引っ張る方向に散歩しないなどです。
※おねだりに応える時は、何か指示(「お座り」「伏せ」「待て」など)を出し、それに従ってからにしましょう。
★褒める時・叱る時
●ワンちゃんは、よく言葉ではなく、声のトーンで「叱られているか」、「褒められているか」を判断します。
低く落ち着いた声=リーダー犬の命令・いかくの声
高い声=仔犬の遊びたい声
に聞こえるそうです。
→ワンちゃんが勘違いしないように、指示をする時・叱る時は低く落ち着いた声で、褒める時は高い声で言ってあげましょう。
●ワンちゃんも叱られることは悲しいし、褒められると嬉しいものです。
→叱る時は短く、褒める時は長めにおおげさにしてあげましょう。
●ワンちゃんが悪い事をしても、少し経ってから、叱ってもなぜ叱られているのか分かりません。
→悪い事をしている最中もしくは直後でなければ、叱るのはやめましょう。
●叱る前に「名前を呼ぶ」「呼んで飼い主さんの所にこさせる」ことはしないようにします。
→これらをして叱ると、ワンちゃんは「名前を呼ばれた後に叱られる」「呼ばれて行くと叱られる」と覚えてしまいます。
★同じ指示(「お座り」、「伏せ」など)を繰り返さない
指示を覚え始めた際、指示を出してもすぐ従ってくれない時は、つい何度も繰り返して言いたくなりますが、それはしない方がよいでしょう。
目を合わせてから指示を出しているのであれば、ワンちゃんは指示を理解していない訳ではなく、「やらずにすまそう」としているかもしれないからです。一度の指示で従わない癖をつけてしまうと、のちに指示を出しても、まったく従ってくれなくなる可能性があります。
少し待ち、従う気配が見受けられなければ、リードを引いたり、ワンちゃんの体を押したりして、目的の指示ができるようにしましょう。
それでもできない場合は、一度歩かせるなど他のことをしてリセットし、改めて指示を出し従ってもらうようにしてください。
★訓練は短い時間で楽しんで、何回も繰り返す
ワンちゃんが飽きてしまっては、訓練は進められません。
飼い主さんがイライラしてしまっても、訓練は上手くいきません。
→5~10分くらいの時間でワンちゃんも飼い主さんも楽しみながら、何回も繰り返し訓練しましょう。あきる少し前にやめることが、楽しく続けるコツです。
★ご褒美のおやつ
指の先くらいの大きさのおやつを準備してください。
→今後、訓練で与えることになります。ワンちゃんが味を感じて一口で食べてしまえる大きさにしましょう。「一瞬味がした」くらいのほうが指示と関連付けてワンちゃんは覚えてくれます。
おやつの持ち方は図を参考にしてください。
この指示をワンちゃんが出来るようになると訓練がスムーズに進みます。
ワンちゃんが鳴いて落ち着きがないようであれば、「静かに」と指示し鳴き止むようにしましょう。
ただし、ワンちゃんが嫌なことをすると攻撃的になる性格の場合は、この指示を覚えてもらう際に飼い主さんが咬まれてしまう可能性があります。
無理はせず、ワンちゃんが怒ってしまうようであれば、次の「見て」の指示に進んで下さい。
1 左手でリードをグッ引き、ワンちゃんを引き寄せ、右手でワンちゃんの口をがっちりつかむ。
2 ジッと目を見て、「静かに」と言う。
3 手を離してワンちゃんが静かになったら褒める。
4 また鳴き始めたら、繰り返しおこない、「静かに」と言えば鳴き止むようにする。
目を合わせて、ワンちゃんが指示を聞けるようにしましょう。
「見て」を覚え、一度目を合わせることができるようになったら、次の指示が出せる状態になります。
1 左手でリードをつかみ、右手でおやつを持つ。
2 ワンちゃんの名前を呼び、右手に持ったおやつを飼い主さんの鼻に近づけ、「見て」と言って、目を合わせる。
3 ワンちゃんが目を合わせ、関心が周囲のものから完全に飼い主さんに移っているようであれば、初めてすかさず褒め、おやつを与える。
4 「見て」と言って、先におやつを見せなくても、すぐに関心が飼い主さんで目が合うようになるまで繰り返す。(うまくできたら、その度にたくさん褒めて、おやつを与える)
1 左手でリードをつかみ、右手でおやつを持つ。
2 ワンちゃんが立っている時に「見て」と言い、目を合わせる。
3 右手に持っているおやつをワンちゃんの鼻先よりやや上に持ってくる。(鼻から離れるとワンちゃんがジャンプして取ろうとするため、鼻先ギリギリで、顔が上向きになるようにやや上におやつを持っていく。)
4 ワンちゃんの興味がおやつになったら、「お座り」と言って、ワンちゃんのお尻を軽く床に向けて押す。
5 ワンちゃんがうまく座れたら、すかさず褒め、おやつを与える。
6 「見て」から「お座り」がおやつを先に見せなくても、スムーズにできるまで繰り返す。(うまくできたら、その度にたくさん褒めて、おやつを与える)
1 左手でリードをつかみ、右手でおやつを持つ。
2 ワンちゃんに「見て」と言い、目を合わせる。
3 ワンちゃんが立っているか伏せているようであれば「お座り」をさせる。
