東洋医学よもやま話
桜・・・本当にきれいですね~(*^^*)!!
週一の名古屋→阿久比の往復で、桜がとってもきれいな所があって、いつも見とれてしまいます。
でも・・「花の命は短くて・・。」なので、そろそろ風や雨で散りつつありますね。
春は「風邪(ふうじゃ)」の季節です。
写真の「五行色体表」の「木」の欄を下に辿って行くと、「季(季節)」は春。「気」は風。「臓」は肝、同様に下に辿ると、胆、目、筋となります。縦の欄はみんな関連性があるんですね。
・・・なので、春は春風がよく吹き、その風の影響を、肝臓、胆嚢、目、筋などが受けます。
毎春、フィラリアの血液検査をする時に、多くの病院で一緒に臓器の血液検査もしますが、いつもよりも春が故に肝臓、胆嚢の検査の値が高くなることがあります。
そして、この季節、もちろん花粉症もあるでしょうが、目にも影響を及ぼす時期なので、涙目になり易いんですね・・。
また、肝臓という臓器は風の影響を受けることによって熱を持ち易くなります。
熱いものは上に上がる性質があるので、その熱が目に行けば目の充血、耳に行けば外耳道炎の悪化、そして脳に行けばてんかん発作が起きます。(個体の体質が関係しているのは言うまでもありません。)
因みに肝臓の熱が上に行かずに横に行った場合、肝臓の横には胃があるので胃を熱します(胃熱)。「胃熱」の状態になると、黄色い液を嘔吐します。(鼻水も吐物もおしっこも、身体から出る液で、色の濃い液は熱を持っている状態だと言えるんですね。中医学の考え方って結構面白いでしょう~~(*^▽^*)!!)
その肝の熱を何とか鎮めるには、やはりお灸がお勧めです。
「悪い熱は熱で制す」とも言いますが、「肝熱」の場合、肝臓の辺りをお灸するのはお勧めではありません。
ここで、写真「五行の相性関係」を見て頂けますか。
水は木の母であり、木は水の子。木は火の母であり、火は木の子になります。母が子を助ける関係性(相性)が成り立ちます。
また、図の通り目にも影響を及ぼしますので、涙目や痒みなど目の症状が出易いのもこの時期だと言えます。
「木」は「水」があるから育ち、「火」は「木」が燃えることによって存在できます。
つまり「水」は「木」のお母さんであり「木」はその子供。「木」は「火」のお母さんであり「火」は「木」の子供なんです。これを「相性関係」と言います。
ですので、風の影響を受けたり熱を持ったりすることによって、「木(肝・胆嚢)」が弱ってきたら、その時はそのお母さんである「水(腎)」をお灸することによって、その子である肝の治療になるんです。(中医学では「肝が実する」と表現します。「肝が実して熱を持つ」と言うと、強いイメージを持ちますが、実際は肝が弱っている状態であると解釈します。)
さてっと・・・長くなりましたので、お灸の話(例)は次回させて頂きますね~。
今の「風邪(ふうじゃ)」の時期を、お灸したり手作りご飯の食材を工夫したりして、上手に乗り切って頂けたらと思います。
それではまた~(*^^*)/
こんにちは!
毎日、寒いですね~・・・。
この一週間で急に寒くなったので、心臓病や癌などの慢性疾患を抱えつつ調子良かった子達も、食欲が落ちたり元気がなくなってしまうことがあります。(※印1)
若くて健康な子達にとってどうってことない季節の変化でも、病気を持った子達には打撃が大きいんですね・・。
鍼灸治療をしていると、「寒邪;かんじゃ」と「湿邪;しつじゃ(湿気)」の影響を受ける子が多いのを感じます。
やはり重度の病気を持っていても良い状態を保つのに一役も二役も買うのは、「お灸」や「マコモ」「マコーラ」かと思います。
(マコモやマコーラに関しては、別の機会に書きますね!)
