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犬・猫・ペットの治療と予防│リリー動物病院

起こる事は必要必然!?

 先月、突発性難聴が再発してしまった。

 一昨年初めてなった時は、診察中に聴診器を当ててたら、「う~ん?何か右耳が聞こえ難いかも・・・。」と思って耳鼻科へ行ったら突発性難聴だと診断され、二週間の間ほぼ毎日ステロイドホルモンを点滴して、バッチリ改善した(^^)V。
 治療の後半顔が少し腫れたが、もともと丸顔の私は誰に指摘される事もなく(そう思うと、思いはフクザツだが・・・。)、その後は元通り快調な毎日を過ごしていた。
 人間と言うのは実に勝手なもので、「喉元過ぎれば・・・。」じゃないが、耳が聞こえるようになると感謝の気持ちも忘れ、それが当たり前になっていた。

 そして、先月二度目の再発・・・。

 今度は左耳であり、残念な事に毎日点滴に通っても改善しなかった。
改善するどころか、益々難聴になってしまった。
 初回の時に「毎日点滴に通っても、8割の人しか快復しません。」と言う説明を受けていただけに、ちょっと?ショックだった。
 主治医は明るく腕も評判の医師であった。
 途中の副作用に関しての私の質問にも嫌な顔一つせずにきちんと対応して下さった。

 そう・・・その副作用とは、「今までかつて経験したことのない得体の知れぬだるさ」である。
 どうせ睡眠不足のせいだろうと高を括っていたが、そのだるさは日に日に酷くなり、舌には黒~い気持ち悪い斑点が出てきた。
 とうとう点滴が残り二日となった時に主治医に相談して、ステロイドの治療を止めることにした。

 その途中、師温会(人の鍼灸の勉強会)の講師の一人である堺市の国分先生に電話で受診のお願いをしたところ、「工藤さん、忙しいでしょうから、イチイチこちらへ来なくても良いですよ!自分で外関に針さしといて下さい。私もそうやって治してますから。それにもう少ししたら師温会があるからそこで治療して差し上げますから!」と言われた。

 頂いたアドバイス通り、一日置きに自分で針をさしたのが良かったのかステロイドホルモンの点滴の効果なのか・・・治療を止めるお願いを主治医にした時には聴力は完全に戻っていた。

 その数日後に恒例の師温会があり、そこで私は二日間に渡りまたもや「まな板の鯉」が如く、台の上に寝っころがって受講生の皆様の前で背中やら下っ腹やらを出して、治療して頂いた。(いつもは私が患者さんである動物達にさせて頂いている事であるが・・・。)
 二回目ともなると結構腹が据わってきたのか、前回11月に初めて人前で治療して頂いた時は緊張で背中じゅう汗ダクダクであったが、今回はそうでもなかった。
 受講生の皆様に脈を取られたり背中を見せる事は恥ずかしくないと言えば嘘になるが、とにかくこのステロイドホルモンから来るであろうだるさから脱却できるのなら、そんな有り難いことはない!と思ってもいたから緊張しなかったのかも知れない。

 望診(脈診や舌診など)の結果、睡眠不足などの疲労と腎臓が弱いことから来る腎性難聴とのことであった。
 一連の治療をして頂いた後、耳のツボに鍼を刺して、下腹の関元と言うところに火針をして頂いた。(火針とは細い注射針に鍼灸軟膏を三回塗り、その度火で炙った後、その熱~い針をツボに刺すことである。)
 今までワンちゃんや猫ちゃんに火針を何度もさせてもらったが、一度も「痛い!」と怒った子はいなかった。
 でも実際にされてみると・・・「熱痛~!!」と言う感じであった。

 でも、あ~ら不思議~!?
 一年以上前から多尿傾向にあって漢方薬を飲んでいた私だったが、帰って来たらだるさや耳ばかりではなく、多尿の症状も治ってたではないか?!
 更に数日後、京都の堀田先生の所でオーリングテストをして頂いてもその漢方薬に反応はなかったので、今日まで一度も漢方薬は飲んでいない。
 これでまた中医学の奥深さを実感した。
 ステロイドホルモンを否定するつもりはないし、実際ステロイドホルモンを使ったので一命を取り留めた患者さんは何例もある。

 だがしかし、今回の学びはステロイドホルモンはよく効くだけに副作用と背中合わせであると言う事を身を持って体験したことであろうか・・・。勿論他の薬も同様である。
 そういう意味では、確かに私にとってステロイドホルモンの副作用はきつかったが、患者さんの立場になれた訳だし、今後患者さんに薬をお出しする上で、私にとってとても良い体験になったのではないかと思う。

・・・と言うことは、突き詰めて言えばその時に 「嫌だな~・・・・。」と感じる事でも、全てとは言わないが、後で考えると “起こる事は必要必然かも知れない。”と感じた一件であった。

2010年 4月 05日掲載
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