4 ワンちゃんが座っている状態になったら、右手のおやつを鼻先に持っていき、興味がおやつになったら、「伏せ」と言い、おやつを少しずつ前足の間を真下に下げる。
床に着きそうになったら、床に水平にワンちゃんとは反対側へ動かす。(その際、ワンちゃんがおやつに合わせて動くようにゆっくり動かす。)
5 ワンちゃんがおやつにつられて床に伏せ、お腹が床に着いたら、すかさず褒め、おやつを与える。
6 「見て」から「伏せ」がおやつを先に見せなくても、スムーズにできるまで繰り返す。(うまくできたら、その度にたくさん褒めて、おやつを与える、)
1 「お座り」か「伏せ」の状態から、「待て」と言って右手の平をワンちゃんの鼻先にかざす。
2 リードを持ったまま、ワンちゃんから一歩離れる。(この際、ワンちゃんが動いてしまったら、手で体を支えてからもう一度「待て」の指示を出す。)
3 3秒数えても静かに動かず待つことができたら、たくさん褒めて、おやつを与える。
4 一歩離れて3秒待つことができるようになったら、だんだん時間を長くして待てるようにする。(うまくできたら、その度にたくさん褒めて、おやつを与える)
5 長い時間待てるようになったら、待つ時間は3秒だか、ワンちゃんからより遠くへ離れていき、リードの長さギリギリまで離れても待てるようにする。(うまくできたら、その度にたくさん褒めて、おやつを与える)
6 リードの長さギリギリまで離れても待てるようになったら、プラス時間も長くして待てるようにする(うまくできたら、その度にたくさん褒めて、おやつを与える)
7 リードの長さギリギリにした状態で長い時間待てるようになったら、部屋の中で「待て」の指示を出し、リードを離してドアを開けるなど部屋から出るそぶりをしても待てるようにする。(うまくできたら、その度にたくさん褒めて、おやつを与える)
8 部屋を出るそぶりをしても、待てるようになったら、部屋の中で「待て」の指示を出し一瞬出ても待てるようにする。(うまくできたら、その度にたくさん褒めて、おやつを与える)
9 部屋から一瞬出ても待てるようになったら、だんだん時間を長くしても待てるようにする。(うまくできたら、その度にたくさん褒めて、おやつを与える)
ご褒美のおやつについて
おやつがもらえる事は、ワンちゃんにとって嬉しい事です。
最初は指示したことに従ってくれたら、褒めるとともに与えるようにし、訓練すると嬉しい事があることを覚えてもらいましょう。
訓練が進むにつれて、ワンちゃん自身が指示に従い、飼い主さんに褒めてもらうことに喜びを感じるようになります。(目が合うだけでもご褒美になるくらいです。)
慣れてきたら、おやつがなくても指示が従えるように訓練していきましょう。(10回に1回のペースでおやつを使わず指示を出し、出来るようになったら9回に1回、8回に1回…とおやつを与える回数を減らしていきましょう。)
ワンちゃんもネコちゃんも、一度基礎訓練の内容ができるようになっても、その後も訓練を続けないと、訓練前に戻ってしまうことがあります。継続して訓練する事が大切です。
今回はここまでです。
・呼べばすぐ来る
・ケージやキャリーなどで落ち着いて過ごせる
については後日また「ちょっとしたお話」に載せさせていただきますね。
担当:動物看護師 柴田由起
みなさんは、ワンちゃん・ネコちゃんの災害時の備えは万全ですか?
今回は災害にあった際、避難所などに入る事を想定して、「人や他のワンちゃん、ネコちゃんなど、周りとうまくコミュニケーションがとれるようになる」ことについて詳しくお話しさせていただきますね。
いざという時に、周りとうまくコミュニケーションがとれるかどうかは、日頃から多くの人、ワンちゃん、ネコちゃんに接しているかどうかがポイントです。
多くの人、
ワンちゃん、
ネコちゃんに接する
→ 慣れる =
怖くない
吠えなくていい
興奮しなくていい
ワンちゃんが周りとうまくコミュニケーションをとるには
特に生後8週齢~12週齢頃のワンちゃんが、周りの人、ワンちゃん、ネコちゃんに一番慣れやすい時期になります。(2週齢~8週齢は母犬や兄弟犬とのコミュニケーションをとる期間です)
もちろん、それ以降でも時間はかかりますが、慣れてくれます。
人に慣れる
お友達、親戚、ご近所の方など老若男女とわず、さまざまな人に抱っこや触ってもらうようにしてください。
~ワンちゃんが緊張しているようであれば~
1飼い主さんが抱っこをするか触ってあげながら、声をかけて緊張をほぐしてください。
2触ってもらう方の目線をワンちゃんに合わせてください。
3触ってもらう方に好きなオモチャやおやつをあげてもらい、好きなこととセットにしてください。
4触ってもらう方に手の甲をそっと近づかせていただき、ワンちゃんが匂いを嗅ぎに来たら、そっとワンちゃんの横腹辺りを触ってあげてください。
(最初から頭を撫ぜようとすると、手がワンちゃんの目の前にくるため、また緊張してしまうことがあるため避けた方がよいでしょう。)
