その②「インフルエンザ等の感染症に罹った時のお灸」
巷では、インフルエンザが流行っているとか・・・。
でも、もう今は下火なのでしょうか・・・~?!
「よしっ!じゃあ、今回のよもやま話のテーマはこれだ!」と、思い立ったのはいいのですが、そうこうしているうちに10日程過ぎてしまいました(焦・・・)。
ですので、罹ってしまってやっとこさ治った方は次回の参考にして頂けたらと思います。
ワンちゃん猫ちゃん、うさぎさん達に・・・・と言うよりどちらかと言うと、今回は飼い主さまに向けてのお話かも知れません。
今回は「ご自宅でのお灸」についてお話させて頂くわけですが、もし、実践して頂けるのでしたら、なるべく罹り始めの時期にやって頂けたら、結構お役に立つと思います。
1)まず、「インフルエンザや風邪に罹ったかも知れない!」と思った時は、イラスト①の『大椎』と言うツボにお灸をします。
『大椎』は、頸椎のうちの一番最後の大きな骨(第七頸椎)の直ぐ下のくぼみにあります。(第七頸椎棘突起と第一胸椎棘突起の間です。)
5分でも10分でも、心地いいと感じるくらいの間お灸します。
お灸の目安として、皮膚が発赤する程度あるいは大椎の周りが軽く発汗する位にして下さいね!
たまにやり過ぎて低温やけどをする方もおみえですので・・・^-^;。
因みに、この写真で使用しているお灸は、艾(もぐさ;写真①)を棒状にして固めたものです。(棒灸と言います。)
写真②③の様に、この棒灸を、「打ち出の小槌」みたいな台座に刺して固定してツボにあてます。
熱さの調節は棒灸を刺した長さで調節できます。
インフルエンザ(や風邪)に罹った時は、1日1回~2回罹り始めの2~3日の間、大椎にお灸するだけで、多くの場合高熱が出なくて済みます。
実際、このことを数人の飼い主さまにお伝えしたところ、「うちの姪っ子がインフルエンザに罹ったんだけどお陰さんで軽くすんだよ!」 と嬉しいご報告を頂きました(^^)V。
さてここで~・・・。
・『大椎』というツボ(経穴;けいけつ)についてお話させていただきますね。
『大椎』のツボの効能としては、体内の熱を冷まして体表の邪気※1を取り除く。感染症を抑える。精神疾患を回復させる。その他頚部・背部のこわばりと痛み、咳に効くと言われています。
※1ここで言う邪気とは、自然界における外因(病気の原因)のことであり、「風、寒、暑、湿、躁、火」の6つの気のことを言います。
私達は、これらの外因が過剰になったり私達自身の気が落ちて疲れやすくなったりすると免疫力も落ちて、感染症や様々な病気になるわけですね。
そんな時 『大椎』にお灸をすることによって、上記した効果が得られます。
・そして「お灸」とは、艾(もぐさ)を燃やしてその熱と艾の薬理作用でツボを刺激して治療する方法です。
・ですので、ツボをお灸で刺激することにより、そのツボの持つ効果が発揮されるということになります。
☆ここまでで、今日お伝えしたいことの多くはおしまいです(^^)!
熱の出始めでさむけを感じた時はホントおススメですので、是非一度やってみて下さいね!
それから、さむけが酷い時は、『腎兪』(イラスト②)にもお灸をすると身体が温まりますよ。
『腎兪』は、その名の通り、腎疾患や尿道疾患に効きますし、下半身も強くします。
鍼灸で来院して下さる飼い主さまに「患者さん(動物)の『腎兪』にご自宅でお灸して下さいね。」と、お願いをすることが多いのですが、やって頂いてしばらくすると殆んどの子の毛づやが良くなります。そして足腰もしっかりしてきます。
ですので私は 「腎兪は若返りのツボ」と、勝手に命名させて頂いてます(笑)。
『腎兪』と言うツボは、第二腰椎と第三腰椎の間にあります。イラストの様に一番下の肋骨のラインから真っ直ぐ背骨に引いたラインがそこに当たります。
ちなみに動物達は、「ちょっとさむけがするんだよね~・・・。」 とは言ってはくれませんので、通常私達は足の付け根の大腿動脈(股動脈)を触って脉(みゃく)を取ります。脉を取ることによって、その動物が冷えているのか熱があるのかどこの臓器が悪いのかが、大体分かります。
脉に関しては、いつかまた書かせて頂きますね!
ここまでの間で「読み疲れたわ~!」と言う方はおしまいにして頂き、「もう少し読んでもイイかな~!?」と思われた方は宜しければ下の補足もお読みくださいね(^^)!
≪補足≫ … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … …
≪「ほんじゃあ、なぜ病気の時に針やお灸が効くわけ~・・・?!」ってことについて≫
ちょっとその前に、「ツボ」(経穴;けいけつ)」と「経絡(けいらく)」についてお伝えしますね!
・そもそも「ツボ」は、体の表面(浅い部分)にあり、体の奥の臓器等と繋がっています。
その「ツボ」を刺激すると奥の臓器等に治療効果が出ると言われています。
そこで、その「ツボ」を刺激するのが、お灸だったり鍼(針)だったりするわけですね。
「その刺激がなぜ、体の臓器等の治療になるのか・・・?!」と言うことになりますよね。
ここで今度は、「経絡;けいらく」と言う概念が出てきます。
・私達の身体には代表的には、①12本の「経絡(12正経)」と②2本の「経絡(奇経八脈のうちの、任脈と督脈)」の計14本の「経絡」があります。
「経絡」とは、気と血が通る体の通路であり、それを交通網に例えるとしたら電車の線路が「経絡」であり、そのうちの大きな駅(東京駅や品川駅等々・・。)が「ツボ」になります。
①の12本の経絡のそれぞれは、決まった臓器と連絡していてその決まった臓器に気と血を巡らせていると言われています。それによって私達の体は正常に保たれているのです。また、それら12本の経絡全部は繋がっていて一本の環(わ)になっており、私達の身体を一日50周循環していると言われています。
・以上により、病気になった時身体の表面の「ツボ」を針やお灸で刺激するとその刺激が「経絡」を通って身体の奥の臓器等に伝わって行くわけなのですね~!
それによって気や血の流れもよくなり、治療効果が出る。と言うことになります。
・ところで今回お話に出した、『大椎』は、①と②の計14本の経絡のうちの7本が通るツボです。(ひえ~!!スゴイ!!)
代表的なツボが、約350個あると言われているうちで、7本の経絡が通ると言うツボは『大椎』だけなんです。
なので、とても重要なツボになるんですね~・・・。
別名『百労』と言い、「あらゆる病気に使える。」と言う意味があります。
ねぇ~!!
東洋医学って結構面白いでしょう~!!
少し前から日本は(日本に限らず)歴史的な時代の流れの中で “西洋医学一辺倒”になってしまってましたが、こうやって学んでみると中国で何千年も前からこんな素晴らしい医学があったなんて、本当に感激します。
・・・・と言うことで、長いよもやまにお付き合い下さいまして、ありがとうございましたm(_ _)m。
皆さま、針やお灸等を多いに活用して頂いて、病気になる前に良い状態(未病)になって頂けたらと思います。
・今回は、「ご自宅で出来るお灸」ということでお話させて頂いてますが、病院で様々な疾患で『大椎』に針を打つ時は、患者さんの脉(みゃく)を取りながら、脉に合わせた手法で『大椎』に針を打ちます。