ちょっとしたお話
涼やかな秋風が吹くようになり、お散歩が気持ちのいい季節になってきましたね。
ただ、この時期のお散歩にはハチとヘビに注意が必要です。当院でもここ最近、マムシに咬まれてしまったワンちゃんがご来院されました。
今回はヘビの咬傷、ハチの刺傷についてお話します。
ヘビの活動期間は4月から10月と言われていて、秋は特に冬眠前で活動も活発になります。
草むらや薮、水辺周辺の草地、土の穴、木の根元、石垣の隙間などに潜んでいます。
ハチの活動期間は4月から11月と言われていますが、6月後半から10月の夏季シーズンは巣作り・繁殖期になるため縄張り意識が強く攻撃性も高くなります。
樹木や庭木、住宅の軒下やガレージなどに巣を作ります。
上記を読んでいただければもうお分かりかと思いますが、今の時期は最もヘビやハチが活発に活動する期間にあたるのです。
では実際に咬まれたり、刺されてしまった場合どのような症状が出てくるのでしょうか?その際の応急処置の方法もお伝えします。
ヘビ咬傷・ハチ刺傷どちらとも攻撃をされた際にキャンと鳴いたり、患部が腫れ上がったり、食欲・元気が低下します。
最悪の場合、アナフィラキシーショックを起こし死に至ります。
※アナフィラキシーショック
外から摂取または侵入した原因物質に体が激しく反応し、全身的に過剰なアレルギー反応が起こる状態のことを言います。
呼吸困難、意識の低下、目や唇などの腫れ、下痢・嘔吐などの症状が現れます。
応急処置
【ヘビ】咬まれた部分を流水で洗い流してください。傷口に触るときは、毒に触れないようゴム手袋かビニール袋を使用すると安心です。
動物さんをできるだけ動かさず安静にし、すぐに動物病院での診察を受けてください。
【ハチ】針が残っていたら、針を押し込まないように注意しながら抜いてください。できればピンセットや毛抜きで抜くのがよいです。
指で引き抜こうとすると、針の根元に付いている毒の袋をつぶしてしまい毒液が体内に侵入してしまう恐れがあります。
嫌がって抵抗してしまう場合は無理に行う必要はありません。動物病院で抜いてもらいましょう。
針を抜いた後は、刺された部分から毒を絞り出すようにして流水で洗い流してください。ハチの毒はタンパク質でできていて、水に溶けやすいので大量の水で洗い流すのが効果的です。動物さんをできるだけ動かさず安静にし、すぐに動物病院での診察を受けましょう。
※下の画像はマムシに咬まれてしまったワンちゃんの画像です。咬まれた場所が大きく腫れあがっています。(BuzzFeedより引用)
動物さんが活発に動いてしまうと毒が早く体内に回ってしまう可能性があります。咬まれたり、刺された後は安静を保ちすぐに動物病院を受診することが重要です。
またヘビやハチが潜んでいそうな場所には近寄らないようにしましょう。万が一遭遇してしまったときは、動物さんを落ち着かせ刺激をしないようにして下さい。こちらから刺激を与えなければ、向こうから攻撃してくることはまずありません。
余談ですが、ハチは色を黒と白で判断していて黒色に反応して狙ってくる習性があります。
明度が低い色(ネイビーや茶、青など)もハチには黒色にみえますので、お散歩の際は白色や明度が高い色(ピンク、水色、黄色など)の服を着ていくのも対策の一つになるかもしれません。
対策と応急処置を頭に入れて大切な動物さんを守りましょう。
文責:清田
暑く雨が多いこの季節、被毛が湿っていて、細菌が繁殖しやすいことが原因で皮膚の疾患が増えてきます。
今回はその中の1つでもある、わんちゃんの外耳炎についてお話をします。
耳は、「外耳(がいじ)」「中耳(ちゅうじ)」「内耳(ないじ)」にわけられ、
耳の穴から鼓膜までのあいだを耳道といい、ここに炎症が起こることを外耳炎と言います。
外耳炎の原因
・細菌や真菌(カビ)などの繁殖
・耳ダニなどの寄生虫
・アトピーやアレルギーなどの過敏症
・異物混入や腫瘍などによる炎症
・密集した耳の毛
・水遊びやシャンプーによる外耳道への水の侵入
外耳炎の主な症状
・耳をかく回数が多い ・耳からきつい臭いがする ・頭を振る
・耳をこすりつける ・耳垢が増える
・耳の穴周囲が赤い ・耳ダレが出る など
いつもより頻繁に耳をかき、その時間が長い場合は、外耳炎になっている可能性があります。
また、耳垢が増える、耳から臭いがする、耳の穴周囲が赤く腫れることも、症状のひとつです。
状態が進むと、頭をひっきりなしに振ったり、耳の穴周囲に膿がこびりついていたりする様子もみられます。
かゆみがひどい、痛みがある場合は耳を触られるのも嫌がります。
〈一般的な特徴〉
●細菌感染による外耳炎・・・・黄色い耳垢やドロッとした耳垢。膿んだにおい。
●真菌感染による外耳炎・・・・茶色い耳垢。独特のくさいにおい。
●耳ダニによる外耳炎・・・・大量の黒い耳垢。激しいかゆみ。
〈外耳炎になりやすいわんちゃんの特徴〉
アレルギー性皮膚炎の子、垂れ耳の犬種(コッカー・スパニエル、レトリーバー、ダックスフンドなど)、
外耳道に毛が密に生えている犬種(テリア、プードルなど)がかかりやすいです。
外耳炎の予防
定期的な検診
病院で定期的に診てもらうことで、早期に炎症を見つけて重症化しないようにするのも1つの方法です。
外耳炎は再発することも多いため、梅雨の時期などはこまめにお耳をチェックするようにしましょう。
お耳の掃除
愛犬の耳をチェックして、耳に汚れや赤み、悪臭がなければ、特に耳掃除をする必要はありませんが、
外耳炎になりやすいわんちゃんや垂れ耳の犬種は、耳の状態をこまめにチェックしましょう。
耳垢の量が少なく、耳の中に赤みや痒みがなければ、それは自然と出てきた耳垢なので、コットンなどで優しく拭き取ってあげましょう。耳掃除のしすぎは皮膚のバリア機能や自浄作用に悪影響を及ぼすため要注意。