絶対に、緊張がみられる内は、無理に触らないようにしましょう。
ワンちゃんに慣れる
仔犬ちゃんであれば、パピー教室に参加するとよいでしょう。
成犬のワンちゃんと会うのであれば、できれば経験豊富で大人しいワンちゃんがよいでしょう。
始めはリードを付けたままにし、何かあった場合はすぐ引き戻せるようにしておいてください。
1接触しないように注意しながら、ワンちゃんを見せる。
2ワンちゃん達が落ち着いているようであれば、少しずつ近づく。
3接触できるくらいの長さになったら、鼻やお尻の匂いを嗅いで、お互い友好的か確認してください。
※もし、噛むような感じ(歯を剥き出す、鼻にシワがよる、唸るなど)が見られたり、マウンティングするような仕草が見られたら、すぐにワンちゃん同士を引き離す(リードを引く、呼び戻す、抱きかかえるなどをする)ようにしてください。
ネコちゃんに慣れる
見ても興奮しないようになるとよいでしょう。
1接触しないように注意しながら、ネコちゃんを見せる。
2ネコちゃんがいても、大人しくしていられる時におやつを与えたり褒めてあげるように(ワンちゃんはネコちゃんがいる時に大人しくしていればと良い事があると思うようになる)
3ネコちゃんがいても、常に大人しくしていられるまで繰り返す。
ネコちゃんが周りとうまくコミュニケーションをとるには
特に生後2~7週齢頃のネコちゃんが一番慣れやすい時期になります。
もちろん、それ以降でも慣れてくれますが、年を取るにつれ仲間以外を受け入れにくくなりますので、無理せず根気よく続けることが大切です。
練習の前に、怪我をしないよう念のために爪を切っておくとよいでしょう。
人に慣れる
お友達、親戚、ご近所の方など老若男女とわず、さまざまな人に食事を与えてもらったり、おもちゃで遊んでもらったりしてください。
~抱っこについて~
ネコちゃんは、母親から抱かれることはないため、見知らぬ人に抱かれたり、しつこく触られたりすることを本来好みません。
束縛せず、怖い時には遠ざかれるようし、ネコちゃんが自分から近づいて食べたり、遊んだりするようにしましょう。
すり寄ってくるようになれば、なでたり、抱いたりしてもよいでしょう。
※もし、嫌がるような感じ(シッポをパタパタ振る、耳を伏せる、うなるなど)があれば、触るのを止めてください。
ネコちゃんに慣れる
1隣の部屋に他のネコちゃんを入れ、匂いと音でネコちゃんの存在を知ってもらう。また、お互いの体をタオルで乾拭し、そのタオルをお互いのいる部屋に入れる。(匂いの交換は、人の名刺交換と同じです。)
2ネコちゃん達が落ち着いているようであれば、ドアを少し開け、お互いの姿は見れるが行き来は出来ない状況(赤ちゃん用のフェンスをたてる、ダンボールや板などに通れない程度の穴をいくつかあけるなど)を作る。
※最初は威嚇しあったり逃げたりすることもありますが、心配ありません。
3相手の姿を見ても落ち着いていられるようになったら、同じ部屋に入れる。
その際、いきなりネコちゃん達を自由にするのではなく、それぞれのネコちゃんに人が付き添ってある程度の距離が持てるようにする。
4徐々にネコちゃん達が接触できるまで近づける。
ワンちゃんに慣れる
会うワンちゃんは、できれば経験豊富で大人しいワンちゃんがよいでしょう。(念のためにワンちゃんにリードを付けておきましょう。)
1隣の部屋に他のワンちゃんを入れ、匂いと音でワンちゃんの存在を知ってもらう。またワンちゃんの体をタオルで乾拭し、そのタオルをお互いのいる部屋に入れる。
2ネコちゃんとワンちゃんが落ち着いているようであれば、ドアを少し開け、お互いの姿は見れても行き来は出来ない状況(赤ちゃん用のフェンスをたてる、ダンボールや板などに通れない程度の穴をいくつかあけるなど)を作る。
※ネコちゃんが最初威嚇したり逃げたりすることがあっても、心配ありません。
3相手の姿を見ても落ち着いていられるようになったら、同じ部屋に入れる。
その際、いきなりネコちゃんを自由にするのではなく、ネコちゃんに人が付き添い、ある程度の距離が持てるようにする。
~練習する際のポイントは~
★うまく出来なくても絶対に怒らない。
★焦らず時間をかける(とても興奮していたり、とても怖がっている時は一つ前の工程に戻る)
★空腹時などイライラしやすい時に練習しない
★ワンちゃん、ネコちゃんが楽しい内に練習を止める(一回に5分~10分程度)
ワンちゃんもネコちゃんも、一度周りとうまくコミュニケーションがとれるようになったとしても、その後も練習しないと、練習前に戻ってしまうことがあります。継続して練習する事が大切です。
今回はここまでです。
・ワンちゃんは基礎訓練(「お座り」「伏せ」「待て」)ができる
・呼べばすぐ来る
・ケージやキャリーなどで落ち着いて過ごせる
については後日また「ちょっとしたお話」に載せさせていただきますね。
担当:動物看護師 柴田由起
みなさんは、ワンちゃん・ネコちゃんの災害時の備えは万全ですか?
