誤食の話 ~よくある異物の例~
食べられないはずのものをうっかり食べてしまう ”誤食”の症例は、ときどきあります。
その様な時はレントゲン写真を撮らせて頂き、異物のサイズ、場所、危険性などを検討し、どのような治療が必要なのかを考える必要があります。
例えば針や骨のかけらなど鋭くとがったものは、たとえ胃の中にあったとしても催吐処置(吐き戻してもらうための処置)にはリスクが伴います。
また、サイズの大きな異物やひも状の異物で消化管が詰まったりねじれたりしてしまっていたら、全身の状態を見つつなるべく早く手術を検討していかなければなりません。
ところで異物の中にはレントゲン写真では確認が難しいものもあります。
そこで当院では飼い主様へのご説明の際に使う、サンプル用のレントゲン写真を撮ってみました。
ちょっと画面では見えにくいかもしれませんが、下の写真、何と何が写っていると思いますか?
撮影したものは全てご家庭にあって間違って飲み込んでしまいやすいものです。
答え:
1 ボタン 2 安全ピン 3 針
4 ヘアピン 5 ピアス 6 塗り薬・目薬の入れ物
7 石
ピアスや針はとても細い部分でもしっかりと写っていますが、ボタンはよく見ないと分からないくらいです。
また、塗り薬のチューブは新品のままの部分に比べて指で押した後の部分は黒く見えにくくなっています。
(この写真はもちろん説明用として撮影したものですので、体の中のものではありません。
生き物の体(筋肉、内臓、骨など)も全てレントゲンに写ってきますので、体内に飲み込まれた異物は当然それらと重なって映り、見えにくいものの確認は更に難しくなります。)
体内に誤食したものが残っている可能性が確実に否定できない場合は腸管のガス像をチェックしたりバリウム撮影などをしていきます。
これは上記写真の1,6のようにレントゲンに写りにくいものの際はより大切な診断法になります。
うっかり食べてしまった異物で、時には手術や入院が必要になったり、命に関わる重篤な状態に陥ることもあります。特に成長期のいたずら盛りのペットのいるご家庭では、知らない間に異物を飲み込んでしまうことの無いように、充分にご注意くださいね。
文章担当: 獣医師 水出