また、外耳炎を引き起こしやすくなる要因の中には、日常の生活の中で対策できるものもあります。
耳の毛が密に生えているわんちゃんは、
・トリミングなどで定期的に毛を抜くこと
・シャンプーや水遊びで耳に水が入らないようにすること
などです。
また、高温多湿な環境でも外耳炎は起こりやすくなるため、空調など環境を整えることも大切です。
外耳炎はどのわんちゃんでも起こりうる疾患で、基本的には早期治療で治ることがほとんどです。
身近な病気ですが、放っておくと中耳炎、内耳炎などを引き起こし、
治療も大変になり、わんちゃんにとってとても苦痛を伴う状態になることがあります。
日ごろからお耳のチェックなどを行い、早期発見、早期治療を心がけましょう(^^)
文責:看護師 齋藤(ペット保険のFPCより引用)
前半は歯みがきの重要性についてお伝えしました。(詳しくは一つ前の投稿をご覧ください。)
後半では、基本的な歯みがきの方法をご紹介します。
◎基本の歯みがきの仕方(頻度、タイミング、体勢)
歯みがきの習慣をつけるためには、1日1回できると理想的です。どうしても難しければ、2日間は空けて頂いても大丈夫です。
先ほどお話したように、ワンちゃんは3~5日で歯垢が歯石に変化してしまいます。歯垢が歯石になってしまうと歯みがきでは除去できないため、その前に除去できるようにしましょう。
歯みがきを行うタイミングは、できれば食後が望ましいです。ですが、絶対に食後にやらなければダメ!という決まりはありません。飼い主さんがリラックスして歯みがきをしてあげられる時間のあるときがおススメです。
歯みがきの体勢はワンちゃんが落ち着く、気に入ってる体勢ならどんなものでも構いません。ただし仰向けは心臓への負担が大きいので、心疾患がある場合は避けましょう。
◎最後に
日本では、3歳以上の成犬の約80%が歯周病もしくは歯周病予備軍といわれています。さらに小型犬に限っていえば、1歳までのワンちゃんの約90%に歯周病がみられるそうです。 歯周病はお口の中だけの病気ではなく、全身に影響を及ぼすとても怖い病気です。 愛犬が末長く健康に過ごすためには、歯の健康はかかせません。毎日のデンタルケアで愛犬の命を守りましょう!!
※当院にはより詳しくデンタルケアについてまとめた資料がございます。ご希望の飼い主様は受付までお声掛けください。
文責:清田(いぬのきもち、ねこのきもち特別編集 健康サポートより引用)
今回はワンちゃんのデンタルケアについてお話しようと思います。前半と後半に分けてお伝えします(^^)
まずは前半!歯みがきの重要性についてです!!
◎どうして歯みがきをしないといけないの?
ワンちゃんは人と違って歯石がつきやすいからです。本来、犬の歯は虫歯になりにくいと言われています。それは犬の口の中はアルカリ性なので細菌が繁殖しにくいこと、デンプンを糖に分解する酵素がないため、口の中に糖があまり存在しないことから虫歯になりにくいと言われています。
それとは逆に、人よりも歯垢が歯石になりやすい口内環境になっています。人では、歯垢が歯石になるのに数日~約25日かかりますがわんちゃんの場合は、なんと人の5倍の速さの3~5日で歯垢が歯石に変化してしまうのです。
では、ついてしまった歯石を放置しておくとどのようなことが起こるのでしょうか?
歯石を放置しておくと、歯肉炎や歯槽膿漏を起こして歯周病になってしまいます。さらに進行すると、歯周病菌が血液中に入り込み心臓や腎臓に到達し、そこで炎症を引き起こします。
歯周病菌による炎症は慢性心不全および慢性腎不全の原因の一つとなり得ると言われています。慢性心不全や慢性腎不全は、命に関わるとても怖い病気です。歯周病を放置しておくと、全身に影響してしまう可能性があることを頭に入れておきましょう。
実際に心臓疾患である僧帽弁閉鎖不全症を発症しているワンちゃんの血液から歯周病菌と同様の菌が見つかった例や、肺炎を繰り返していたワンちゃんが歯周病を治療したことで症状が改善した例、ほかにも糖尿病や貧血、腎臓や肝臓の疾患などとの関連が報告されている事例もあります。
上記の例から、歯周病はお口の中の病気だけでなく体全体に影響する病気を引き起こす怖い病気です。このような病気から愛犬を守るためにも、デンタルケアの習慣は大切だと考えられます。
歯みがきの大切さをご理解いただけましたでしょうか?後半は歯みがきの方法についてお伝えしたいと思います(*^^*)
文責:清田(いぬのきもち、ねこのきもち特別編集 健康サポートより引用)
先日、日本で続けて大きな地震があり、愛知県も大きな揺れを観測しました。
皆さんはご無事でしたでしょうか。
丁度今から10年前、2011年東日本大震災当時、避難指示区域で飼われていた犬猫はおよそ1万6000匹。そのうち飼い主と共に避難できたのはわずか1670匹でした。
これを受け環境省は2013年に「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」を作成。2016年の4月に起きた熊本地震の経験を踏まえ、2018年に「人とペットの災害対策ガイドライン」に改定、発行されました。
それに基づき、今回は災害時におけるペットと共に身を守るのに大切な事をご紹介いたします。
いつ起こるかわからないからこそ、できるだけの対策を行い災害に備えましょう。
☆同行避難
同行避難とは災害時に飼い主がペットを連れて避難することです。避難場所でペットと一緒に過ごせるかは各自治体や避難場所の判断に任されています。
一方、同伴避難はペットと一緒に避難し,かつ避難所で一緒に過ごすことです。
飼い主にとっては同伴避難が理想かもしれませんが、環境省が作成している「人とペットの災害対策ガイドライン」では同行避難が推奨されています。
避難場所ではペットを飼っている方、動物が苦手な方、動物アレルギーを持っている方、いろいろな人が一つに集まって生活することになります。