今回はいざという時に備えて、「飼い主さんができること」「ワンちゃん・ネコちゃん自身ができるといいこと」をお話しさていただきますね。
★「飼い主さんができること」★
1 ワクチン接種をしておく
→はぐれた際や避難所において、感染症の流行が心配されるからです。
2 迷子札・鑑札・マイクロチップ » 参照
→室内にいる子でも、飼い主さんの外出中に災害に襲われ、パニックを起こして外に出てしまうかもしれません。はぐれた際にとても有力な情報になります。
3 避妊・去勢手術をする
→はぐれた際や、避難生活などでの、他のワンちゃんやネコちゃんとのトラブル防止になります。
4 いつもいる場所を安全な場所にしておく
→いつもいる場所の周りに、落ちやすいものや倒れやすいものがないようにしましょう。また、室内であれば窓際、室外であればブロック塀から離すようにしましょう。
5 近くの動物愛護管理センターの連絡先、場所を知っておく
→はぐれた際に保護されていないか確認できます。
6 避難場所を決めておく
→まず、避難を考えている場所がペットの受け入れが可能かどうか、最寄りの市役所か役場に確認しましょう。場所が決まったら一度自宅から歩いてみて、安全で最短なルートを確認しましょう。
7 協力しあえる輪を作っておく。
→ご近所の方や、Web友達など
8 避難グッズを準備し、持ち出しやすいようにしておく
避難グッズチェックシート
- □ ドライフード
- 3日以上は準備しておいたほうがよいでしょう
- □ 缶詰、パウチタイプのウエットフード
- 水か少ないときに水分の多いウエットフードが役立ちます
- □ おやつ
- 緊張やストレスを軽減できます
- □ 水
- 飲用、ケガをした際に傷口を洗えます
- □ フードボウル
- かさばらないアウトドア用の、たためるフードボウルがあるとよいでしょう
- □ いつも飲んでいる薬、予防薬
- □ ペットシーツ
- □ 首輪、リード、ハーネス
- 室内につねにいるワンちゃん、ネコちゃんでも、首輪をつけておいた方がいざという時につかまえやすくなります。リードは付ける時間がないこともあるので、予備を用意したほうがよいでしょう。
- □ カッパ
- 雨を防ぐ以外に、寒さ、ケガの予防にもつながります。
- □ ブーツ、くつした
- ガレキが多いが抱っこできない時に役立ちます。
※事前に履いて歩けるように練習をしたほうがよいでしょう。 - □ ケージ、キャリー
- ※避難所にいる場合、長く中に入ることが考えられます。日頃から落ち着いて入っていられるようにしましょう。
- □ おもちゃ
- 緊張やストレスを軽減できます。
あまりスペースがなくでも遊べるものがよいでしょう。 - □ 口輪
- ワンちゃんが避難所に入った際、飼い主さんも周りの方も安心できます。
拾い食いの予防にもなります。 - □ ペットの写真
- はぐれた際、今の特徴が良くわかる写真を準備しましょう。
写真は家族の方と一緒に写っているものや、全身が写っているもの数枚あるとよいでしょう。
※定期的に交換することも忘れずに。成犬・成猫ちゃんであれば、6ヶ月
仔犬・仔猫ちゃんであれば、1ヶ月 - □ ワンちゃん・ネコちゃんの情報を細かく記した手帳
- 食事について、給与回数、給与量、運動、好み、嫌いなこと、病歴、現在投与している薬、合わない薬、処方されている食事、主治医、かかりつけの病院名と連絡先、飼育環境(温度、湿度、明るさ、飼育場所)、注意事項(咬傷事故歴、理由など)その他必要と思われることはなんでも記載してください。
そして、飼い主さんの住所、氏名、連絡先、携帯電話番号も忘れずに記載してください。
手帳には写真を貼っておくと良いでしょう。 - □ ワクチン証明書や鑑札、狂犬病予防注射済票
- □ 黒の油性ペン
- はぐれた際の情報伝達などに役立ちます。
- □ ビニール袋
- □ 応急手当用品
- ガーゼ、包帯、洗浄綿、綿棒、紙テープ、ハサミなど。
- □ 保温用品
- 使い捨てカイロ、毛布など。
- □ タオル
★「ワンちゃん・ネコちゃん自身ができるといいこと」★
- 1 人や他のワンちゃん、ネコちゃんなど、周りとうまくコミュニケーションがとれる
- 2 ワンちゃんは基礎訓練(「お座り」「伏せ」「待て」)ができる
- 3 呼べばすぐ来る
- 4 ケージやキャリーなどで落ち着いて過ごせる
1 はご近所の方や、お友達、お散歩友達にも協力してもらいましょう。
2~4 はご褒美(おやつや遊んであげるなど)とセットにして「いわれた通りにしたら、いいことがある。」ことを覚えてもらうと早く覚えてもらえます。
教え方のコツについては、後日『災害に備えて(その2)』で詳しくご説明させていただきますね
以上のことができず、ペットを受け入れている避難所でも受け入れてもらえなかったことがあったようです。
ワンちゃん、ネコちゃん自身の備えは、日頃の練習なしではできません。
今のうちに少しずつできるようになるといいですね。
※災害に関することでご興味ある方は、NPO法人アナイスもご覧ください。
いざという時に備えて日頃から災害に備えていただき、大切な家族であるワンちゃん、ネコちゃんを守ってあげられるようにしてくださいね。
担当:動物看護師 柴田由起
皆さんのおうちのワンちゃんや猫ちゃんはどんなお耳の子ですか?
立ち耳だったり、垂れ耳だったり、ふわふわしていたり、どの子もとっても可愛いですよね!
このお耳が急にプクっと腫れてしまう「耳血腫」という病気をご存知ですか?