前々回の「よもやま話」(12月7日掲載)でお伝えした15歳のキャバリアももちゃんですが、鍼灸治療と毎日の自宅でのお灸の効果で、周りの人から「前より元気になったね!!」と言われるそうです。
初診時にあった心臓弁膜症から来る心臓の雑音は、今もありますが、この一年半の間、エコーで見る限り心臓が大きくならず良い状態で保っているとの事で、現段階では投薬はしていません。(これも治療のみならず自宅でのお灸とマコモ・マコーラの効果大だと思います。)
さて、前置きが長くなりました!
今日はももちゃんではなくて、ももちゃんのお父さん(飼い主さん)の腰痛までお灸で治してしまったお母さんのお話です。
お父さんは元々腰痛持ちであり、数年前も酷い腰痛で治療に通っていた事があったそうです。
先日、またもや酷い腰痛になり・・・お母さんが「オーケー! 私に任せなさい!!」との事で、1週間ほど毎日1時間、ももちゃんにお灸をした後でお父さんにもお灸をされたそうです。
それで・・・なんと、腰痛はしっかり改善したそうです。
その話を聞いて・・・いやいやいや・・もう本当に頭が下がりましたね!
毎日、1時間お灸をされてたなんて・・・。
やっぱりお母さんは治療者ですね!
その話の後、こっそり私はそのお母さんに「治療院に掛かっていたと思って、一回5千円頂くってのは、どうですか~!?」とご主人からしたら要らないお世話をやいたほどです(笑)。
ホント、お母さんのお灸の力、スゴイですよね~!!
お灸は腰痛のみならず、いろんな病気に効きます。是非お試し下さいね(*^^*)。
※2、その子の状態でお灸をし過ぎるといけない場合もあるので、迷った時は近くの鍼灸をする獣医師にご相談下さいね。
※3、お父さんはお灸で治りましたが、もちろんお灸だけで治らない症例もありますので、その時は治療院に行って下さいね。ですが、どんな病気も長い間、放置するのではなく早めの対応が早く良くなるコツであることは確かですね。
◇◇◇
ある夏の日に撮らせて頂いたものです。
いつも陽気なももちゃんも診察台に乗ると、このように治療モードになってくれます。
お灸をしながら、脉(みゃく)を取っているところです。
私達の治療は、飼い主さんから動物の症状をお聞きした後、先ずは「脉診(みゃくしん)」と言って、動物の大腿動脈(後ろ足の内側の付け根)を指で触りながら、彼らの脉の状態を診ます。
一見実年齢より若く見えてきゃぴきゃぴした子でも、病気を抱えている子の脉は、力が弱くてなかなか蝕知できなかったり、痛みでガンガンに張っていたりします。
そう・・身体の状態が、そのまま脉に出るんですね!
それで、何回も何回も動物の股の内側に手をあてて、脉診しながら治療していきます。
そして、診察台に上がった直後の問題のあった脉が、力強くなって整った段階で「はい!! おしまいで~す(*^^*)!!」と言って治療を終えるんですね。
この段階になると、動物達も分かっているようで、「そうだよね~!! 早くマコモクッキーちょうだいよ~!」とでも言わんばかりに、くるっと身体の向きを変えて私とクッキーの入れ物を見つめます(笑)。
長年この治療を続けて来て、毎回感じる事があります。
実は治療で脉を力強くして整えても、次の治療の時には、脉の力は落ちているんですね。
でも、お母さんにご自宅で毎日もしくは週に2回以上お灸をしてもらっている動物達は、治療の始めに針を一本刺しただけで、脉がパッと元気になるんです!!