トラブルを防ぐためにも同行避難が推奨されています。
☆事前にできる事
・混合ワクチン
避難所・シェルターでのウイルス性疾患の予防になります。
ワクチンは病気を予防することの他に、その病気にかかっていないこと・他へうつす心配のないことの証明にもなります。災害時でなくてもペットや自分自身を 守ることにつながるので忘れず接種しましょう。
・狂犬病ワクチン
わんちゃんの場合、狂犬病の予防・登録は必ず行ってください。
日本にいる限り今のところ狂犬病にかかるリスクはほとんどありませんが、個 体認識や迷子対策のために鑑札・狂犬病予防注射済票の装着をしましょう。これは飼い主の義務として定められています。
・マイクロチップ
迷子になってしまった場合でもマイクロチップを装着していればレーダーで読み取りその子の情報、飼い主の情報が分かるようになっています。
マイクロチップ義務化により2022年6月以降にペットショップやブリーダーから迎えた子には既に装着されているはずです。狂犬病と違いマイクロチップの装着は努力義務となっており、罰則はありませんが(販売業者は義務)まだ装着していない子にはマイクロチップの装着をお勧めします。
金額や装着の流れ等の詳細はお近くの動物病院にお問い合わせください。
・避難ルート、預け先
災害時の避難場所はどこか、どのようなルートで移動するのか事前にしっかりと確認しておきましょう。自治体によってはボランティア団体や日本獣医師会等が主催するペット同行避難訓練などもあります。自治体のホームページや広報誌、掲示板などで情報収集をしてみて下さい。
ただ、ペットと一緒に過ごす「同伴避難」ができる避難所は限られているのが現状で、そういった場合避難所以外の預け先を見つけておく必要があります。親戚や友人その他預け可能な施設を探して、何かあったときに預けられるようお願いをしておきましょう。
☆用意しておくもの
人とペットでは用意すべきものが違います。今回は犬・猫特有のものだけご紹介させて頂きます。
〇優先順位高(命や健康にかかわるもの)
・5日以上の水
支援物資の配給までいきるため。できれば7日分以上準備しておきましょう。ペットによって1日に飲む水の量も変わってくるので、どれくらい普段飲んでいるか把握しておきましょう。
・5日以上のフード
あらかじめ用意しておくと酸化しやすいためもともと小分けになっているものがいいでしょう。場所が変わると緊張して食べられなくなってしまう子もいます。慣れたもの・お気に入りのものを用意しましょう。慢性疾患のある子は療法食も必須です。
・食器
衛生対策のため、殺菌が付着しづらいステンレスがおすすめです。
陶器は割れてしまう危険がある為避けましょう。
・キャリーバッグ
大型犬等運ぶのが困難な子以外はできるだけキャリーバッグにいれて移動しましょう。
おすすめは肩掛けにもリュックタイプにもなり、使わないときはコンパクトに折りたためるものです。
・首輪・リード・洗濯ネット
リードは伸びない物で、首輪・リードともに予備も用意しておきましょう。小型犬はリードを付けたうえでキャリーバッグに入れる必要がある為、キャリーバックに入れて移動する場合もリードは用意しておきましょう。猫は洗濯ネットに入れてからキャリーバックに入れるようにしましょう。
・排泄物の処理用具
ペットシーツや猫砂は多めに用意しておきましょう。臭いの管理はペットトラブル防止に重要ですので臭いの出にくいうんち袋も必須です。トイレトレーニングがまだできておらず、あちこちで排尿してしまう子にはペット用のおむつもおすすめです。
・薬
慢性疾患のある子は薬を必ず待っていきましょう。あらかじめ緊急バッグに入れておくのは難しいと思いますので、何かあった時すぐに持ち出せるようにしておきましょう。
〇優先順位中(情報)
・緊急連絡先情報
避難所についてから別行動することになった場合必要になります。飼い主の緊急連絡先、飼い主以外の緊急連絡先、避難所以外の預け先、かかり付けの病院等の連絡先があるといいでしょう。避難所の以外の預け先例として親戚、友人、かかりつけの動物病院、訓練所等があります。このようなときに預けることが可能か確認しておきましょう。
・ペットの健康手帳
個体認識、迷子対策のために写真などペットの特徴を捉えるものを貼っておくといいでしょう。(画像は携帯にも保存しておく)
また、狂犬病予防や混合ワクチンの証明書のコピーも一緒に入れておきましょう。
〇優先順位低(無くても生きられるがあると便利なもの)
・タオルやおもちゃ等においのついたもの
お気に入りの物やお家の匂いのする物があると安心できます。タオルは防寒としても使えるのでおすすめです。
・ガムテープ、マジック
ケージの補強や、名前を書くのに使えます。持ち物には名前の書ける物には全て記入しましょう。ケージは経年劣化で壊れやすくなるので怪しい部分はガムテープで補強しておくといいでしょう。またケージ内でパニックになってしまったときに暴れた勢いで蓋が開いてしまわないよう移動の際は扉部分の補強をしましょう。
・犬用靴下やバンテージ
大型犬の場合歩いて避難する事になるかと思います。災害時は瓦礫が落ちていることが多いため分でケガをしないよう靴下をはかせるという手もあります。
ただ靴下が苦手な子も多く逆に歩けなくなってしまう場合もあるのでその子に合わせて使うようにして下さい。
ひとつひとつ揃えるのが面倒であれば、ペット用の防災セットも売っているのでそちらも良ければチェックしてみてください。インターネットで検索すると沢山出てきますので、その子に合ったものを用意してください。
何かあった時事前にまとまっていなければすぐに家を出ることができませんので、早めに準備してすぐ取り出せるところに置いておきましょう。
☆ケガに注意!
