「師温会にて」
3月17・18日と、五反田で「師温会」と言う鍼灸のセミナーがあった。
師温会については以前コラムで何度か触れたことがあるが、「中医学の権威であられた今は亡き温雪楓先生の教えを、同じ鍼灸治療をする人たちに伝えて行こう。」という目的で15年ほど前に、温先生に師事してらっしゃった先生方によって立ち上げられた勉強会である。
講師の方々は、前会長・現会長を始め、深い鍼灸治療で活躍してらっしゃる先生(医師、鍼灸師、獣医師)ばかりなので、私は出席する度に襟元を正す気持ちになる。
副会長には獣医の山内先生がなっておられ、西依先生も講師をお勤めになっている。(因みにお二人とも獣医として鍼灸治療をなさるだけではなく、人の鍼灸治療もしておられる。)
1日めは1時半から6時までが講義と実践なのであるが、実践では毎回受講生から患者モデルを募る。
そして他の受講生が講師の先生方のアドバイスを受けながら、患者モデルを治療して行く流れになっている。
写真1のように、“まな板の上の鯉が如く”診察台に寝かされた患者モデルは、一鍼打つ毎に参加している受講者達に脈の変化を診てもらいながら、治療してもらうのである。
患者モデルも最初は緊張しているのだが、モデルになって治療してもらうことにより身体が楽になることには代えられないと、結局次の日もモデルを買ってでる(笑)。
さて、セミナーの後いつもの懇親会となり、和気あいあいとお酒を酌み交わした。
そこまではいつも通りだったのだが、懇親会の後半に会長の国分先生が 「只今より、重大発表があります。理事も世代交代の時期となりました。新しい理事の発表をします。
ただしこれは選択の余地がない。言うなれば新しい理事に任命された方は有無を言わさずその役目を果たして頂く事になります。」とのことであった。
次々に名前が発表されたのだが、最後に「工藤先生」と、言われた時正直言って耳を疑ってしまった。
「うっそう~・・・。なんでこのあたしが・・・???」と。
もっと適任だと思われる先生が沢山いらっしゃるのに、「なぜ?!」と思ったが、もしかして、これは山内先生や西依先生が敢えて私を推薦して下さったのではないかと思った。(確認してないけど・・・。)
・親は、子を育てることによって成長させてもらって親にしてもらう。
・飼い主さまは、動物を育ててそこで飼い主さまにしてもらう。
・教師も獣医もしかり・・・。だといつも私は思っている。
なので、「この頼りない私を成長させるのが目的でお二人が理事に推薦されたのではないかな~・・・。」と思ったのだ。
「そうか・・・。だったらご期待に副える様にがんばんなきゃ~!!」と、ここまでなら、普通の話で終わるところだったのだが、実はまだ続きがあった・・・。
何とその後、部屋に帰った私は睡眠不足も手伝って、そのままバタンキュウーとなり、翌朝病院のスタッフからのメールで起きた。時間は9時ちょっと前!!
二日めのセミナーは9時からである。
「ひえ~・・・・。肝心な時にまたやらかした~・・・。」
半泣きになりながら、化粧を落として着替えていると、ドアをノックする音が・・・。
「工藤先生~・・・。起きてらっしゃいますよね!?」
「は、はい!」
それは紛れもなく事務局の折田先生のお声であった。
「や~・・・。寝坊されたとは思ってましたけど、もしもの事があるといけないと思って、一応覗きに来ましたよ。」とのこと・・・・。
心からお詫びを言って、40分ぐらい遅れてセミナーに出席した。
会長の国分先生に 「工藤さん!おはよう~!!よく眠れましたか!?」と、からかわれたのは、言うまでもない・・・。
は~・・・。
「でも、何はともあれ、気合入れて精進しよう!!」 と決意した一日であった。