「動物たちは子供の心を育てる!・・・ケンカに弱かったけど優しかったシロちゃん」
半年程前のことです。
いつもの様に、世間話をしながら第3診察室でミルクちゃん(仮名)の鍼灸の治療をしている時でした。
そこに突然、隣の診察室に急患の猫ちゃんが入ってきました。
スタッフ達の動きからすると、既にその猫ちゃんは亡くなっていて、飼い主さまの前でその猫ちゃんが急にぐったりしたのでびっくりして病院に連れてきたと言う感じでした。
獣医の渡邉が、呼吸・瞳孔の反射・心音が無い事を確認して、「残念ですが・・・。」と言いました。
すると、その瞬間、小学2年生くらいの女の子が「シロ!(仮名)何で死んじゃったの~(泣)!!」と泣き叫びました・・・。
私はそのシロちゃんが子猫だった時から長い間診せて頂いていたこともあり、ミルクちゃんに針を刺しつつ、目頭がどんどん熱くなっていくのを感じました。
そしてふと見ると、ミルクちゃんのお母さん(飼い主さま)も貰い泣きをしてみえて・・・お互い暗黙の了解で黙ったまま涙しました。
シロちゃんは、18年前、40代のお母さまと、まだ20代前半の化粧品関係にお勤めのきれいな娘さん(Aさん)に連れられて来ました。
「家に来て1週間」との事で、皮膚病と下痢の治療をさせて頂いたのですが、3㎏弱の小さな子猫ちゃんでした。
当時は多くの猫ちゃんがお外に出ていたので、恋猫(メス猫)の奪い合いやテリトリーの奪い合いの為にオス猫同士のケンカが絶えませんでした。
シロちゃんもご多分に漏れず・・・「またやられたんだよね~。シロは弱いくせにケンカするであかんわ~・・・!!」といつもAさん母娘さんに呆れられて、常に生傷の絶えない子でした。
シロちゃんが、10歳になるまでの間ずっと私が診せて頂いてましたが、私が鍼灸の患者さん中心の診察になった為、その後は獣医の加藤が担当させて頂いてました。
私が担当医だった時に、娘さん(Aさん)は結婚され、いつの間にか二児の母になり・・・ずっと通院されてましたが院内でお逢いすることもなく、気がついたら上のお子さんは小学2~3年の女の子になっていました。
その女の子の泣き声と「何で死んじゃったの~!!」という言葉を聞いて、『シロちゃんの存在の大きさ』を実感しました。
最初はあんなに小さくてケンカに弱かったシロちゃん、後半は重い病気に罹ってしまいましたが、AさんとAさんのお母さま、そしてお子さん達にこんなにも愛されてたんですよね・・・。
彼らはいつも何気なく寄り添ってくれてますが、寄り添いながらも「私達人間は孤独ではないこと」「無条件の愛をいつも私達にくれている事」「命の大切さ」・・・等々を教えてくれます。
そして「動物と人との愛のエネルギー交換」をして、私達はより豊かな心になっていると思います。
ずっと一緒にいたいけど、悲しいかなそれは絶対に叶わない事なのですね。
シロちゃんはいっぱいの愛をAさんのご家族に与え、そしていっぱいの愛をもらっていました。
女の子は、シロちゃんをいっぱい愛して、シロちゃんのお陰で心の優しい子に育ちました。
でも、いっぱいいっぱい泣きました。
お別れは辛いけど、シロちゃんも女の子もAさんのご家族も・・・・とっても幸せな時間を過ごしたことだと思います。
シロちゃんのご冥福を心よりお祈りいたします。
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