誰もが忙しくて、お灸の時間を取るのはとても大変です。そしてお灸ってとっても地味な治療法です。
でも、それをやるかやらないかで、本当に差が出るんですね~・・・。
皆さん、是非試して下さいねヽ(^o^)丿
※お灸の最中にあまりにも「ハアハア」言いだしている時は、少し短めにお灸して下さいね。
いつもは、首の下から尾まで、背骨に沿って背骨の両脇にあるツボをグルグルと2回ほどお灸した後、ポイントとなるツボ(腎兪など)に5分から6分ほどお灸して頂いてます。
ですがあまりにも嫌がるようであれば、ポイントとなるツボは3分くらいの短めにして頂いています。
私は、鍼灸の治療日と治療日の合間に、飼い主さんにご自宅でお灸して頂くようお願いしています。
長年やって頂いて思うのは、やはり『自宅でのお灸の効果はスゴイ!!』という事です。それも続けて頂くと絶対に差が出ると思います。
その症例をいくつかお伝えしますね。
初診は、去年7月。椎間板ヘルニアの腰痛のせいで元気がなくなって来院されました。
一昨年にも同様の症状があり、その時は掛かりつけの先生から痛み止めの注射を数回打ってもらって、一旦回復したとの事でした。
また初診時には、小型犬やこの犬種でよくある「心臓疾患の雑音」も認められました。
当時は、腰痛のせいか少し控えめな子に見えましたが、鍼灸治療とお母さんの毎日のお灸で、どんどん元気になっていきました。
途中、脳の異常から来る眼球振動(眼球が時計の振り子のように、右→左、左→右と動く症状)や頭の上下の振動、眼の腫瘍などいろいろな事が起きましたが、何とか治療に反応してくれて、大方それらの症状は改善しています。
ただ、安定していた眼の腫瘍が最近少し大きくなってきたので、前足のツボに小さな針を入れたままにする「皮内針」という治療をし始めています。
お母さん(飼い主さん)は、とっても愛に満ちた方で、長い間ご両親を始めご家族やワンコちゃんのお世話を献身的にされた方でした。
毎日の自宅でのお灸も功を奏して、腰の痛みのせいで大人しかったももちゃんも、本来の陽気さを取り戻してすごく元気になりました。
ここまで元気さを保っているのは、当院での鍼灸治療だけではなく、お母さんの毎日のお灸の効果が絶対あると思います。
正にお母さんは治療者です(^_-)-☆。
※追記
本来お灸は、弱っている身体をお灸で補う治療です。
ですが、心臓疾患や腎臓疾患などでかなり身体が弱っている子にお灸し過ぎることによよって却って負担になる場合もあるので、ご心配な時はお近くで鍼灸をする獣医師にご相談下さいね。
「椎間板ヘルニアなどで後ろ足がうまく動かせない」という子の飼い主様から、鍼灸治療のご依頼を受けることがよくあります。
初診でお電話を頂いた時、飼い主さんのご都合と私の予約状況とが合わなくて、初めての治療が3週間ほど先になることがあります。
そういう時はいつも「症状が出てからなるべく早く治療した方が効果が高いので、治療日までの間、是非お家でお灸をしてあげて下さい。それだけでも全然違ってくることがありますから。」とお伝えして、ご自宅でできる「お灸セット」を取りに来て頂くんですね。
「後ろ足がうまく動かせない」と言っても、歩けてはいるけどふらふらする程度の子からおしっこもうんこもうまく出来なくて、完全に後ろ足が麻痺して動けない子まで、症状は様々です。
本当にざっくりですが、その原因を分けると、以下のようになります。
- 「椎間板ヘルニア」の場合。(ただ、そのグレード(重症度)がどれくらいかで、症状や治癒率、治癒までの時間も変わってきます。)
- 「椎間板ヘルニア」以外で背骨に問題がある場合
- 股関節脱臼や膝蓋骨脱臼などの場合
- 脳に問題がある場合
- 上記以外
「今直ぐお家でお灸したら、絶対に回復します!」とは言い切れません。
その子が抱えている原因が深刻であり、鍼灸に何十回通って頂いても、または思い切って外科手術に踏み切られても、歩けない子も実際にいます。
ですが、初診で診せて頂くまでの間にご自宅でお灸をして頂いくだけで「先生、あんなにふらふらしてたのに、結構歩けるようになったわ~・・・。」と喜んでおみえになったケースが結構ありますので、試して頂く価値はあると思います。