家の中や道路、水害時のぬかるみの中に散乱したガラスの破片や瓦礫やクギ、倒壊家屋の不安定な足場など、移動中にも危険はいっぱいです。ペットの肉球が損傷したり骨折、関節炎、靱帯損傷を引き起こしてしまうこともあります。キャリーやゲージ無しでの避難は危険なため、キャリーに入れて持てるくらいの大きさの子であればできるだけキャリーに入れて移動しましょう。中型~大型犬は難しいと思いますので飼い主が出来るだけ予防してあげることが大切です。
自宅の家具の固定、窓ガラスなどの散乱防止ガラスへの変更でまず家の中でのケガを防止しましょう。避難時の道路状況の確認と履けるのであれば犬用の靴を履かせて避難しましょう。危険だと感じたら別の道を通って下さい。その為、何通りかの避難ルートを決めておくといいでしょう。
無事避難所へ着いたらペットの全身状態を観察し、何か異常が無いかチェックして下さい。
☆ペットがパニックに…
大地震の発生時ペットによっては恐怖とパニック状態で動けなくなったり、慌てて走り回ったりしてしまいます。また、冷蔵庫や洗濯機の後ろ、クローゼットの奥に逃げ込むことがあります。
これは良く逃げる場所を飼い主が把握しておくこと、そして飼い主の手の届かないところに行かないよう、逃げ込む危険性のある場所には柵などを設置しておくことで予防できます。
それでも逃げ込んでしまった場合は、ペットの好きな匂いのおやつ、興味を引く音などで呼び寄せる必要がある為、普段からトレーニングをしておくと良いでしょう。
☆最後に
もしもの時に事前に準備しておかなければとっさに動くことが出来ません。そして飼い主が無事でなければペットは避難することも家でひとり生き延びることも出来ません。
今回はペットの避難に焦点を当ててお話ししましたが、人間の命の守り方、避難の仕方もしっかりと確認し、可能であれば避難訓練に参加しておきましょう。
また、色々な人が沢山いる中にペット連れて入るのでトラブルが発生してしまう可能性もあります。避難所でのトラブル防止のためにもトイレ訓練やしつけ、社会化をおこないましょう。
慣れない環境で過ごすペットは、ストレスが溜まり体調を崩すことも多くあります。撫でたり、抱きしめたり、声をかけたりしてあげながら、ペットのストレスを少しでも減らしてあげてください。
文責:看護師 林
(動物看護専門誌 aSより引用)
わんちゃんにも糖尿病があることをご存知ですか?
今回はわんちゃんの糖尿病について症状や予防法など詳しくご紹介いたします。
糖尿病はどんな病気?
犬の糖尿病も人間と同じようにホルモンの一種「インスリン」の働きが悪くなることで、血液中の糖が多くなってしまう病気です。インスリンは膵臓(すいぞう)という臓器から分泌されて、血液中の糖を細胞内に取り入れ るという働きを持っています。このインスリンの働きが弱まってしまうと、細胞の中に入っていくはずの糖が血液中に残ったままになり、血液中の糖濃度が高くなってしまいます。この状態を高血糖といい、この状態が長期 的に続くと体の様々な場所に障害を引き起こします。 犬の糖尿病の発生率はだいたい200頭に1頭の割合で、メスの方がオスより約2倍も多く発症すると言われています。
糖尿病の症状
犬の糖尿病は、症状の度合いによって大きく3つに分けられます。
1.合併症のない糖尿病
普段は比較的元気ですが、病理学的に明らかに糖尿病があると認められる状態を言います。
・多飲・多尿になる
・おなかが膨れる(体全体が太っているというよりお腹だけ膨らんでいる)
・沢山食べるが、痩せていく いつもより食べる量が増える日が続いたと感じたら要注意です。
糖尿病=肥満のイメージがありますが、沢山食べていても痩せてしまうのが特徴です。
2.合併症のある糖尿病
糖尿病の合併症では白内障や再発性皮膚炎・膀胱炎・膵炎などが多く、メスの場合は子宮蓄膿症になってしまうケースもあります。症状が悪化した場合「ケトアシドージス性糖尿病」という状態になります。これは通常の糖 尿病の他に、下痢や嘔吐の症状を伴います。ケトアシドージス性の糖尿病では、尿に「ケトン体」と呼ばれる化学物質がみられます。このケトン体が体内に蓄積されていくと、症状が悪化します。また運動失調や虚脱といっ た神経症状の他、心筋梗塞や腎疾患・肝疾患が引き起こされる可能性があります。
3.昏睡のある糖尿病
さらに重症化するとほとんど眠った状態になります。犬の糖尿病では昏睡は稀にしかみられない症状のようですが、ここまで重症化すると死に至ることもあります。
原因
1.先天的な要因
犬の遺伝子疾患データベースによると、以下の犬種が遺伝的な原因で糖尿病になりやすいと発表されています。
・ダックスフント
・プードル
・ミニチュアシュナウザー
・ビーグル ・テリア
・ゴールデンレトリバー
・ラブラドールレトリバー
2.後天的な要因
早食いやドカ食いが習慣化していると、食事のたびに大量のインスリンが放出されるようになり、細胞のインスリンに対する反応が鈍くなり、血糖を取り込む作用が徐々に鈍ってきます。そうすると血中の糖濃度が高いまま となり、それが続いた結果、最終的に糖尿病を発病することになります。 人間も健康のために「よく噛んで食べましょう」と言われますが、それは犬の健康維持にとっても大切なことだと言えるでしょう。犬が早食いしないよう工夫されたエサ皿も販売されていますので、それらを利用するのもいいですね。また、食べすぎや運動不足による肥満も糖尿病を発病しやすくなるので注意が必要です。可愛さについおやつを与えてしまいますが、与えすぎには注意し栄養管理をしてあげることが大切です。
早食い防止用エサ皿↓
治療法