これはワンちゃんで多い病気ですが、猫ちゃんでもかかる病気です。
はっきりと腫れているものの熱を持つ事は無く、少し触るとプヨプヨした感じがあります。
痛みや違和感があり、首を傾けたり、耳を気にしたりします。
なかには元気や食欲がなくなってしまう子もいます。
原因:
はっきりした原因はまだ分かっていません。
アレルギーや感染性外耳炎などで耳を痒がっている子で多く発生します。
痒みによって、耳を掻いたり振ったりしているうちに、耳介の血管が中で切れてしまい、皮膚と軟骨の間に血液の混ざった液体が溜まって膨れた状態になってしまうのです。
痒みのない子でも発症する事があり、自己免疫系の異常が原因とも考えられています。
まれに自然治癒するケースもありますが、ほとんどの場合で耳がクシャクシャに変形したままになってしまいます。
治療:
中に溜まった液を抜き、少量の薬液を注入します。場合によっては麻酔下での外科処置が必要な場合もあります。
また、耳血踵の治療と同時に、お耳の痒みに対する治療も必要となります。
緊急にご来院頂く必要はありませんが、腫れ始めてすぐの、まだ腫れが小さいうちに治療を開始した場合の方が、短期間できれいに治るケースが多いと思います。
おかしいな、と思われたらあまり日を置かずにご来院下さいね。
また、慢性的に痒みのある子は、この病気になる前に痒がらないようにしてあげましょう。
担当:獣医師 水出
10月24日に院内にてファイザー様主催のセミナーが開催されました。
飼い主様にも是非お伝えしたい情報が盛り沢山でしたので、今回はセミナーのまとめを書かせて頂きます。
1 ワクチンって何?
ワクチンとは、病気の原因となる病原体(ウイルスなど)を感染力がなくなるまで弱くしてお注射にしたものです。
2 ワクチンを接種すると何で予防になるの?
注射であえて病気の原因を体の中に入れることによって、その病気が本当に体の中に入った時に撃退できるしくみを体の中に作ります。病気と戦う「予行練習」をするという事です。
3 ワクチンは必ず接種しないといけないの?
狂犬病のワクチンについては法律で定められており、ワクチン接種と同時に地方に犬の登録をすることが義務づけられています。
混合ワクチンについては飼い主様の任意での接種になりますが、断然、接種することをオススメします。
なぜなら混合ワクチンで予防出来る病気はどれも重い症状で、すぐに亡くなってしまう確率が高いものばかりだからです。他のワンちゃんネコちゃんにも伝染させてしまう恐れのある病気もあります。
4 うちの子は室内犬だし、散歩もお外に出ないから大丈夫!
ワンちゃん・ネコちゃんはお外に出なくても、飼い主様はお買いものやお仕事に行かれたりしますよね。
その時に他のワンちゃん・ネコちゃんと触れ合う事があったり、ペットショップに行ったりすると思います。
また、他のワンちゃん・ネコちゃんの通り道を歩いているかもしれません。その時に靴の裏や服などにウイルスを着けて帰って来てしまっている可能性があるのです。
もし、そのままお家のワンちゃん・ネコちゃんを触ってしまったら…と思うと、お家から出ない子でもやっぱりワクチンは必要になるんです。
5 生まれたらにすぐにでもワクチン接種をしたほうがいいの?
生まれたばかりの仔犬ちゃん・仔猫ちゃんは病気から自分で身を守る力がありません。そのため、お母さんから初乳を通して移行抗体という病気をある程度ブロックできる免疫をもらいます。
生まれてからすぐにワクチン接種をしても、仔犬ちゃん・仔猫ちゃんの体はお母さんの抗体に守られているため、ワクチンの効果が期待できません。
だいたい生後50日頃から徐々に抗体が薄れていくと言われていますので、その時期からの接種をオススメします。ワクチン接種が終わるまではなるべく他の動物との接触やお散歩は我慢しましょうね^^
6 もう高齢だし、今までずっとワクチンをうってなかったけど…
高齢のワンちゃん・ネコちゃんの飼い主様で「体の負担になるかもしれないし、今までうたなくても病気をしなかったのだから今更ワクチンと言われても…」という考えをお持ちの方もみえます。
しかし、今更ではありません。人間と同じで、ワンちゃん・ネコちゃんも年を重ねるごとに身体の機能は低下します。
病気を防ぐ力、病気と戦う力も弱くなってしまいます。高齢になった今だからこそ、病気を防ぐためにワクチンの必要性がぐんと上がるんです!
7 ワクチンを接種する時の注意って?
まず、ワクチンをうつために必要なのは健康であることです。病気やケガをしているところにワクチンをうつとかえって体調を崩してしまうこともあります。
また、フィラリアなどの寄生虫が体内にいるとき、妊娠中のワンちゃん・ネコちゃんもなるべく避けた方が良いと言われています。
さらにワクチンによるアレルギーが存在します。ワクチン接種から4~18時間の間で顔が腫れてしまう症状(ムーンフェイス)が見られることがあります。
特に注意したいのがアナフィラキシーという急性のアレルギー症状です。大変稀ですが起きてしまうことがあります。一般的にワクチン接種直後から30分の間に過度の興奮・激しい嘔吐・虚脱・呼吸困難などが見られます。
しかし、発現後の早期処置をすることで大事に至ることはほぼ無いそうです。ワクチン接種後は普段よりもしっかりと様子を見てあげてください。
当院ではアレルギーの出やすい一部の犬種(プードル・ダックスなど)でアレルギー予防の事前注射を実施しています。
ワクチン接種をした日に他のワンちゃん・ネコちゃんとの接触や、激しい運動、遠くへの外出、シャンプーなども体調を崩す原因になるので控えた方が良いでしょう。
以上、ワクチンについてファイザー様のセミナーを元にまとめさせていただきました。
何かご不明な点があればお気軽にご相談ください。
正しい知識と理解をもって大事な家族の健康を守ってあげられると良いですね☆
担当:動物看護師 山下
みなさんは、お家のワンちゃんがお散歩中に何かくわえているのを見つけて、ヒヤッとした経験はありませんか?
