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院長コラム

11月19日(金)と20日(土)は、12年間当院で看護士長を勤めてくれた由起さんの結婚式・披露宴と二次会でした。

由起さんは、20歳の時に当院に来てくれました。
当時一歳ちょっとでヨチヨチ歩きだった三男は今は中二となり、結婚式に出掛ける朝、私に 「母さん、由起さんにおめでとう~♥って言っといてね!」と言いました。
段取りの悪い私は、かなり前から彼女に披露宴でのスピーチを頼まれていたのですが、前日も夜遅くまで手術が入り、結局ちゃんとスピーチの練習ができたのは、家を出る直前でした。
「あかん、あかん・・・スピーチの練習してるだけで泣けてくるわ~・・・!」と思いつつ、急いで結婚式に向かいました。


一日め、護国神社にて
神前で誓いの言葉をご主人が述べた後にパチリ!

一日めの結婚式は、厳かな雰囲気の中、護国神社にて行われました。
何だか娘を送り出すようで、式の時に既に涙・・・。
その後、場所を変えて「料亭吉川」にて披露宴がありました。
乾杯の後、新郎紹介のスピーチがあり、その後私の出番となりました。


同日神前結婚式の後の披露宴

「おめでたい席とは言え、良い年して泣いてはいけない!ちゃんとお役目を果たさなければ・・・。」と、何度も自分に言い聞かせてましたが、「由起さんはどんな状況だろうといつも任務をまっとうしてくれました。
一緒に組んでいた看護士の病欠が続き、看護士が由起さん一人になって大変だった時も愚痴一つこぼさず、一緒に仕事をして来てくれました。
明け方まで二人で手術をした事も何度もあり・・・『あ~、由起さん、また二人だけになったね~・・・!』 と私。すると 『はい!』 とニッコリ笑っていつも答えてくれた由起さんに心から感謝しています。」 と言う途中で、言葉に詰まり・・・側にいて下さった司会者の女性がハンカチを下さいまして、泣きながらスピーチをしました。
その話の時、近くで泣き声が聴こえ・・・それは紛れもなく由起さんの声でした。

思い起こせば12年間、由起さんは私の戦友の様な奥さんの様な・・・そんな存在でしたね・・・。
仕事中何か困った事があると、直ぐに「由起さ~ん、この機械調子悪いんだけど、どうにかして~!」 「由起さ~ん、この書類任せたからよろしく!」・・・とこんな感じでしたので、よく飼い主さまに「先生、由起さんが結婚して退職したら、どうするつもり~?!」とからかわれましたっけ・・・。

そして披露宴も後半となり、ご主人の恩師に宛てた手紙と由起さんのご両親に宛てた手紙の朗読が始まりました。
恩師の先生は突然の彼のスピーチにびっくりなさって感激して泣いておられました。
勿論その後由起さんのご両親への感謝の言葉でご両親も・・・そして私も・・・そして一緒に由起さんとご主人を引き合わせたメンタル(日本メンタルヘルス協会と言う心理学の勉強会)の仲間の福ちゃんも泣いてましたっけ・・・。

本当に心温まる披露宴でした。


二日め、二次会にて

次の日の二次会はお二人の友人等総勢72人が集まり、とても賑やかで素敵なものでした。


同日二次会、メンタルの仲間と共に

由起さん、12年間本当にありがとう~m(_ _)m。
今、病院は人手不足で大変だけど、今のスタッフも由起さんを見習って本当に頑張ってくれてるから、どうぞ安心してね!

2010年 11月 24日 掲載

11月14日(日)に、第58回 中獣医学研究会のセミナーがありました。

いつもの如く、朝10時よりそのセミナーはあったのですが、「午前中は校條先生の基礎編の講義、そして午後は山内先生が応用編を講義して下さる。」と当たり前の様に思ってましたら、それは当たり前ではありませんでした・・・。

セミナーの準備をしている時に、事務長の岩西先生に「今日は、山内先生最後の授業ですよ!山内先生には、全国いや、世界に羽ばたいて頂かなくてはなりませんから・・・。」と言われました。
しばらく仰っている意味が解からず、ぼう~っとしてましたが、後任の西依先生(東京都開業。師温会の講師。山内先生の後輩になります。
 山内先生同様鍼灸をなさる獣医師兼、人の鍼灸師でもあられます。)が初めてセミナー会場にいらっしゃったので、事の次第を理解できました。