血糖値のコントロールが治療の主体となります。軽度の場合は食事療法や運動療法でコントロールを行いますが、わんちゃんの糖尿病では多くの場合、インスリンの投与が必要になります。それでは具体的にそれぞれの治療法をご説明します
1. 食事療法
食事量が多すぎると、血中に放出される糖分も増えますので、食事の質と量には十分な配慮が必要です。 獣医さんとよく相談の上、運動量とあわせて毎日の摂取カロリー数、給餌回数、タイミングなどを設定します。 食事で特に大事なことは、いつも一定のカロリーの食事を与えることです。 内容的には、炭水化物(糖分)を控えめにし、食物繊維を多くして良質のタンパク質に富んだ食事にします。 また、最近は療法食として、糖尿病の犬や猫向けに、栄養やカロリーが計算された療法食のドッグフードも市販されるようになっています。 糖尿病向けの療法食の特徴としては、糖としての吸収速度が遅い大麦などを使用していたり、食物繊維やタンパク質を豊富に含んでいるのにカロリーは控えめになっているような工夫がされています。 獣医の指示により、決まった食事や量を与えるようにしましょう。
2. 運動療法
糖尿病の食事療法とともに取り入れられるのが運動療法です。運動によって、体内についている余分な脂肪を減らしたり、多すぎる血糖を消費する事を目的としています。ただ、インスリン注射をしている場合は、その日の運動量によって注射の量が変動しますので、獣医とよく相談したうえで運動内容を決めるようにしましょう。
3.インスリン療法
インスリン投与での治療では、獣医から指導を受けた飼い主さんが、毎日決まった時間にわんちゃんにインスリン注射を行うことになります。現在わんちゃんに利用できるインスリンは数種類あり、種類によって「最もよく効果が現れるまでの時間」や「効果が持続する時間」が異なります。また、体格や食事量、食事の種類、食べ方、運動量など様々な要因によっ てインスリンの種類や必要量が変わってきます。そのため、何回か検査入院し最も合ったインスリンの種類、投与量、投与間隔を調べます。具体的にはインスリンを皮下注射した後、数時間おいて血糖値を測定し血糖曲線(血糖 値の変動をグラフにしたもの)を作成します。その結果をもとに最も適正な血糖値が維持できるインスリンの種類、投与量、投与間隔を決定します。インスリンの注射量はその日の運動量や摂取カロリーによって左右されますので、獣医師さんと相談した上で、適正な量を注射するようにしましょう。
予防法
脂肪や炭水化物などが多い偏った食事は肥満を起こしやすく、急激に血糖値が上がることは糖尿病を発症しやすくなります。ワンちゃんの年齢や状態に合わせて適切に食事を与えるようにしましょう。 また、お散歩などの運動管理もきちんと行いましょう。 女の子のワンちゃんでは、避妊手術をすることで糖尿病の発症を低下させることができるといわれていますが、避妊手術後は、肥満になりやすい傾向にあるので、体重管理には注意をしましょう。 予防のためには、血液検査や尿検査など定期的な検診を行うことが大切です。ご自宅では、ワンちゃんの飲水量や尿量、体重のチェックをこまめに行いましょう。また、多飲多尿や、たくさん食べるが痩せているなどの症状 がみられた場合は、早めに動物病院にご相談ください。
最後に
犬の糖尿病は生涯付き合っていく病気です。様々な合併症や免疫の低下など危険性もありますが、インスリン治療がうまくいけばわんちゃんや飼い主さんにとっても良い時間も持てます。普段から予防法を心がけることが大 切ですが、万が一糖尿病になってしまったら、小さな不安もその都度相談し治療を含めた生活のペースを作っていきましょう。
だんだんと、寒くなってきましたね。
寒い日が続くと、運動量が減り喉もあまり渇かないため、水を飲む量が夏に比べて減ってしまいます。
そのため夏場より少ない量の濃いおしっこをするようになるので、腎臓や膀胱などの泌尿器系の臓器には大きな負担がかかってしまいます。
膀胱炎はこの季節に増える病気の1つです。
〈膀胱炎の種類〉
●細菌性膀胱炎・・・膀胱内に侵入したブドウ球菌や大腸菌等の細菌が原因となって膀胱に炎症が起きる。
●尿路結石による膀胱炎・・・膀胱内に生じた結晶や結石が膀胱粘膜を傷つけて炎症が起こる。
そこから同時に細菌が感染してしまうこともあります。
尿路結石による膀胱炎は非常に再発しやすいため、一度発症した子は再発を防ぐケアをずっと続ける必要があります。
●特発性膀胱炎・・・細菌感染などの明らかな原因がなく、膀胱炎の症状がみられる。
一概にはいえませんが、ささいな物音に怯えたり、知らない来客者に怯えて隠れたりと、
神経質で臆病な性格の猫は日常でストレスをためやすく、特発性タイプの膀胱炎を発症しやすい傾向にあると考えられています。
〈膀胱炎の症状〉
・おしっこの回数がいつもより多い
・トイレに何回も行くが、おしっこの量が少ない
・おしっこの色が赤い
・おしっこをする際痛みを感じ鳴く
・食欲がない
・元気がない
尿道が細い男の子の猫では、膀胱内に生じた結晶や結石、膀胱炎の影響で尿中に大量に出てきた炎症細胞や膀胱粘膜の細胞が塊となり、細くなっているペニスの先の尿道部分を塞いでしまい尿が出ない状態(尿閉)になってしまうことがあります。尿を出せない状態が続いてしまうと、膀胱内の尿が腎臓に逆流し、腎不全や尿毒症を引き起こすことがあります。
尿毒症になると、嘔吐や体温の低下といった症状が見られ、危険な状態になってしまうこともあります。
尿道が太い女の子の場合は、男の子に比べて症状が出るのが遅いため、発見が遅れることもあるので注意が必要です。
〈膀胱炎の予防・対策〉
・水分摂取量を増やす
濃い尿は膀胱粘膜を刺激するので、水分をたくさんとって尿を薄め、
頻繁に排尿することでおしっこが長い時間膀胱内に留まらないようにすることが理想です!