すぐに口から出してくれればいいのですが、間違って飲み込んでしまい、中には排泄されずに胃の中で留まっていたり、腸に詰まってしまうケースも少なくありません。
その場合には緊急手術を必要とすることもあります。
また、万が一毒物入りの物だったりすると中毒症状が出る可能性もあります。
実は、拾い食いはとっても危険なのです(>Д<)
では、拾い食いをさせないためにはどうすれば良いでしょうか?
まず実行して頂きたいのが、ワンちゃんが口にしてはいけないもの、危険なものは、ワンちゃんの手の届くところには置かない、ということです。
また監視できないときはサークルの中に入れるようにし、状況によっては、食卓の下など、拾い食いをよくする場所への出入りをさせないようにするのも、ひとつの方法です。
基本ですが、これが1番大事です。
しかし、お散歩中では落ちているものすべて片づける訳にはいきません。
そこで、ワンちゃんに拾い食いの癖がある場合は日頃からトレーニングをしましょう。
☆拾い食いをするといやなことが起こる!!トレーニング
- いつものお散歩コースなどで、犬に先回りして拾い食いしそうな物にタバスコ・からし・ビターアップル(写真右)など 塗付・スプレーしておきます。
- 犬がこれを口にして嫌な思いを経験し、「拾い食いをすると嫌なことが起こる」ということを覚えさせます。 これを繰り返すことにより、必然的に拾い食いすることを避けるようになります。
☆いいものもらえる♪トレーニング
- まず、お気に入りのおやつなどをワンちゃんにみせます。
- ワンちゃんはおやつを欲しがりますが、この時は絶対に与えないようにして、「ダメ」「イケナイ」など掛け声を言います。
- ワンちゃんがおやつをあきらめたところで、別の手からもっとおいしいおやつをあげます。
そうすることで、『あきらめたらもっとおいしいものがもらえるんだ』と学習します。
何度も練習して、実際に拾い食いをしそうになったときに「ダメ」「イケナイ」と声をかけ、拾い食いを未然に防ぎましょう!
※もし危険なものを口にくわえてしまったら無理やり取る事はなるべく避けた方が良いです。
ワンちゃんは自分のくわえているものを人に取られたくないために抵抗した時の勢いで飲み込んでしまうことも考えられますし、噛まれる事もあります。
おやつやおもちゃと交換するようにしましょう。
万が一、誤飲誤食をしてしまった際は、早めに病院にご連絡くださいね。
担当:動物看護師 鳥居
前のちょっとしたお話で、代表的な尿石症の1つである
ストルバイト尿石症についてご紹介しました。
今回はそのストルバイト尿石症と並ぶほどに多いと言われている
シュウ酸カルシウム尿石症についてご紹介します。
シュウ酸カルシウム尿石症について
シュウ酸カルシウム尿石症とは、
ストルバイト尿石症の次に一般的な
膀胱結石または尿道結石です。
<原因>
高たんぱく(特に高動物性たんぱく食)
脂質の摂取量
酸性の尿、飲水量の減少、肥満
体の抵抗力の低下などが考えられます。
<症状>
血尿、頻尿(何度もトイレに行く)、
尿が少量ずつしか出ない(重症化すると尿が全く出ない)、
尿をするときに痛がっている、
元気がない、食欲がないなどの症状がみられます。
何日もそんな状態が続いていたら、命に関わるので
こんな症状が見られたら早めの受診・尿検査をお勧めします。
<治療法>
シュウ酸カルシウムは1度できてしまうと融解させることができないため、
他の尿石に比べて、手術をして尿結石を取り除く場合が多くあります。
軽症の場合は食餌でコントロールすることで悪化させないようにもできます。
水を多く飲ませるようにし、食餌をドライフードから水分を含む
ウェットタイプのものにするとより良いです。
特にビタミンB6、ビタミンE、ビタミンA
リシン(アミノ酸)が多く含まれる食事を与えるようにします。
シュウ酸カルシウム結石をコントロールするには
尿を酸性にする動物性たんぱく質、カルシウム
ナトリウムを制限した食餌に変え、
シュウ酸カルシウムを形成する原因
ビタミンD、ビタミンCの過剰摂取を避けることです。
ストルバイト結石の治療に効果的な
尿を酸性にする食餌では、シュウ酸カルシウム結石を
形成しやすくしてしまう可能性があるため
それぞれの結石症にあった食餌を与えてください。
★受診の際可能であれば尿をお持ちください。
担当:動物看護師 横田
今回は、ワンちゃんの「室内排泄への切り替え方」についてです。
時々、「うちの子は外でしかトイレをしなくて、外に出れるまで我慢しています。室内でもできるようになるといいのですが…。」という飼い主様の声を聞きます。
特にワンちゃんが高齢になってお散歩に行けなくなったり、介護が必要になってくると、どんな悪天候の日も排泄のために外まで連れて行って、トイレを介助するのは大変です。
かといって今までずっとお外でしか排泄してこなかったワンちゃんに、「ここでしてもいいよ。」と室内のトイレを教えようとしても、なかなかうまくはいきません。