「そんな~・・・(驚き)。そんな~・・・(悲)。何にも知りませんでしたよ~・・・。山内先生の講義が今日が最後だなんて・・・!!」とショックを隠せない私達・・・。


最後の授業と知り、カメラを構えましたら、やられましたっ!
もう!山内先生、お茶目なんだから~・・・。

最後の授業と知り、カメラを構えましたら、やられましたっ!
もう!山内先生、お茶目なんだから~・・・。

思い起こせば6年間、雨の日も風の日もず~~っと山内先生の講義を受けさせて頂きました。
でも、山内先生はご自身の病院で動物達の診療、人の診療、そして今年に入ってからは、東京や母校の酪農学園大学でも中獣医学の授業をなさっているので、どんどんご多忙になられてました。
 それで、一つのお身体では足りなくなり、山内先生が信頼する西依先生に後任をお願いして大阪名古屋での山内先生の講義は終る事になったのでした。 


写真一枚目はお茶目で照れ屋の山内先生にしてやられましたが、今回はベストタイミングで撮れました(^^)V。

気が付けばセミナーノートは5冊目になりました。
6年前、「今は亡き恩先生(中医学の鍼灸師であり、ドクターでもあられます。)の教えを獣医界の獣医師にも伝授しよう!」と山内先生が講師となり、会長校條先生と事務長岩西先生のお三方がこの中獣医学研究会を立ち上げられました。
 毎回山内先生の深い授業に感銘しつつ、「山内先生に教えて頂いた事をしっかり治療に活かしているかどうか」と、いつも自分に問いながら鍼灸の治療をさせて頂いてました。


通常は各獣医師が患者さんを連れてくるか、専門学校のワンちゃんをお借りするのですが、今日は校條先生に患者さんになって頂きました。

山内先生、6年間本当にありがとうございましたm(_ _)m。
心より感謝しております。
そして、今後の山内先生のご活躍を中獣医学セミナーの生徒全員でお祈りしております!


左から、山内先生、事務長の岩西先生、後任の西依先生です。
2010年 11月 24日 掲載

 今日(9月23日)は次男の部活の監督がお呼びになった方の講演会がありました。
 島袋勉さんと言って、義足のランナーとして各地の小中、高等学校を講演なさっている方です。

タイトルは『夢をあきらめない』

 9年前に不慮の事故により、両足切断、高次脳機能障害(会った人と20分経つと、今会ったかどうかも解からなくなると言う重度の記憶障害)、複視(両目で見ると焦点が定まらず、物が二重に見えてしまう)と言うハンディを背負っていながら、見事にホノルルマラソンを完走なさった方です。
 そして、何度も手術を繰り返してきた今でも神経腫があり、いつも足に痛みがあると言うことでした。(と言う事はご本人はおっしゃらなかったので、後で講述録を読んで知りました。)

 ここまでこられるのに、さぞかし挫折を味わられた事だろうと思いますが、彼はその中で「目標を立て、苦手な事(義足を長時間履くと足が痛くなる事)から逃げない自分の為の練習」として、マラソンを始めるようになったそうです。

 マラソンに出るところまでのお話はそれはそれは大変なものでした。
 そして、初めてホノルルマラソンに出て2キロまで走った時、その足の痛みに耐えかねて、マラソンに出た事をとても後悔なさったとの事でした。
 それでも彼は 「諦めなければ必ずゴール出来る。」 そう信じながら、とうとう41,195キロと言う距離を12時間59分29秒かけて走り抜きました。

 以下、この講演でおっしゃりたかった事を私なりにまとめさせて頂きますね。

〔1〕島袋さんが現状を受け入れる為に心掛けた事。
1. ないものねだりをしない。
・・・「足があれば・・。」と言う言葉を使わない。
2. 言い訳をしない。
・・・自分が何か出来ない事があった時に、決して障害のせいにしない。
3. 障害を隠さない。
・・・ご自身が抱えてらっしゃる障害の中で、高次脳機能障害の事を伝えるのが一番辛かったそうですが、それを伝えなくては前に進めないと思われて、周りの人に伝えたそうです。

〔2〕夢があるかないかが顔の表情を左右する。
 入院中に島袋さんが出逢った入院患者さんの顔の表情の明暗は、障害の重さではなくて、夢があるかないかであると断言してらっしゃいました。
 「退院したらこうしよう!」と夢を語る人の顔は明るく、逆に不安ばかりを言う人の顔は暗い。
 夢を諦めた時に人は暗い表情になる。どんな時でも将来に夢や希望があれば、明るく生きられる・・・・このことからいつも夢を考えるようになられたとの事でした。