なかなかお水を飲まない子の場合は、脂身の少ない鶏肉やお魚などのゆで汁やだし汁をあげたり、
普段のゴハンをふやかしてあげたり、スポイトでお水を飲ませてあげるのも工夫のひとつです。
・トイレ環境の見直し
膀胱炎の予防として、トイレを我慢せずに水分をたくさんとって十分に排尿することが重要☆
トイレ環境に神経質な猫が多いので、排尿しやすいトイレ環境を用意してあげましょう。
まず、トイレの数は飼っている猫ちゃんの頭数+1個、留守の多いお家ではそれ以上と言われています。
トイレの場所は暑さ寒さの影響を受けないで、落ち着いて使用できる場所がいいですね(^^)
汚れたトイレでの排泄を嫌がり我慢をしてしまう猫もいるので、排泄をしたらすぐに片付け、
砂の交換やトイレ容器の洗浄などもこまめに行い、常に清潔を保つことも必要です。
・毎日の食事ケア
マグネシウム、カルシウム、リンなど、尿石を構成する成分が多く含まれている食事を避け、これらのミネラル成分を制限した食事に切替えましょう。おしっこのpHバランスを考慮したフードに変えると、ストルバイトとシュウ酸カルシウムの結晶ができにくくなります。
尿路結石の症状が出ている場合は、療法食に切り替え、定期的に尿検査をします。症状が治まっているのであれば、その後は通常の食事に戻すことが可能なこともありますが、結石ができやすい体質の場合は、生涯に渡って療法食を摂る必要があります。
食事を気を付けることにより、尿路結石の予防もでき、膀胱炎にもなりにくくなります。
・ストレスを与えない環境づくり
ストレスを感じるポイントは猫によってさまざまですが、生活環境が自分の好みに合わなかったり、
使いづらかったりすると猫はストレスをためやすくなります。
身を隠すことができる場所を確保するなど、できるだけ穏やかに生活できる環境を提供し、
猫ちゃんの負担やストレスを取り除いてあげましょう(^^)
膀胱炎は「早期発見・早期治療」が重要になります。
日頃から水の飲む量やトイレの回数、尿色や量などをチェックしておき、変わった様子が見られるときには早めに受診するようにしましょう。
本格的な冬を迎える前に、一度尿検査などの健康診断を受けておくのもおすすめです(^^)/
引用:アニコム損害保険株式会社
文責:看護師 齋藤
時には命を奪うこともある「熱中症」。暑い時期はこの言葉を耳にしない日はないですよね。
夏場に起こると思われがちですが、どんな季節でも条件が揃えば起こりうる可能性が高いのが熱中症になります。
ワンちゃんの平熱は犬種や年齢にもよりますが、約37.5~39度程度です。人間よりも高いものの、40度を超えると危険な状態で42度超になると死の危険があります。
ワンちゃんはだるさや吐き気といった症状を言葉で訴えられないので、飼い主さんが少しでも早く異変に気付いてあげることが重要です。
今回は熱中症について、症状やいざというときの対処法、そして一番大切な予防法をご紹介したいと思います。
☆熱中症の要因
気温の高い場所、過度な運動などにより発症します。犬はもともと汗腺がなく汗をかかないので、ハァハァと荒い呼吸をすることで体温を下げようとします。
しかしこれは、人間にとって炎天下で小さなうちわを使ってあおぐレベル。ほとんど効果はありません。夏場のお散歩や室温管理など、十分な注意が必要です。
また、夏場に限らず、トリミング時のドライヤーの熱によって引き起こされたり、冬場、暖房の効いた部屋で過剰に興奮することで熱中症が引き起こされることもあります。
また、「多湿」の場合も注意が必要です。お散歩前は、気温だけでなく湿度もチェックしてから行くように心がけましょう。
他にも、短頭種(パグやブルドッグ、ペキニーズなど)・肥満・大型犬・心臓や呼吸器の病気があるワンちゃんなどは、さらに熱中症のリスクが高くなる傾向があります。
☆症状
【初期】 ・体が熱い ・呼吸数や心拍数が増える(速くなる) ・ゼェゼェと呼吸音が大きくいつもより荒い ・よだれが多い など
【重症化】 ・ぐったりしている ・舌や歯茎の色が青くなる(チアノーゼ) ・嘔吐や下痢 など
熱中症の症状は、体温の上がりすぎと脱水の影響で全身の細胞が障害を受け、正常に機能しなくなることであらわれます。ワンちゃんの平熱は約37.5~39度ですが、42~43度を超えるような高体温になると、多臓器不全となり命に関わることもあります。
熱中症に対しては、初期症状に早く気が付くことが大切です。言葉で訴えることができないワンちゃんの異変にいち早く気づくことが重要になってきます。
☆応急処置
熱中症とみられる症状がみられたら、病院に連れて来て頂く前にできるだけ早い対処が必要です。
まずは体を冷やすこと、もし水を飲むようであれば、水を与えることが応急処置になります。
・涼しく、換気のよい場所に移動させる
⇒屋外であれば、日陰などの風通しがよい場所。屋内であれば、エアコンがきいている部屋に移動させてください。+扇風機やうちわなどでワンちゃんの体に風を送るのも効果的です。(風を送る前に、できれば水道水で体を濡らしておくとより良いです。冷たすぎるお水は体を冷やしすぎてしまうので避けて下さい。)
・お水を飲ませる(飲まない場合は誤飲の恐れがあるため、無理に飲ませないようにしてください。 )
・保冷材や氷、水を入れた氷嚢で首・わきの下・内ももなど太い血管が通っているところを冷やす
⇒体を冷やし過ぎるのはNGです。肛門で体温を測る場合、平熱になるまで体温を下げると、その後も体温が下がり続け、体の冷えすぎが起こります。体が冷えすぎると、冷えた体を温めようと血管の収縮や「シバリング(※)」と呼ばれる体の震えが起こります。これでは逆効果になってしまうので、水や氷を使う場合は注意しましょう。(下の図をご参照ください。 )