⦿ 基本的には、上(頭の直ぐ下、頭と首の間)から下(尾の付け根)まで背骨に沿って、まるく円を描きながら棒灸をあてていきます。それを2~3通り繰り返した後、「腎兪」と「大腸兪」というツボを各々5分から7分くらいお灸します。 原因と症状によって来院後、他のツボもお灸して頂いたりします。
⦿「腎兪」と「大腸兪」のツボは、椎間板ヘルニアなどに効果がある他、下半身の血流を良くして、高齢の子の後ろ足の歩行をしっかりさせます。
⦿ 図の「五行色体表」の通り、縦の列はみんな関連性があるので、「腎兪」は、「水」のグループになります。「水」のグループを下に辿っていくと、「五臓」は「腎」であり「五主」は「骨」ですよね。
つまり、骨に問題のある子は、「腎兪」にお灸することで、改善を期待できるのですね。= 五行色体表 =
今日は、「下半身に問題がある子」を例にあげてご説明させて頂きました。
お灸は、その病気に有効なツボを刺激することにより、病気の子を治癒に導きます。
そして身体の血のめぐりを良くすることにより、内臓の働きを活発にしたり、身体の痛みを軽減させます。そして「気」を上げて元気にしますので、内臓の病気の子にもかなり有効だと思います。
まずはお試しあれ!!です(*^^*)V
◇◇◇
お灸をするようになって、歩き方も力強くなって、お散歩中いろんな方から「若いねぇ!!」と言われるそうです。
「だんだんこりきも歳を取ってきてるけど、やっぱりお灸の力はスゴイですね〜!!」と、いつもUさんはおっしゃいます。
◇◇◇
秋ちゃんは、前足がたまに内側に曲がる(ナックリング)ので、他院でMRIを撮った時、「頚椎に問題がある」と言われました。
手術後、うまく歩けるかどうかは手術をしてみないと分からない。」と言われたので、鍼灸治療とお家でのお灸を頑張ってみえます。
お灸は調子が良い時は途中で逃げたがるそうですが、少し息苦しかったり、痛いところがある時は、お灸中はじーっとしてくれるそうです。
※前回の「よもやま話」で、「家でお灸をしている子は差が出る!」とお伝えしました。
それで今回は「自宅で簡単にできるお灸法」をお伝えすることにしました。
ですが、大急ぎで作ったので動画中の説明に間違いがあることに気付きました。
ここで動画を作り直していると配信が遅れてしまうので、動画の後で説明文と共に訂正することにしました。(ちょっと?!荒くてごめんなさい・・。)
病気に効くツボ(特攻穴;とっこうけつ)は、いろいろありますが、まずはこれを参考にして頂いて、多くの動物さん達により元気で健康になって頂けたらと思います。
◇◇◇
- 定喘;ていぜん・・首の付け根のツボ。咳に効果あり。
- 肺兪;はいゆ・・・第3胸椎と第4胸椎の間にあるツボ。咳に効果あり。
- 腎兪;じんゆ・・・横腹の最後の肋骨を背中で結んだ所。第2腰椎と第3腰椎の間。
腎は他の臓器に気(エネルギー)を送るので、腎のみならず他の臓器も強めることになる。そして腎は骨と繋がっているので、骨の病気にも効果がある。
ここにお灸すると、下半身もしっかりしてくる。椎間板ヘルニアには絶対外せないツボ。 - 大腸兪;だいちょうゆ・・腎兪と骨盤の間。腎兪と共に下半身をしっかりさせる。下痢の時に下腹部のツボ(関元;かんげん)と併せて使うと、より効果あり。
- 皮膚の直下に内臓と繋がっているツボが背骨に沿って並んでいる(写真の通り)。それらのツボを首の付け根から尾に沿って、お灸することによって、内臓を刺激することになる。
以上です。
◇◇◇
※ ここで、訂正です。
- 前回、咳き止めのツボを「至陽;しよう」と表現したと思います。
これは「肺兪」の直ぐ隣りのツボなので、同じようなものだと思って頂いて構いません。 - 動画中の解説で、「皮膚の表面に内臓と繋がっているツボがある」とお伝えしましたが、正しくは、皮膚の直ぐ真下、ということになります。
以上です。大変失礼致しました。
それでは、ツボの写真を参考にして、是非大事な動物さんにお灸してみて下さいね(*^_^*)!