〔3〕講演最後の島袋さんのお言葉
 「普通に歩いていた私がいきなり事故に遭い、いつまで生きていられるか保証がない事をつくづく感じました。 
 出来る事を今しなければいけないんだ。いつ死んでも後悔しない生き方をしようと心に強く思いました。」との事。

・・・以上です。
 もっと詳しくお知りになりたい方は、写真1の島袋さんの<講述録> 「夢をあきらめない~出来ないことを探すのではなく、出来る方法を考えよう~」 または島袋さんと妹さんの栗田智美さんの共著 「義足のランナーーホノルルマラソン42.195kmへの挑戦」 または 写真2の島袋さんのことが載ってます「志高く生きる~命輝かせて~」 をお読み下さい。

最後に・・・
 島袋さんが逆境にもめげずにこうして前を向いてこられたのは、もしかしたら彼の本質的な強さや彼を取り巻くご家族や友人の方の協力が大きく影響していたかも知れないと思うところもあります。
 そして 「夢」 と言っても、今このコラムを読んで下さっている方の中には、それが思いつかない方もいらっしゃるかも知れません。
 かく言う私も、他人に長い間流されて来て自分を見失っていた頃は、「ただ毎日をこなすだけで夢もない私に存在価値はあるのだろうか・・・?」と思っていました。

 今、私には夢があります。
 ですが、忙しさに取り紛れてその夢を忘れそうになったり、自分に言い訳をしたくなることもあります。
 ですが、そんな時は島袋さんの事を思い出して、「夢をあきらめない自分でいたい」と思います。
 一先ず今日から私も、「一番苦手な事に挑戦しよう!」と思っています。
 それが出来たら今の夢も実現するような気がするのですね・・・。

 島袋さんに感謝すると共に、島袋さんのお話を聴く機会を与えて下さった次男の高校の部活の監督にも感謝致します。

 ところで、来る10月16日(土)に、国際和合医療セミナーが開催されます。ご興味のある方は、
PDF:
http://www.takanawa-clinic.com/1016.pdf
blog:
http://wagoiryou.cocolog-nifty.com/blog/2010/10/post-398e.html
をご覧になって下さい。

2010年 10月 06日 掲載

 先日、小動物中医学研究会(動物の鍼灸の勉強会)の講師である山内先生の病院(雪龍山エルム鍼灸院 http://elmmp.web.fc2.com/)に行ってきました。


写真1

 山内先生の病院は同じビル(写真1)の中で動物の一般診療と鍼灸の治療、そして3階では人の鍼灸の治療もしてらっしゃいます。
 今回は山内先生の動物の鍼灸の治療を見せて頂きました。


写真2

 山内先生は、飼い主さまに飼い主さまと患者さん(動物)の近況をお聞きしながら、手際よく患者さんの脈をとられて治療されてました。(写真2・・・今見ると、この日はたまたま先生がマスクをしてらっしゃったので、何か怪しげな写真になってしまいましたね~・・・。これは斜頚(感染その他の原因で首が曲がってしまう病気)の兎さんに針を打っているところです。実際は飼い主さまとにこやかにお話しながら治療してらっしゃったんですけどね~・・・・。写真を撮るのが下手で申し訳ありません!)

 この兎さんは一旦改善したそうですが、飼い主さまがお葬式等でお忙しくなり、家を空けがちになったそのストレスで、再び悪化したとの事でした。
 やはり人も動物も“心と身体は繋がっている”ので、ストレスがいかに病気を悪化させるかが解かりますよね~・・・。 
 山内先生の講義を受ける様になって6年近くなりますが、実際に診察を見せて頂いたのは、今回が初めてでした。
 今後の自分の診察に生かしたいと思います。

 今度はもっと時間をたっぷり取って、動物の鍼灸治療と人の鍼灸の治療も見せて頂こうと思います(^^)!