※シバリング・・・体温が下がった時に筋肉を動かすことで熱を発生させ、体温を保とうとする生理現象のこと。
☆予防法
・飲み水をこまめにチェック
⇒脱水を防ぐことも、熱中症を引き起こさないためのポイントです。飲み水がなくなっていないかこまめにチェックしたり、お水の量を増やすなどの工夫をしましょう。
・ワンちゃんに適した温度、湿度を心がける
⇒ワンちゃんに適した環境は、室内の温度は25~28度、湿度は45〜65%だといわれています。必要に応じてエアコンや扇風機を使用し、室内の換気を行うなど、室温と湿度の調整を心がけてください。お留守番をさせるときもエアコンは必ずつけるようにしましょう。
ただし、ワンちゃんが暑がるからとエアコンの設定を低くするのは注意が必要です。冷気は、室内の下側に滞留するので、温度が低すぎると、犬が体調不良を起こす可能性もあります。
・お散歩や外出は涼しい時間帯を選ぶ
⇒朝晩の涼しい時間帯に行くようにしましょう。お散歩に行くときは、一度アスファルトを手で触ってみてください。高い気温、強い日差しだけではなく、輻射熱(ふくしゃねつ)と呼ばれる、熱くなったアスファルトから放出される熱で、低いところはより温度が高くなっています。
(下の図をご参照ください。)
ワンちゃんは靴も履かず、人よりも低い位置を歩きます。輻射熱のことも頭にいれ外出するように心がけましょう。
また熱中症の症状があらわれたときのために、飲み水・保冷剤・タオル・うちわなどを持ち歩くと安心です。
《外飼いの場合は日陰や換気を意識しましょう》
外飼いの場合、近くにいても常にワンちゃんの状態をみることはできず、体調の変化に気が付きにくくなるので、飲み水の交換を兼ねて2~3時間に一度は様子をみるようにしましょう。外飼いのワンちゃんの最善の熱中症対策は、可能であれば家の中の涼しい場所に入れてあげることです。
外飼いのワンちゃんが長い時間を過ごす犬小屋については、次のようなことに注意してみてください。
・犬小屋を日陰のある涼しい場所に移動させる
⇒お庭などに日陰がない場合は、簾やタープなどで日陰を作ったり小屋内の通気性をよくしてあげてください。
・犬小屋の周辺に打ち水をする
☆まとめ
熱中症は1年を通して起こりうる可能性があり、重症化すると命を落とす危険性もあります。予防法や応急処置を頭にいれ、いざというときに対処できるようにしておくと安心です。
また先ほどもお伝えしたように、熱中症は多臓器不全を引き起こす恐れがあるため、様子が落ち着いたようにみえても臓器がダメージを受けていて体調が急変することもあります。そのため、飼い主様で判断せず一度病院に連れてきていただくことをオススメします。
文責:清田(いぬと暮らす、ねこと暮らすより引用)
家族でご飯を食べているとねだってくるのでついついあげてしまう、、。
家に帰ったらチョコレートの袋がぐちゃぐちゃに荒らされていた!なんて経験はありませんか?
私たちが普段食べているものでも犬や猫にとっては毒になる食べ物は多くあります。
そこで今回は誤食すると特に危険なもの、与えない方がいい食べ物をご紹介します。
〇中毒の危険が高い物
・チョコレート
チョコレートが食べてはいけないものというのは有名なので皆さんも知っているかと思います。チョコレートに含まれているメチルキサンチン酸、カフェイン等の化学物質が中毒の原因になります。これらの物質はコーヒーや栄養ドリンク、コーラにも含まれていますので犬猫がいる空間で飲むときは注意が必要です。
症状として嘔吐、下痢、興奮、失禁、けいれんなどがあげられます。
苦みの強いもの(ビターチョコなど)の方が危険性が高いと言われており、接種後4~15時間でこれらの症状が出てきます。
・ネギ類
ネギ類(タマネギ、長ネギ、ニンニク、ニラ、ラッキョウなど)に含まれる有機チオ硫酸化合物という物質が原因で、赤血球膜を破壊し数日後に貧血症状が表れます。
熱処理を行っていても毒性は消えません。そのため、その煮汁を与えることも禁忌です。
・キシリトール(ガム、キャンディーなど)
キシリトールを摂取するとインスリンが大量に放出され接種後30~60分程度でまず低血糖に陥ります。それに伴い嘔吐、運動失調が生じます。
どの中毒にも該当しますが、中毒症状が出る摂取量には個体差があり、ガム1粒で死亡した例もあります。このくらいなら大丈夫だろう、と思わず最低でも1時間は普段と変わりがないかよく確認してください。
・ブドウ、レーズン
犬がブドウやレーズンを摂取すると、急性腎不全を呈して死に至ることがあります。
生のブドウと比較してレーズン(干しブドウ)の方が中毒症状が出やすいと言われています。
なぜブドウやレーズンによって中毒が起こるかまだ解明されておらず、どれだけの量で中毒になるかも分かっていません。
しかし、犬でわずか10g(ブドウ1粒程度)の摂取で急性腎不全を起こした報告もあります。少しなら大丈夫、、、と思わず食べさせないようにしましょう。
・ユリ
ユリは非常に危険な観葉植物です。
ユリを摂取すると12時間以内に嘔吐、多飲多尿、 食欲不振を引き起こします。それらの症状はいったん治まり一見問題が改善したように見えることがあります。
しかしその後24~96時間以内に腎不全を発症します。
多くの場合致死性で、救命できたとしても慢性腎不全を患います。
花粉だけでも危険ですのでユリがある場所には近づかない、もし頂いた花束にユリが入っていれば、絶対に届かない所や入れない部屋に置くようにしましょう。