今回は、そんな時の切り替え方法についてご紹介します。
方法1.掛け声を使いながら、徐々に外から室内へ切り替える
- 外でトイレをする時に、「ワンツー、ワンツー」など決まった掛け声をかける。
↓ - 外で散歩中にトイレをしそうになったら、トイレシーツをひいて同じ掛け声をかける。
そこでトイレができたら、いっぱい褒めてあげる。
↓ - 散歩に出かける前に玄関口にシーツを広げ、同じ掛け声をかける。
そこでトイレができたら、いっぱい褒めてあげる。
…といった具合に、徐々に室内に切り替えていく方法。
方法2.トイレシーツの上に外の環境を作る
外の環境に似た状態を室内に再現し、ワンちゃんがトイレに行きたそうな様子を見せたら、そこへ連れていく。うまくできたらしっかり褒めて、室内でするといいことがあると覚えさせる。
例:トイレシーツの上に人工芝や、草を入れた植木鉢を置く。
なかなか根気がいると思いますが、あせらず、試してみてください。
大事なのは、うまくできた時にいっぱい褒めてあげることです(^^)
担当:獣医師 加藤
前回のちょっとしたお話にも載せさせていただきましたが、シャンプーをすることにより、
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細菌・ダニ・ノミ・真菌(カビ)の繁殖を予防が期待できます。
※薬用成分の入ったもの(ラベルに抗菌作用、抗真菌作用となっている物)は特に期待できます。その他にも
- 皮膚の新陳代謝を高め、毛の発育が良くなる、皮脂の分泌を正常に保てるようになる。
- 血行が良くなり、皮膚と毛が良い状態が保てるようになる。
- 通気性を良くし、蒸れることを防ぐ。
- 体臭を防ぐ。
- 汚れを取る。
また、薬用成分の入ったものになると
- 炎症を和らげる。(痒みのあるワンちゃんに適応。)
- 保湿する。(乾燥しやすsいワンちゃんに適応。)
- 皮膚の表面をバリアしアレルギーの元の侵入を防ぐ。(アトピー性皮膚炎のワンちゃんに適応。)
- 皮膚のサイクル(ターンオーバー)が速い場合、正常にする。(フケが多いワンちゃんに適応。)
などメリットがいっぱいあります。
※基本的に薬用シャンプーは診察させて頂いたうえで、こちらから適したシャンプーをお伝えしています。
では、実際にお家でシャンプーをして頂くために、なにを準備したほうがよいか、どうシャンプーをしたほうがよいか、お伝えしますね。
準備するもの
- 必要な物
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- ブラシ » 参照
- カット綿
- 桶
- 大きく軟らかいスポンジ
- タイマーもしくは時計
- タオル
- ドライヤー
- シャンプー…
ワンちゃんの皮膚は、人ではPH4.5~6.5の弱酸性なのに対し、PH7.0~と弱アルカリ性です。
また、皮膚が人間より薄くデリケートなため、シャンプーはワンちゃん専用のシャンプーを使用してください。
- あるとよい物
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- コンディショナー
- イヤークリーナー
洗い方
1.ブラッシングをする
しっかり抜け毛を取り、毛のもつれを無くしてください。
毛の流れに沿って何度かブラッシングした後に、毛に逆らってブラッシングをしてください。
2.耳の中にカット綿を詰める
カット綿で耳の穴にふたをして、耳の奥に水分が入るのを防ぎます。
3.ぬるま湯で濡らす
カット綿で耳の穴にふたをして、耳の奥に水分が入るのを防ぎます。
ぬるま湯の温度は35度前後です。
※皮膚病になっているワンちゃんの場合ぬるま湯の温度は30度以下にしてください。(プールの水くらいです。)冷たいように思われるかもしれませんが、30度以上ですと、乾燥や炎症といった症状を起こしてしまうかもしれないからです。
特に冬の寒い時期は、浴室やお風呂上りの部屋を暖めておくとよいでしょう。
- シャワーヘッドをワンちゃんの体に押し当てて濡らすと、飛び散らず、音も静かなのでワンちゃんの緊張を軽減できます。
- お顔が濡れるのを嫌がるワンちゃんが多いので、お尻→背中→お顔と濡らしていくと、慣れて嫌がることを軽減できます。
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お顔を濡らすときは、あごを手で支えてお顔を軽く持ち上げながら、おでこにシャワーヘッドを当てると、目・耳・鼻・口の中にぬるま湯が入りづらいです。
※うまくいかない場合は、手でぬるま湯をすくいかけるか、スポンジを使って少しずつ濡らしてください。
4.シャンプーで洗う
シャンプーを全身につけて、指の腹を使って地肌をマッサージするように洗うことにより、汚れを浮かせ、薬用成分を浸透させます。
使うシャンプーの量は?