 山内先生、どうもありがとうございましたm(_ _)m。

2010年 9月 22日 掲載

 つい先日、セミナーでお逢いした先輩ママから子育てについて話をお伺いする機会に恵まれた。

 その方は三人のお子様の教育にかなりご尽力なさったらしい。
 その甲斐あってか、各々の方が各々の職に就いてご活躍なさっているとの事であった。

 それでも、「まだまだ足りなかったわ~。」 とおっしゃる。
 そして「あなたのお子さん達はまだお若いから、今からでも間に合うわよ!自分の思う通りの色に染め直すことできるわよ!」 的なアドバイスを頂いた。
 「へぇ~?! とんでもない!我が子とは言え別人格であり、子供は親の思うとおりにならずに子供が自分で思った通りにしかならないって言う事を学んでますよ!」 と私。

 仕事に明け暮れて普通の母親らしい事が出来ていない私が言うのも実にオコガマシイのであるが、限られた時間の中で親が子供に教える事って、意外と少ないように思う。

  1. 「私はこれで良いのだ!今の私は人から愛される価値のある人間なんだ」と感じられる様な大人にする事。
  2. 人様に迷惑になる様な仕事でなければ、子供が自分で職を選び、自分の足で立って生きていける様になるまで見守る事。

 この二つだと思うんだけどな~・・・・。
 感謝や思いやりのある大人になること等・・・も加えようと思ったのだけど、そこまで言うと結構欲張りかしら・・・?と思って一応止めときました。

 これまた動物ネタじゃなくて、すみません(>_<)!!  でも、どうぞ決して 「○○しないと愛してあげませんよ!」とか、「○○ちゃん(動物の名前)は、この子よりう~んと可愛いのよね!」なんて事、お子さんの前で言わないでくださいね。  お子さんはちゃんと聞いてますから・・・。

2010年 9月 22日 掲載

先週・今週と続けてセミナーに行ってきました。

 19日・20日は、“普通の”獣医の学会でした。
 たまたまその週も手術等で帰宅が遅い日が続き・・・・私は19日、しっかり遅刻しましたが、加藤先生は会場が大阪だったにも拘らず、ちゃんと朝9時からセミナーに出ていました。(加藤先生はやっぱり偉いわ~~!!)
 遅い時間まで働いているから偉いわけではなく、そして、セミナーに出てるから偉いわけでもありません。
 それを日々の診療に生かしていかなくては何の意味もありません!
 ・・・と言う訳で、「ちゃんと復習しなくちゃ!!・・・。」と思いつつ、あっと言う間に一週間が過ぎてしまいました。

 昨日のセミナーは、19・20日のセミナーとは打って変わって、ちょっと怪しげな?セミナーでした。

「第10回 日本テレセラピー研究会 総会」 です。
 こういうセミナーに出席するようになったのは、それなりのきっかけがありました。

 次男三男が保育園児の頃、ひどいアトピー性皮膚炎で、母子ともども睡眠不足の日が続いていました。
 当時多治見の開業獣医師の校條(めんじょう)先生の紹介で、私はオーリングと漢方薬で難治性疾患の治療をなさっていた今は亡き宮崎雅敬先生の所に息子達を連れて行きました。
 そのお陰で、かなり息子達のアトピー性皮膚炎(と喘息)は改善しました。

 それから一年後、宮崎先生に師事して、私はオーリングテストを自分の診察で行うようになったのですが、そのご縁で8年前から氏家五十六先生に師事して瞑想をするようになりました。

 ちょうどその頃、氏家先生がインドで100年前から代替医療として行われている遠隔治療(宝石光線療法、以下テレセラピー)の機械をインドから導入され、堀田先生を始めとする医師、歯科医、整体の先生、獣医師などが使い始めました。

 それ以来、私も患者さん達に西洋医学の治療をしつつ、必要だと感じた時はテレセラピーをさせて頂いています。
 実は昨日はそのテレセラピーのセミナーであり、テレセラピーのみならず、その他の遠隔治療をなさっている先生方のセミナーでした。
 どの先生も難治性疾患の患者さんの為に、通常の治療(西洋医学など)をしながら、遠隔治療をしてらっしゃる方ばかりであり、その実績は素晴らしいものでした。
 そして、それは先週の獣医の学会でも共通することですが、目の前の患者さんの為に常に勉強しつつ尽力なさっている事が講義内容から伺われました。

 ある獣医師は、その動物と向き合った時に、その子が何を考えているのか、直ぐ解るそうでした。 
 今でこそ、マスコミの影響もあり、“アニマルコミュニケーター”と言う言葉がメジャーになりつつありますが、その方は何十年も前から動物と対話をしてらっしゃるとの事でした。
 それが出来たら、飼い主さんと動物との橋渡しができたり、末期の病気の動物が本当に治療を望んでいるのかどうかを聞くことができるので、素晴らしいな~!と思いましたね・・・。

