「病気になった子の役割って・・・?!・パート2」
昨年9月の手術の後、ムサシは3週間に一回の割合で、病院で鍼灸の治療と血液検査をしていた。つい2ヶ月前までは・・・・。である。
だが、2ヶ月前のある晩、いつもの様にお散歩をしていたら、前から気になっていた後ろ足がよろよろしてきて、ちゃんと歩けなくなってしまったのである。
行きは良いが帰りは本当によろよろになってしまったのだ。「本当に血管肉腫なの!?」と他人から言われるくらい超元気だったのに・・・である。
同じ鍼灸仲間の獣医師に、「へぇ~!?9月に手術して、それだけ元気なんだぁ~!スゴイじゃん!どのツボ使ってるのか教えてよ~!!」と言われたくらいだったのに・・・である。
なので、この2か月間は週一で鍼灸の治療、そしてその合間に可能な時は自宅でお灸もしていた。治療をしたところで、よたよたの足取りがなくなったわけではなかったが、治療後数日間は、比較的足取りもしっかりしていたので、結構安心しきっていた。
勿論、二回目の抗癌剤こそ使わなかったが、オーリングテストでムサシの身体に合う漢方薬やサプリメントはずっと飲ませ続けていた。
なので、舌の色は薄く貧血じみていても血液検査はいつ測ってもどれも正常値内に収まっていた。(勿論体中の臓器が癌に侵されていることはCT検査なくしても認識はしていたが・・・。)
確かにしんどそうではあったし、食欲の勢いも前ほどではなかったが、与えたご飯はしっかり食べてくれていた。だが・・・とうとう今夜から食餌を残すようになってしまったのである。
「食欲は生きる源。活性源である。」とは、臨床を通して私が感じたことである。
「一体全体ムサシはどうなっちゃうの・・・?? もう死んじゃうの~??」 「ムサシは私が獣医の仕事をする上で、重症の動物を抱えた飼い主さまの気持ちにもっと寄り添える事ができる様にって、こんな病気になっちゃったの・・・?!」と言う思いが頭を過ぎった・・・。 そしてこんなにしんどそうなムサシに対して、黙って見守ることしかできない自分をとても歯がゆく感じた。
ムサシとはアニマルコミュニケーションで飼い主さまからご依頼を受けた時の方法での会話は全くしない。だが、いつもムサシとは眼で会話をしている。(おそらくどの飼い主さまもそうやってご自分の動物と会話をしてらっしゃると思う。)
ここ数日、出勤する前に見送ってくれる彼の眼は「母さんは仕事に行っちゃうんだよね~・・・!僕はもうそんなに長くは生きれないんだよ・・・。だから僕との時間をもっと作って~・・・!」と言っている。
明日は早朝に家を出て、吉祥寺での鍼灸の勉強会に行くことになっている。「ムサシ・・・どうかその間に死なないでね!母さんの居ない時に黙って死んじゃうなんてこと、しないでよ!!」と私・・・。
「もし、うちの子が私の居ない間に死んでたら、どうしましょう~!?」と重症の患者さんを抱える飼い主さまに聞かれる度に、いつもお応えしていた言葉が頭を過ぎった・・・・。
「〇〇さん、病院で私達なんかに看取られて亡くなるよりも、たとえお留守の間だろうと長い間住み慣れたお家で亡くなる事はとっても幸せな事だと思いますよ。
『あ~・・・。△△ちゃんはいつ学校から帰って来るのかな~!?お母さんやみんなの匂いがするな~・・・。あの時は本当に楽しかったな~・・・!』って、ご家族の事を思いながら自分の家で亡くなるのは、本当にそれだけで幸せだと思います。確かに飼い主さま達が帰ってこられるのをちゃんと待ってから亡くなる子もいます。でも、その気持ちがあっても間に合わない子だっています。そして、飼い主さまに看取ってもらうことにより、却って飼い主さまの悲しみが深くなるのではないかって判断した子は、飼い主さまを愛するが故にわざと皆さまがいらっしゃらない時間帯を選んで亡くなって行く子もいるように思います。(実際にいました。) ですので、淋しいかも知れませんが、〇〇さんがいらっしゃらない時にこの子が亡くなったとしても、この子の選択だと思って下さいね。」と。
これから少し仮眠したら、シャワーを浴びて出発する・・・。私も飼い主の一人として、腹を括らなければならない時が近づいて来ている・・・。