前回お伝えした「老化」についてですが、お灸は、「老化した状態を元に戻すことができなくても、老化の進行をゆっくりにする効果がある」と思います。
中医学では、「五行論」の他に、「陰陽論」と言って、あらゆる物を「陰」と「陽」に分けて、診断と治療をします。
ざっくり言うと、「陽」は温かい。それに対して「陰」は冷たい。「陽」は明るい。「陰」は暗い。「陽」は興奮、「陰」は抑制・・など、あらゆるものを真逆の二つに分けるんですね。
身体に熱を持っていたら陽が強いので、「熱証(ねっしょう)」と言い、逆に冷えていたら「寒証(かんしょう)」と言います。
動物や人は、元々の体質や加齢に加え、季節など外からの要因やストレス等で、「陰」と「陽」のバランスが崩れて病気になります。
中医学は、針とお灸、漢方薬で、この崩れた「陰」と「陽」のバランスを整えることによって、患者さんを治癒に導くんですね。
お灸は、身体を温めて血の巡りを良くします。
「陰・陽」のうちの「陽」を上げるんですね。
高齢になって、腎が弱ってくると、「腎陽虚;じんようきょ」と言って、「陽」である身体を温める力が弱くなり、多くの子は寒がりさんになります。なので、お灸をすると身体が温まり、血の巡りが良くなり、気も上がります。
特に「腎兪」というツボにお灸すると、今言った事だけでなく、下半身もしっかりしてきて、歩き方も変わります。
さて、お家でやって頂くお灸は、写真のように、茶色いストッパーにもぐさを棒状にした「棒灸」を差し込んで火をつけ、首後ろのつけ根から尾までを背骨に沿って、ぐるぐる小さな円を描きながらお灸をしていきます。それを1~2回繰り返します。
その後、「腎兪」(第二・第三肋骨の間周辺)を5分ほどお灸します。
老化のみならず椎間板ヘルニア等で下半身の弱さが気になるのであれば、「腎兪」の後「大腸兪」(腎兪と骨盤の真ん中)にも施灸します。
ご自宅でやって頂く棒灸のセットです。
右の茶色の棒灸ストッパ―に真ん中の棒状のお灸をさしてお灸します。
左の赤い布は、火傷防止と共に赤色には「遠赤外線効果」があるので、この布を身体とお灸の間に挟んで使って頂いてます。
以前よもやま話でお伝えしたように、背骨には背骨の直ぐきわに、一対の内臓と繋がっているツボが縦に並んでいます。(面白いですよね~・・。皮膚の直ぐ下に内臓と繋がっているツボがあるなんて・・。)
そして、背骨から更にワンちゃんの指三本分両側一対に、内臓と繋がっているツボが縦に並んであるんですね!
ですので、首のつけ根から下に下がって背中の表面をお灸することによって、内臓に良い刺激が行くんです。お灸する時間がない時はここをさすってあげるだけでも、内臓のマッサージになるのでお勧めです!(推拿;すいなと言います)
また心臓や肺に病気を持っている子は、首のつけ根の定喘(ていぜん)と言うツボや、そこから少し下がった所にある至陽(しよう)と言うツボを追加されると良いと思います。
この二つのツボは、咳止めにとても有効です。ただ、「陽」が強くて、動物達が「ハァ、ハァ」言い出したら、それは熱い証拠ですので、無理せず短めにして下さいね。
テレビである医師が「老化は病気です。」と言っていた。
私達の臓器の細胞は、「一定期間したら死滅して生まれ変わる。」を繰り返している。
だが、老化によって生まれる細胞の数が減ってきたり、細胞が変化したまま戻らなくなったりすると、結局その臓器が病気になるので、やはり「老化は病気」あるいは、「老化の向こう側に、病気がある」と言うことになる。