 その他感動するお話や目から鱗の話などいろいろありましたが、全部書くのはしんどいので、後半に講師をされた堀田先生のお言葉をご紹介したいと思います。

 「人は人を癒してこそ癒される。人は人を愛してこそ愛される。人は人の為に生きてこそ命が輝く・・・。」

 やはり堀田先生のお言葉はいつも考えさせられます。
 今回セミナーに出席して、私も人と動物を癒せるような獣医師になれたら・・・!と心から思いました。

2010年 6月 29日 掲載

 この5月2日に私は大切な友人を亡くした。
 彼女とは、去年9月にたまたま常滑の倫理法人会のモーニングセミナーで名刺を交わし、その後お手紙を頂いたのがご縁であった。
 その後、10月の大府のモーニングセミナーで講師をされる事を知り、聞きに言った。

 タイトルは 『今を生きる』
 たまたま学生時代に名古屋球場でアルバイトをしていて、彼女のお店のオーナー(以下社長)のお母様にその働き振りを見染められ、その後社長の経営する喫茶店で何年か働いた後、料亭の女将に抜擢された。
その後13年間老舗料理店の「みその亭」の女将として、顔晴って(頑張って)来た。
 ところが、2006年に卵巣癌になり、手術後復帰したが、二年後に再発。その時「余命半年」と医者に告げられる。・・・10月の講演では、「そういう事って、普通本人に言う前に家族に一旦伝えませんか?!いきなり医師にそう告げられ、本当に驚きました。」と当時の気持ちを率直に話していた。


大府のモーニングセミナーにて

 講演では、医師の言葉にショックを受けて迷った挙句、瀬戸内寂聴さんに会いに行った時の話になった。
 「あなた、そんなこと悩んでいるの?!今こうして話している私だって、明日外に出れば何があるかわかんないのよ!明日は交通事故で死んでるかも知れない。余命半年ってはっきり言ってもらえただけで、残った人生をどう生きれば良いか考える事が出来るんだから、突然死ぬ人より幸せじゃない!!」・・・少し違うかも知れないが、その時寂聴さんはそんな様な事を言ったそうである。
 「寂聴さんの話をお聞きして、『人は死に方は選べないけど、生き方は選べる。だから毎日を後悔しないで生きていこう!』と思うようになりました。」と、その講演で彼女は語っていた。
 「余命半年」と告げられ寂聴さんに会いに行ってから、その時既に二年が過ぎていた。

 その講和を聞いて私は 「この方の癌が治るようにご協力するのは私の使命かも知れない・・・!」 と、もしかしたら彼女にとって迷惑な話だったかも知れないが、「京都にとても素晴らしい医師がいらっしゃいます。一緒に行きませんか?!」と誘った。
 京都の医師とは伏見区で西洋医学だけでは改善しない病気を代替医療にも力を注ぎながら、日夜難病の治療に尽力なさっている堀田先生のことである。

 なんと驚いた事に、初めて癌が見つかった時、彼女はお店に来られたあるお客さまの紹介で、堀田先生の所で治療を受けていたのだった。
 とても経過が良かったので、「今の調子なら、しばらく通院しなくても良いですよ。」との事でずっと通院していなかったそうであった。
 ここで、また深いご縁を感じた。
 お互い忙しい中メールを交わしながら、堀田先生の治療を受ける事が出来たのは、今年の2月のことであった。
 去年の10月、彼女のセミナーで会った時はあんなに溌剌としていた彼女だったが、この2月に堀田先生の所に行く直前には、腹部が腫れ足もむくみ、正座もままならないほどになっていた。
 その時堀田先生は、彼女の手を握り 「何でもっと早く来なかったの?!ずっと気に掛かってたんだよ! いつも側にいるからね!一緒に頑張ろう!」と仰ったのですごく有り難かったと、帰りの車の中で彼女は言っていた。

 そんな身体だったが、彼女は女将としていつもと変わりなく笑顔でお客さまを迎えていた。(正しくは、亡くなる2週間前まで働いていた。)
 3月も一緒に京都に行き・・・この4月中旬、堀田先生の通院の予約数日前にどんどん腹水と胸水が増えだして・・・、急遽近くの病院に入院したというメールが入った。