短毛種:1㎏当たり2ml
長毛種:1㎏当たり3ml
※ボトルシャンプーの1プッシュが1回5mlです。
直接シャンプーを体につけるのではなく、あらかじめ桶の中で少し薄め、手で泡立たせから体につけるとシャンプーの効果も上がり、全身につけるのもスムーズになります。
お尻→背中→お顔の順にシャンプーをつけてください。
皮膚病のワンちゃんは → 1番に症状がでているところを洗い、全身にシャンプーがいきわたってから、10分はシャンプーを流さないでください。(この10分が薬用成分を体に浸透させ、効果を発揮します。)
耳の内側や付け根、指間と肉球の間、脇、内腿の洗い忘れに注意してください。
シャンプーの最後に肛門腺(ワンちゃんなどにある匂い袋です。)を絞ると、絞った後にすぐ流せるので匂いが残りません。
5.ぬるま湯でよくすすぐ
シャンプーをしっかり流しましょう。
- すすぐ順番は、「濡らす」、「シャンプーで洗う」とは逆で、お顔→背中→お尻です。
- 耳周り、指間と肉球の間、脇、内腿、お尻周りは特にシャンプーが残りやすいので注意しましょう。
※シャンプーが残ってしまうと、皮膚病の原因になることもあります。
6.(コンディショナーをつける。)
毛を保護し、皮膚の乾燥を防ぎます。
7.毛を乾かす
タオルやドライヤーを使い、よく乾かしましょう。
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ドライヤーは近づけすぎに注意してください。
皮膚病のワンちゃんは → タオルでこすらないこと、ドライヤーを使う場合は、冷風で体から離し、短い時間で使うようにしてください。(炎症を起こしてしまうかもしれないからです。)
8.耳に詰めたカット綿をとる。
9.(耳のケア) » 参照
無理しない程度に掃除してあげてください。無理しすぎるとかえって炎症や傷の原因になることがあります。
きちんとシャンプーするのは、とても大変ですが、頑張って一度試してみてください。
また、シャンプーのことで、気になる点がございましたら、お気軽にご相談くださいね。
担当:動物看護師 厚味
前々回の「夏から秋の皮膚病のお話」でもお話させて頂きましたが、日本の夏は高温・多湿で細菌や真菌(カビ)が増えやすいため、この時期は皮膚病になりやすいです。
また、ワンちゃんならではの特徴もあり、ヒトよりも皮膚病になりやすいのです。
- 全身が毛で覆われているため、蒸れやすい。
- 人よりも皮膚が薄く敏感肌。
- 純血種の洋犬の場合、乾燥し寒い土地が原産の犬種(ダックス→ドイツ原産、プードル→フランス原産、ゴールデンレトリバー→イギリス原産など)が多いため、日本の風土に合わない場合がある。
では、飼い主様がすぐにお家でできることは何があるでしょう。
- 室内にいる場合は室温と湿度を気にかける。(適度なのは、気温22~25度、湿度40~60%といわれています。ただ、人が快適に過ごせる環境なら問題ないようです。)
- いつもいる犬小屋やゲージ、使っているタオル、食器などを常に清潔に保つ。
- 定期的にシャンプーをする。(次回の「ちょっとしたお話」で詳しくお話させてください。)
- 定期的にブラッシングをする。(後で詳しくご説明します。)
※これらをすることで、皮膚病の原因となる、細菌・ダニ・ノミ・真菌(カビ)が増えないようにできます! - 体を触り異常(脱毛、赤み、ただれ、フケ、腫れなど)がないかをチェックする。
- 行動に痒みのサイン(舐める、咬む、吸う、引っかく)が出ていないか気にかける。
※もし、皮膚病になってしまっても、早く見つけて軽症のうちに治してあげられるようにしましょう。
また、耳の中も皮膚の一部です。そのため、皮膚病になりやすいワンちゃんは耳の病気にもなりやすいので、無理をしない程度にケア(後で詳しくご説明します。)をしましょう。
その際、よごれはひどくないか、赤み・腫れはないか、痒がっていないか、匂いがひどくないかを気にかけてください。
<コツ>
- 被毛の長さや質によって、使うブラシを変えましょう。
- 毛の根元から(特に長毛犬種の場合は、毛を持ち上げて少しずつ)、ブラッシングしてあげましょう。
- スリッカーブラシ・ピンブラシなどは、力を入れてしまうと皮膚を傷つける場合もありますので、やさしくブラッシングしましょう。(スリッカーブラシは鉛筆を持つような持ち方をして、毛の流れにそって平行にブラッシングしましょう。)
- ワンちゃんは顔周りが敏感なので、顔から遠い部分から始めましょう。(足先やしっぽを触られるのを嫌うワンちゃんもいるので、最初は避けてワンちゃんの様子を見ながら
ブラッシングするといいでしょう。) - 毛玉や毛のもつれがあっても、強引に力を入れず、ひっかかったらその部分を持って、ひっぱらないように優しくブラッシングしていきましょう
- 必ずワンちゃんに使う前に、力の入れ具合をご自身の手などで試してから使いましょう。
<主な種類>
すべてのワンちゃんが使えるブラシですが、特に毛の根本にフワフワした毛が生えているワンちゃんに最適なブラシです。
主に長毛のワンちゃんにお勧めです。
ブラシの材料が猪毛、豚毛などでできていて、短毛のワンちゃんにお勧めです。また、マッサージ効果に優れていますし、ツヤもでます。
ブラッシングに慣れていないワンちゃんにもお勧めです。
主に長毛のワンちゃんに使い、目が粗いものと細いものがあります。
- ・イヤークリーナー 犬猫用(当院でも購入ができます。)
- ・カット綿
- 耳の外側のケアから始めます。
カット綿にイヤークリーナーを染み込ませたものを、しばらく耳垢に当ててふやかしてから取るようにしましょう。 - 耳の中のケアに移ります。
カット綿にイヤークリーナーを染み込ませたものを、指の届く範囲で拭き取ります。
頑張りすぎに注意しましょう。知らないうちに耳の中を傷つけていたり、よごれをさらに奥に押しこんでいる場合があります。
※綿棒について
お家では、じっとしてもらうのは難しいことが多いです。
やはり、綿棒を使って掃除することによって、動いたときが危ないですし、よごれをさらに奥に押しこんでしまうかもしれません。
お家では無理をして使用しなくても良い場合もあります。
担当:動物看護師 厚味