ただ、これだけ現代科学が発展してきているので、「老化は治すことができる病気である。」と言っている学者もいるようだ。(デビット・A・シンクレア著 ライフスパン;老いなき世界)
この本の要約を読んだところ、とても興味深い内容だったので、今後の私自身の老化治療の参考にはなったが、ざっくり言うと、「食事制限・運動・サウナ」を推奨しているので、足腰の弱い老犬や老病猫には適さないと思う。
なので、私が知っている最も簡単な老化に対処できる方法は、ズバリ!!お灸ではないかと思う。
ところで・・老犬のみならず老人も老化によって、黒いシミができる。
年老いたプードルを飼ってみえる方は、短くカットすると、身体の所々に黒いシミができているのを見た事があると思う。
老化すると、どの臓器も弱るのだが、中医学的にみると「特に腎が弱くなる」と捉えて、老化は、「腎虚;じんきょ」になると表現する。
「腎虚」になると、「腎」の弱りのみならずいろんなところにその影響が出る。
中医学では、「五行論」と言って、いろいろなものを木・火・土・金・水の5つに分けて、それを診断や治療の参考にするのだが、写真の「五行色体表」の「水」の所を下にたどって行くと、黒・腎・膀胱・骨・耳・恐・・とある。
「どおりで、歳を取ると腎虚になって、黒いシミができるわけだ~。」「どおりで、骨も弱くなるから、足腰がしっかりしなくなるわけだ~。」「なるほど、腎と耳が繋がってるから、耳も遠くなるんだね!(因みに難聴は腎が原因のものと肝が原因のものとがある。)」って事が言えるので、実に中医学の考え方は面白いと思う。
私の臨床経験では、若いわんこちゃんや猫ちゃんで腎臓の弱い子は、音にすごく敏感で恐がりさんが多いと思う。
さて、っと・・・ここまで結構たくさんの量を書いてきて、飽きた方も多いと思うので、続きは次回お伝えしますね。
老化・・・ホント、避けて通りたいですよね~・・(-_-;)。
◇◇◇
以前肝臓の病気で、手術をして元気になったポートスちゃんでしたが、原因不明の腹痛とお腹の異常な蠕動運動(グルグル音)で来院されました。
病院での鍼灸治療と共に、お家でのお灸、手作りご飯、マコモクッキー(なんとこれもお母さんの手作り!!)で、改善して元気になりました。
お母さんはポートスちゃんの治療者ですね~(^_-)-☆
中医学的に言うと、春は「風邪;ふうじゃ」の季節になります。
- 風は、上に上がる性質があります。身体で言うと上半身である頭や眼、耳に症状が出易いです。
ですので、頭痛や涙目、鼻炎、犬は外耳道炎にもなったりします。
そして、頭と言えば、てんかん発作や四肢の麻痺もこの時期に多いですんね~。
ただ、てんかん発作に関しては、もともと「風邪」の季節に起きやすい為、「風病;ふうびょう」と言われてきましたが、雨の低気圧時にも起き易く、また夏のエアコンの真下にいる子も発症しやすくなるので、春限定の症状とは言い難いのが現状です。
(この季節の臓は、肝なので、てんかん発作は肝の熱で誘発されます。この事に関しては、長くなるので今回は省略しますね。) - 風邪は、風の性質らしく、症状が身体中を回ります。
皮膚病で痒いところがころころ変わったり、関節痛でも痛みの場所が変わったりします。(わたくし事ですが、この度膝を傷めまして、痛みが膝の前だったり横だったり裏だったりと・・身をもって、風邪の性質を体験しております。トホホ・・。)
◇◇◇
☆さて、それではこの風邪の時期をどう乗り越えて行けば良いかと申しますと・・・
ズバリ!! お灸がお勧めです。
お灸というと、オーバーに捉えがちかも知れませんが、お家で簡単にお灸出来ますよ!