 4月29日 彼女の事が何だか気になり、お見舞いに行った。
 身体は、かなり痩せていたが、思ったよりも元気だったので安心した。
 だが、二人だけになった時彼女は、「死に方は選べないんだね・・・。  私は他の癌患者さんと違ってモルヒネを使わなくてはならない様な激痛はないけど、腹水と胸水が溜まって、本当に苦しいのね・・・。もう楽になりたい。」と言った。
 同じ苦しみを味わったことのない私は、何と答えて良いものか正直言って戸惑った。
  「何言ってんの?!もっと頑張んなきゃダメでしょう~!」なんて事、到底言えなかった・・・・ただ、ただ彼女の手を握って話を聞く事しか出来なかった。

 彼女の話を聞いている時、甲斐甲斐しくお世話をしていた社長が入院室を出たり入ったりしていた。
 後で知ったのだが、その時お店のスタッフさんがお見舞いに来ていて、彼女に晩御飯を食べさせてから帰る事になっていたようだった。
 私が何時までも帰らないので、社長はスタッフさんに気遣って早くその人を帰らせてあげたくて、少し困っていたようだった。
 そんな事を知らない彼女と私は、ずっと話をしていた。
  「そうだ!こないだ講演した時に皆さんにお配りした『おかめパン』がもう直ぐここに来るのね! ゆり先生、待って帰って!! お子さん達のお土産に・・・!」と言ってくれたので、そのパン屋さんを待つことになった。
 社長の意に反して?パンはなかなか届かず、一時間ほど待ってようやく来た。


おかめパン

 話をしている時も、帰る時も涙が出てきて・・・帰りの車の中で、「一体私は何をしに行ったんだろう・・・。」と、つくづく自分が情けなくなった。
 
 そして、5月2日・・・再び彼女を訪ねると、彼女は意識もうろうとしていた。
 社長が「もう昼からずっとこういう状況なんだよね・・・。」と苦悩の顔で私に言った。
 側で見ているのが辛いのか、社長が入院室から出て行った時、彼女はもうろうとする中で 「暗くして~。もう寝かせて! まだ?!まだダメなの~?!」と何度もうわ言のように言った。
 私は、「大丈夫、電気消したよ。カーテンも閉めたよ!さあ、ゆっくり寝ようね!」と泣きながら彼女に言った。
 そして、社長が入院室に帰って来た時、彼女は頭を上げて、おそらく全身全霊の力を込めて、精一杯の笑顔を私達に見せてくれた。
 これが彼女の 「ありがとう。さようなら」 だと感じた。
 これが彼女との最期の別れだと・・・。

 やがてご家族の方々がお見えになり、私が帰宅して二時間程したら、スタッフの方から訃報の電話が来た。
 それは彼女の誕生日の十分程前であった。

 受け入れなくてはならないのだが、彼女の死を受け入れたくない私がいた。
 弱い私は、29日から告別式までの間、仕事以外の時はずっと飲んだくれていた。
 でも、そんな事をしても彼女は帰ってくるわけではないし、喜んでくれるわけでもないと思い、4日の日、心の区切りをつける為に、彼女の告別式に出た。
 今でも、逢いたい。逢ってもっといろいろ話を聞きたい・・・。
 ご家族の話、社長の話、仕事の話、新しい恋の話・・・まだまだ続きがある筈だと絶対思っていたのに・・・。
 でも、彼女は再発してから、残った人生を『今を生きよう。』 と、最後まで本当に最後まで精一杯生きたのだと思う。
 彼女は私だけではなく、彼女の話を聞いた多くの人の心の中に今も生きている。
 
 人は(動物も)確実に死ぬ・・・。
 だからこそ、『今、この今を生きなくてはいけないのだ。』 と、彼女は私達に教えてくれた。

 與語淑子さんのご冥福を心からお祈りすると共に、彼女に感謝の意を捧げます。合掌・・・。

2010年 5月 12日 掲載

 去る4月26日 大阪市で産婦人科診療をなさりながら、自称『健康法師』として、精力的にいろいろな活動をなさっている 昇幹夫先生(http://homepage2.nifty.com/smilenobori/) のお話を聞く機会に恵まれた。

 その講演会のタイトルは 『死を想え・・・笑って死を考える』 であった。
 笑いあり、涙ありのあっと言う間の二時間だったが、その中には私がこれから生きる上での大きなヒントが沢山詰まっていたように思う。

