その⑨「中医学の目指すところ・・・‟脈を整える” ‟気を上げる”」
台風19号が立ち去ったかと思ったら、秋が駆け足で来たようで・・・朝夕めっきり肌寒くなりましたね・・・。
私が今、当院でやらせて頂いている「中医学」の治療は、主に三つの柱で構成されています。
それは、「鍼灸治療」・「薬物治療」・「薬膳による治療」です。
皆さんは「気(氣)」という言葉をご存知ですか!?
「気」とは、〝私達の身体を含めてありとあらゆる物を構成する最小のエネルギー物質である”と中医学では定義されています。
そしてそれは肉眼で確認できるものではありません。
・・・というと本当に分かりにくいのですが、「元気」「勇気」「気分」「寒気」など、「気」のつく漢字は沢山ありますね。
そうやって考えると日常何気なく使っている漢字から、何となく「気」の意味合いが分かる感じがしませんか!?
私達の治療では、「鍼灸治療」をする時、治療に入る前から終わるまでの間に、何回か患者さんの 「脈(みゃく;脉)」を取らせて頂いています。
(脈を取ることを「脈診」と言います。)
因みに人は手首で脈を取りますが、動物は両足の付け根にある大腿動脈で脈を取ります。
私達は、いろんな原因で病気になっている患者さんの脈診をする時に 「気が落ちてる。」という表現をする事があります。
そういう時は、両手の指三本の指の頭で感じ取る患者さんの脈が、体格の割に細いかもしくは弱い時です。
そういう状態を「気虚」と言います。例えばそれが腎臓由来であれば、腎気虚、脾臓由来であれば脾気虚と言います。 また腎気虚のうち、熱や冷えの症状を伴うようであれば、腎陰虚、腎陽虚と言います。 脈一つ取るだけで、患者さんのどの臓器が悪いのか、熱があるのか冷えているのかなどが分かります。もちろん患者さんの状態を脈診だけで診るのではなく、総合的に判断するのですが。)
鍼灸治療では、患者さんの穴(ツボ)に何本か針を刺したり、お灸を施したりしていますが、基本的にはそれらの施術をすることにより、患者さんの ‟脈を整えたり ” ‟気を上げることによって” 患者さんを健康な状態に導くことではないかと、私は思います。
ですので、鍼灸治療をしながら途中で何回か脈診をして、患者さんの脈が改善してきたら治療が良い方向に向かっていると言えます。
それは、鍼灸治療のみならず、中医学の三本柱の他の二つの治療(薬学治療・薬膳による治療)でも言えることだと思います。
✻因みに、艾(もぐさ)のお灸は身体の悪いところの穴(ツボ)を温めて刺激して楽にするだけでなく、気を上げる効果もあると言われています。
病院でも針治療と一緒にお灸もすると、目に力が出てきたり食欲も出たりして元気になるのを実感します。ですので、鍼灸治療で来院される殆どの飼い主さまにはご自宅で患者さん(動物)にお灸をして頂いてます。
そして飼い主さまにもお勧めしたりしています。
「風邪、肩こり、五十肩、膝の痛みなどお楽になられて元気にもなる!」ということで、結構好評ですよ(^^)V。
次回は、「今、この時期に食べて頂きたい食品・・・薬膳」についてお話させて頂きたいと思います。
それでは皆様、どうぞお元気で~・・・・!!