動物達のこころ…パート1
私は、決して動物達の読心術が出来る訳ではないのですが、診察中に飼い主さまとお話していて、彼ら(彼女ら)の声が聞こえるような気がする場面が結構あります。
…と書くと、“ちょっと危ない獣医”のような感じになりますね…。
でも、こういう仕事をしている方々は、もしかしたら私とおんなじ気持ちでいる方も結構みえるのでは?と思います。
言い換えたら、診察台の上で、飼い主さまと私との会話を黙って聞きながら、何も言えないだけで、実は彼らは色んな事を感じでいるのだろうと思うのですね。
普通の犬は、約3歳くらいの幼児と同じ知能を持つと言う説があります。(これも誰がどのようにして決めたのか・・・・?そして個体差もあるように思いますが・・・。)
・Aさん「うちの子もホントふけちゃって、顔の毛も白いものが沢山混ざってきたのよね! おじさんを通り越してオジイチャンって感じだわよねぇ…。」
・私「そうですね~…。犬は人間の4倍から5倍の速さで年を取りますからね…。 え~?! もうそんな年になりましたか?!ついこないだまで子犬だったような気がするんですけどね…。」
・○○ちゃん「そう言うあんたらだって、結構ふけてきたよ! 初めて会った時は、もっと若かったじゃん!シワの数ももっと少なかったよ。お互いさまでしょ!?」なんてね…。
ですので、重症の子の説明を飼い主さまにしている時、その場の雰囲気から、「私の病気って、もしかしたら厄介な病気なんじゃないかしら…。」
なんて、患者さん(動物達)に思われているようで怖い気がします。
ところで、私達は、治療中に彼らの嫌がることばかりするので、診察室に喜んで入ってきてくれる子達は数えるくらいしかいません。
喜んで入って来てくれていた子達も、手術を一度でも体験すると、次の診察日には、とてもよそよそしくなり、その度に寂しい気持ちになります。
そんな子達を見ていると、術前に気管挿管(吸入麻酔をかける為と、麻酔中呼吸が止まってもコントロールが出来るようにと気管チューブを気道に入れることです。)をする時や、術後気管チューブを外す時、殆ど動物達の意識はもうろうとしてるのですが、案外その時の記憶があったりするのでは?!と思ったりします。
・「私覚えてるよ! だって何かを打たれてうとうとした後、お口を開けられたんだけど、その時この獣医と眼があったんだよね・・・。そいでもってその後眼が覚めたら入院室に入れられてて、その後ちょっとの間お腹が痛かったんだよね・・・。」なんて思われてるような気がします。(そう・・・。口に出さないだけでね!)
考えすぎだと言われるかも知れませんが、「動物達はそんな事を考えてるかも知れないな~・・。」と思いつつ日々仕事をしています。(証拠も何もないのですけどね・・・!)
こうしてコラムを書きながら、我が家のケンを見てみると・・・彼は実にマイペースでグーカーと寝ています。
そんなケンにたまに聞く事があります。
「ケン、あなた我が家に来てもう10年になるけど、本当に幸せだった?!これでよかったのかしら?!」と。
毎晩私の帰りが遅くてあまり手を掛けてあげられないし、他の家族も自分の事で精一杯なので殆ど構ってあげられてないのですよね・・・。
なので「たっぷりこの子と時間を過ごせるような飼い主さんの所で飼われていたら、もっとこの子は幸せだったかも知れないな~・・。」と思うのですよ。
・でも、ケン曰く 「は~…?? まずまずだよ! 昼間は退屈だけど、この生活に慣れてるしね…。 母さん(私の事です)、今更気にしなさんなって・・・。。でも毎日おんなじカリカリのご飯(ドライフード)で実際飽きてんだよね~。母さん達はいいよな~・・。毎日美味しそうな匂いのする色んなご飯を食べる事ができてさ~!」なんて言ってたりして…(苦笑)。
こう書きながら、患者さん(動物達)や、ケンの気持ちを勝手に解釈している、実に勝手な獣医であり、飼い主でもある自分を自覚した次第でアリマス…。ぽてちんおしまい。