・癌になる原因の3割は、「人間関係のストレスや生きがいの喪失」が占めるそうである。
 因みに残りの7割は、食事(欧米化の食事)とライフスタイル(不規則な生活。働き過ぎ)だそうである。
・そして、新潟大学の安保徹教授も「免疫革命」で、言っておられるように、癌は免疫抑制の極限(交感神経過剰状態の持続)で起こる病気であるとの事。

だから、「癌は笑って治そう!」と言うことらしい。
 因みに、よく言われているNK細胞(ナチュラルキラー細胞)は、癌をやっつけると言うことだが、そのNK細胞を元気にするには、昇先生曰く、
1.笑うこと。 2.泣く事。 3.人に話を聞いてもらうこと(ホッとライン)。 4.お華粧すること。 5.楽しく歌うこと。 6.良い睡眠を十分とること。 7.冷たい物を取らない。冷やさないこと。・・・つまり心地良いと思う事が大切だそうである。

 講演会の中で、いろいろ話が出たが、ざっくりまとめると以上のことであり、昇先生の雑談も含めて、私の心に残った言葉は、以下の通りである。

・「死を考える」と言う事は、「残された人生をどう生きるか!」と言うことである。
・「やった後悔とやらない後悔・・・」死ぬ時に後悔するのはどちらか?
・残った人生、なるべく一緒にいて心地良い人と過ごそう!・・・自分の周りの人を好きな人と嫌いな人の二つのグループに分ける。
 食事をした時に美味しい!と感じるのは、その食事の豪華さではなくて、誰と一緒に食べるかである。よって、食事(飲み会も含む・・・おそらく!)は好きな人と摂るべきである。(正しく、そう思う!)
・非まじめ発想の勧め(これこそ癌にならない!だとか・・・?!)
・母親は命を懸けて子供を産む。普通に生まれる事は決して普通のことではない。

・・・もっともっといろいろなお話が出ました。
 もしご興味のある方は、上に書いた昇先生のHPをご覧になるか、機会があれば、直接昇先生にお逢いしてお話をお聞きくださいね!
 わたくし如きが 「生と死を語る」なんて本当におこがましい限りですが、最近仕事面でも私生活の面でもいろいろありまして、今回書かせて頂きました。
 時間が取れたら、第二弾、第三弾も行きたいと思います。(そうそう・・・忙しい忙しいと言ってる間に本当に時間が経ってしまって、ちょっとした話も更新しなければ・・・と思っています。)

 それでは皆様、今日も元氣で行きま笑!!

2010年 5月 07日 掲載

 先月、突発性難聴が再発してしまった。

 一昨年初めてなった時は、診察中に聴診器を当ててたら、「う~ん?何か右耳が聞こえ難いかも・・・。」と思って耳鼻科へ行ったら突発性難聴だと診断され、二週間の間ほぼ毎日ステロイドホルモンを点滴して、バッチリ改善した(^^)V。
 治療の後半顔が少し腫れたが、もともと丸顔の私は誰に指摘される事もなく(そう思うと、思いはフクザツだが・・・。)、その後は元通り快調な毎日を過ごしていた。
 人間と言うのは実に勝手なもので、「喉元過ぎれば・・・。」じゃないが、耳が聞こえるようになると感謝の気持ちも忘れ、それが当たり前になっていた。

 そして、先月二度目の再発・・・。

 今度は左耳であり、残念な事に毎日点滴に通っても改善しなかった。
改善するどころか、益々難聴になってしまった。
 初回の時に「毎日点滴に通っても、8割の人しか快復しません。」と言う説明を受けていただけに、ちょっと?ショックだった。
 主治医は明るく腕も評判の医師であった。
 途中の副作用に関しての私の質問にも嫌な顔一つせずにきちんと対応して下さった。

 そう・・・その副作用とは、「今までかつて経験したことのない得体の知れぬだるさ」である。
 どうせ睡眠不足のせいだろうと高を括っていたが、そのだるさは日に日に酷くなり、舌には黒~い気持ち悪い斑点が出てきた。
 とうとう点滴が残り二日となった時に主治医に相談して、ステロイドの治療を止めることにした。

 その途中、師温会(人の鍼灸の勉強会)の講師の一人である堺市の国分先生に電話で受診のお願いをしたところ、「工藤さん、忙しいでしょうから、イチイチこちらへ来なくても良いですよ!自分で外関に針さしといて下さい。私もそうやって治してますから。それにもう少ししたら師温会があるからそこで治療して差し上げますから!」と言われた。