◇◇◇
☆中医学では「五行論」と言って、あらゆるものを「木・火・土・金・水」の5つに分けて診断や治療に使います。
図―2の通り、「水があるから木は育つ」「木が燃えて火になる」「火が燃えた後は土になる」・・つまり隣同士の関係は、「水」は「木」のお母さんであり、「木」は「水」の子になります。同様に「木」は「火」のお母さんでなり、「火」が「木」の子になるんですね。
その母子の関係を使って、例えば「てんかん発作」で、肝の熱が上に上がり脳を刺激して発症したと考えるのであれば、肝の親である腎を強めるために、「腎兪」というツボを棒灸でお灸する。
また、てんかん発作時に上に上がった熱を下に降ろす為にも、やはり「腎兪」のお灸はお勧めです。そして、腎は骨髄にも多く関連していると言われているので、骨の病気のみならず、脳髄など脳の病気にも腎のツボをお灸するのは、効果があると言えます。
図ー1
図ー2
図ー3
☆「腎兪」は、動物を背中から見て、最後の肋骨のラインの左右を繋げて背骨で合わせると、第二腰椎と第三腰椎の間になります。その辺りに「腎兪」というツボがあります。
ここに棒灸を5分ほどあてます。
棒灸は、左からモグサが練り込んである煙の出ないスミ灸、モグサ100%のもの、モグサに鎮痛作用などのある漢方薬をブレンドしたものになります。
赤い布は、火傷防止と同時に、赤は遠赤外線作用もあるので、ツボとお灸の間に置きます。
☆そして、そのお灸の前か後に、首の下から尾の付け根まで、背骨にそって棒灸をくるくる回しながら、ゆっくり当てていきます。
背骨の両側には、内臓と繋がっている大事なツボが並んでるんですね!
そこをお灸するのは、内臓を温めることであり、健康維持や病気の改善にとても役に立つと思います。
皆様、是非是非お試し下さいね(^_-)-☆
これって意外と知らない方が多いのですが、「身体から出る物の色や臭いを見て、その子が冷え症なのか、熱がりさんなのかが分かる。」んです。
身体から出るものとは、おしっこ、便、鼻水、吐物(吐いた物)などです。
- 色の濃いのは熱を持ってる証拠(熱証;ねっしょう)であり、薄いのは、冷えてる証拠(寒証;かんしょう)です。
◙ 例えば、私達が風邪をひいて熱が出た時、色の濃いおしっこが少量出ますよね! また、長時間寒い所に身を置いた時、色の薄いおしっこがたくさん出ませんか?! それは人も動物も同じです。
◙ 便も熱証の場合、黒っぽくて固い便をしますし(燥熱)、寒証では薄茶色の便をします。
◙ 鼻水も同じです。濃い鼻水は、熱証であり、透明な鼻水は寒証(冷えている証拠)だと言えます。ただ、色のついた鼻水は感染症の場合もあるので、治療を考える時、熱証と寒証に分けつつ抗生物質など感染の治療薬を必要とする場合もあります。
◙ また下痢で、色の薄い下痢便の場合、抗生物質や下痢止めを飲ませてもなかなか治らないことがあります。そういう時は冷えから来る下痢だと判断して、身体を温める漢方薬やお灸で改善するんですね。
- 臭いのきついのは、熱証。臭いの薄いのは、寒証。
◙ 吐物で色も薄くさらっとしたものは、冷えが多いですが、黄色いものの多くは、肝臓や胆嚢が熱を持っていて、その熱がお隣りの胃や脾臓に行く場合(肝の横逆;おうぎゃく)と、胃自体の働きが悪くなる場合があります。どちらも熱証で認められます。
◙ またよく見られるのが、色の濃い臭いのきついおしっこ。これは熱証の証拠ですが、感染による膀胱炎や膀胱結石の為に熱証になっている場合もあるので、いつまでもその状態が続くようであれば、尿検査と共に感受性検査も受けた方が良い場合があります。
- どろっとしていて且つ色の濃いのは、熱を持っている証拠。さらっとしていて色の薄いのは、冷えてる証拠。
◙ 重複しますが、鼻水が一番分り易い例ですよね。
◙ 吐物も顕著にそうなります。
以上、ざっくり書かせて頂きました。
大事な動物達の健康状態を観る参考にして頂けたらと思います。
ただ、真寒仮熱(しんかんかねつ;本当は寒証なのに、一見熱証に見えること)や、真熱仮寒(本当は熱証なのに、一見寒証に見えること)の場合もありますので、迷った時は獣医さんにご相談して下さいね!