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犬・猫・ペットの治療と予防│リリー動物病院

その⑪ 「春の季節に関わる病気」

10数年前より山内先生方から、中医学を習い、3年前より獣医の鍼灸学校(獣医中医薬学院)に通う様になってから、今更ですが中医学の素晴らしさを実感する今日この頃です。

もちろん西洋医学には西洋医学の素晴らしさがありますが、中医学は季節や患者さんの体質、疾病の状態によって治療法が違ってきます。
分かりやすく言うと、「中医学は患者さんのオーダーメイドの治療をするのが基本」という事でしょうか。
ですので同じ病名がついていても違う治療をする(違うツボに針を刺す)こともあれば、全く違う病名(症状)なのに同じツボに針を刺すこともあります。

ところで、今の時期は春。
春と言えば、「よもやま話 その①」の「五行色体表」の「木」の欄を縦に見て頂きますと、酸、風、春、肝、目、筋と書いてありますよね。
今の春の季節はそれらにまつわる症状が多く認められます。

因みに当院では、毎年この時期に安全にフィラリア予防薬をお出しする為に採血をしますが、同時に年に一度の健康診断をお勧めしています。
不思議な事に、毎月肝臓疾患で定期的に血液検査をする子達の多くは、この時期に結果が悪くなる傾向があります。

そして、筋肉の痙攣と言う意味では、てんかん発作もこの時期によく起こります。てんかん発作は、「風」の影響を受けやすいと言われています。
春は風の強い季節なので、春の風にさらされると発作が起きやすいと言われています。
ですのでその治療に使うツボも、「風府、風池」など、「風」の字の付くツボをよく使います。もちろん脈を診を取りながらその子の体質や発作の起こる時間帯等を参考にしながら、他のツボを足したりします。(因みにてんかん発作に関しては、風の影響を受ける春の病気と書きましたが、暑い夏にエアコンの風のせいで起こることもあります。)

さらに五行色体表からすると、この時期はめまいや目の疾患(花粉症なども含む)もよく認められます。

そして私達が山内先生方から習ってきた「恩 雪楓先生の手法」では、以上3つの症状(肝疾患、てんかん、目の疾患)では、殆ど「陽陵泉」と言うツボを使います。
それ以外のツボは脈を取りながら決めます。

お灸

てんかん発作の治療で通ってくれている猫ちゃん。
百会のツボに短時間だけお灸(棒灸)して気(陽気)を回します。
てんかんの子はこのツボに長時間お灸したら逆効果になるので要注意です。

せんねん灸

①と同じ猫ちゃん。やはり春になったら発作の起こる間隔が短かくなりました。
基本的にはどの子も押さえつけないで治療するので、自由きままに動く為、もぐさを捻るお灸はこの子は適しません。
なので写真①の棒灸かこのせんねん灸を使っています。

さて、それではこの時期もしくは肝臓の弱ってる子に何を食べさせたら良いかと言う事になりますが、五行の欄で「酸」と書いてある様に、酸っぱい物が肝を養います。ですが食べ過ぎると逆に肝を傷つけてしまいます。
ですから程々に酸っぱい物を摂るといいと思います。
また、よく飼い主様にもお伝えしてるのですが、肝臓と腎臓を養うには、よく中華料理の杏仁豆腐の上に乗っかってる「クコの実」が超お勧めです。
「クコの実」は、肝臓も腎臓も両方養います。
私はスーパーの調味料売り場で購入してきて、仕事の合間にそのまま食べてます。
少し甘くて私好みの味ですね!これがまた~。この味ならワンちゃん(猫ちゃんは嫌いな子もいるかもです。)も喜んでくれる子が結構います。
ただ、消化吸収し易いのは、そのまま食べるよりは他の食材を煮る時に一緒に入れて、その煮汁ごと食べさせるのが一番です。特に重度の肝腎疾患の子や癌の子等にお勧めです。

クコの実

近くのスーパーの中華料理の調味料コーナーで購入したクコの実。
いろいろ味見しましたが、直接食べるんだったら私的にはこれが一番イケました!

そうそう!!
肝臓疾患、花粉症も含めて目の疾患等で忘れてはならないのは、「マコモ」です。
「肝臓が悪いけど、薬が大嫌い!! でも何とかいい方向になって欲しい!」と言う子達にこの数年間「マコモ」をお出ししてきました。その中で良くなってる子が何頭もいます。

マコモ

マコモです。
亜鉛とカルシウムを多く含んでいるので、肝臓疾患やアトピー性皮膚炎に効果があります。
デドックス作用があるので、他のお薬の効果を下げない様にと1時間程時間をずらして飲ませて頂いています。

以上、長くなってすみませんでしたm(__)m。
思いつくままのよもやま話でした。
それでは皆さまと動物さん達、どうぞお元気で~~*(^o^)/*

2015年 5月 02日掲載
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