 頂いたアドバイス通り、一日置きに自分で針をさしたのが良かったのかステロイドホルモンの点滴の効果なのか・・・治療を止めるお願いを主治医にした時には聴力は完全に戻っていた。

 その数日後に恒例の師温会があり、そこで私は二日間に渡りまたもや「まな板の鯉」が如く、台の上に寝っころがって受講生の皆様の前で背中やら下っ腹やらを出して、治療して頂いた。(いつもは私が患者さんである動物達にさせて頂いている事であるが・・・。)
 二回目ともなると結構腹が据わってきたのか、前回11月に初めて人前で治療して頂いた時は緊張で背中じゅう汗ダクダクであったが、今回はそうでもなかった。
 受講生の皆様に脈を取られたり背中を見せる事は恥ずかしくないと言えば嘘になるが、とにかくこのステロイドホルモンから来るであろうだるさから脱却できるのなら、そんな有り難いことはない!と思ってもいたから緊張しなかったのかも知れない。

 望診(脈診や舌診など)の結果、睡眠不足などの疲労と腎臓が弱いことから来る腎性難聴とのことであった。
 一連の治療をして頂いた後、耳のツボに鍼を刺して、下腹の関元と言うところに火針をして頂いた。(火針とは細い注射針に鍼灸軟膏を三回塗り、その度火で炙った後、その熱~い針をツボに刺すことである。)
 今までワンちゃんや猫ちゃんに火針を何度もさせてもらったが、一度も「痛い!」と怒った子はいなかった。
 でも実際にされてみると・・・「熱痛~!!」と言う感じであった。

 でも、あ~ら不思議~!?
 一年以上前から多尿傾向にあって漢方薬を飲んでいた私だったが、帰って来たらだるさや耳ばかりではなく、多尿の症状も治ってたではないか?!
 更に数日後、京都の堀田先生の所でオーリングテストをして頂いてもその漢方薬に反応はなかったので、今日まで一度も漢方薬は飲んでいない。
 これでまた中医学の奥深さを実感した。
 ステロイドホルモンを否定するつもりはないし、実際ステロイドホルモンを使ったので一命を取り留めた患者さんは何例もある。

 だがしかし、今回の学びはステロイドホルモンはよく効くだけに副作用と背中合わせであると言う事を身を持って体験したことであろうか・・・。勿論他の薬も同様である。
 そういう意味では、確かに私にとってステロイドホルモンの副作用はきつかったが、患者さんの立場になれた訳だし、今後患者さんに薬をお出しする上で、私にとってとても良い体験になったのではないかと思う。

・・・と言うことは、突き詰めて言えばその時に 「嫌だな~・・・・。」と感じる事でも、全てとは言わないが、後で考えると “起こる事は必要必然かも知れない。”と感じた一件であった。

2010年 4月 05日 掲載

 今日、午前の診察の後、手術が入っているとばかり思っていたら、明日の手術を今日だと勘違いしていた。

 何だかちょっと得したような気分になり、久々にホームページのトップの更新をしようと思い、家に帰った。

なかなかハンサムボーイでしょ!?(かく言う私ももしかしたら、親バカに近いかも知れませんね(笑)!)

 私の顔を見るなり、ムサシ(当院の供血犬です。)が「遊んで!遊んでよ~!!」とせがむので、ボール拾いをさせた。

 アタックナンバー1の鬼コーチが如く・・・

「ムサシ、早くぅ~! 早く取れぇ~~!!」と・・・(笑)。

(年がバレバレでんな~・・・。)

こんな石っころの間に、可愛いたんぽぽが咲いてました。

 ふとボールを拾う為に地面を見てみたら~・・・「ほら~! もう春ですよ!」と言わんばかりにこんなに可愛いタンポポが咲いているではありませんか~!!

 とっても嬉しくなって、ついでにコラムも更新した。

「やばっ!!
急がなきゃ~・・・・午後の診察に遅れちゃう~・・・。」

それでは皆様、春を見つけて楽しんでくださいませ☆。

 お勧めの本 カール・サイモントン著 「癒しへのアファメーションブック」
発行所;NPO法人サイモントンジャパン
…先日京都の堀田医院に行った時に、堀田先生から頂いたご本です。

2010年 2月 23日 掲載