・ナッツ類
ナッツ類は脂肪が豊富なため肥満の原因になるだけでなく、下痢、嘔吐を引き起こすこともあります。また、シュウ酸を多く含んでいるため結石形成の原因にもなります。
マカダミアナッツは何が中毒成分かは分かっていませんが中毒症状を起こすこともあり、より注意が必要です。
〇中毒成分はないが注意が必要な食べ物
・牛乳
離乳期をすぎると牛乳に含まれる乳糖を分解する酵素が低下するため、乳糖を分解できず下痢を起こします。乳糖は過熱しても分解されないため、ホットミルクも良くありません。
乳製品の中でも、チーズやヨーグルトは加工する過程で乳糖の一部が分解されるため、下痢を起こすリスクが軽減されます。しかし、人間用に加工された味の濃いチーズやヨーグルトは健康を害する恐れがありますので、犬猫用に作られたものをあげるようにしてください。
・レバー
レバーは貧血予防や皮膚や骨の免疫を高める効果があり、健康に良い食材といえます。
ただ火を通して食べさせることと、与える量、回数に気を付けましょう。
レバーを食べすぎるとビタミンA、ビタミンB過剰症を引き起こすことがあります。
多くても週に一回程度がいいでしょう。またビタミンA過剰症を防ぐためにもビタミンAが一番少ない牛レバー(豚,鶏の1/10程)を与えるのが望ましいです。
そして、生のレバーは細菌や寄生虫が住み着いている可能性が高いので必ず火を通してから与えるようにしてください。
・ほうれん草、小松菜、バナナ、タケノコ、お茶
これらの食べ物はシュウ酸が多く含まれており、持続的に摂取していると尿路結石ができやすくなります。
本来であればシュウ酸は腸内でカルシウムと結合し便と一緒に体の外へ排出されるのですが、シュウ酸の量が多いと余った分は尿の中に出てきます。尿の中でカルシウムと結合すると石のような塊となり尿管を詰まらせたり腎障害が起こることもあります。
シュウ酸は水溶性の為、ゆでてからあげる手もありますが、3分間ゆでた時のシュウ酸の除去量は30~50%程と言われており、完全に除去できるわけではありません。尿石予防のためにはやはりあげない方が確実です。
〇誤って食べてしまった時は…
もし中毒性のあるものを食べてしまったら、特に症状が出ていなくてもかかりつけの病院に連絡し診察を受けてください。
その時、何をどれくらい、何時頃に食べたかスタッフに伝えてください。
来院までに嘔吐、下痢はないか、貧血症状がないか(歯茎が白い、舌が紫色)痙攣は起こしていないか等よく観察して頂き、いつもと変わった様子はないか注意して見ていてあげてください。
中毒性はなくても人間の食べ物や今まで食べた事の無い物を食べた時は嘔吐や下痢がないか、かゆみはないか(アレルギー反応)注意して見ていてあげてください。
すぐに症状が治まれば特に問題はありませんが、続くようであれば診察をお勧めします。そしてそういった症状が出た場合、以後口にしないようにしてください。
ふと目をそらした隙に盗み食いをされてしまったり、棚にしまっていたはずなのに漁られてしまったなんてこともあります。`中毒性のあるもはペットのいるところでは食べない‘ `扉に留め具を付る‘等工夫をし愛する家族を守りましょう。
6月から猫ちゃん限定の健康診断キャンペーンを行っているので、
今回は猫ちゃんに多い病気を紹介したいと思います(^^)
●猫泌尿器症候群(FUS)
猫泌尿器症候群(FUS)とは、特定の病名ではなく、尿路感染症、尿石症、特発性膀胱炎などに
よる膀胱や尿道の病気全般をさします。猫ではもっともよく知られた病気のひとつで、
実際当院の健康診断でも、″隠れ尿石″が見つかる子が多くいます。
◇主な症状
血尿、頻尿(少しずつ頻繁に排尿)、失禁、決まった場所以外で排尿など。
オスの場合は尿道に結石などが詰まりやすく、尿が出にくくなると重症化することが
よくあります。
●慢性腎臓病
慢性腎臓病は高齢猫のもっとも代表的な病気のひとつで、
7歳以上から徐々に発病率が増加し、
15歳以上になると、3頭に1頭が抱えている病気と考えられています。
腎臓病は治すことができませんが、早期発見で腎臓機能の低下を遅らせたり、
今の機能を少しでも維持する治療をすることができます。
◇主な症状
体重減少、多飲多尿、嘔吐、元気食欲の低下など。
●甲状腺機能亢進症
甲状腺ホルモンが過剰に分泌されて起こる病気で、7歳以上であれば特に珍しい病気ではありません。
主に甲状腺の良性腫瘍が原因で起こります。
猫自身は食欲旺盛で活発に動き回るため、一見して発症がわかりにくい病気です。
飼い主さんの中には、病気だと気づかずに「高齢の割には元気」だと捉えている方もいらっしゃいます。
◇主な症状
体重減少、元気食欲の低下または増加、多飲多尿、
嘔吐、下痢、活発な行動、興奮など。
●歯肉口内炎
猫には特有の口内炎がよく見られ、発病率はおよそ6〜7%とされています。
口腔の奥の粘膜に潰瘍や増殖を伴う炎症病変が形成されます。
原因として口腔内細菌やウイルスの感染、免疫反応の異常などが推察されていますが、
明確にはわかっていません。
当院の健康診断では可能な限り口腔内も見させていただいているので、
口内炎なども見つかりやすくなります。
◇主な症状
口を気にしてしきりに動かす、前肢で口を引っ掻く、よだれをたらす、
餌を食べるときやあくびをした時に痛がる、毛並みが悪くなる、
食欲が低下する、痩せてくるなど。
これから、暑くなってくるので夏バテなども心配ですよね(^^;
定期的な健康診断をすることにより、病気の早期発見にもつながります!
ご希望の方はスタッフまで(^^)
文責:齋藤