猫ちゃんの膀胱炎
だんだんと、寒くなってきましたね。
寒い日が続くと、運動量が減り喉もあまり渇かないため、水を飲む量が夏に比べて減ってしまいます。
そのため夏場より少ない量の濃いおしっこをするようになるので、腎臓や膀胱などの泌尿器系の臓器には大きな負担がかかってしまいます。
膀胱炎はこの季節に増える病気の1つです。
〈膀胱炎の種類〉
●細菌性膀胱炎・・・膀胱内に侵入したブドウ球菌や大腸菌等の細菌が原因となって膀胱に炎症が起きる。
●尿路結石による膀胱炎・・・膀胱内に生じた結晶や結石が膀胱粘膜を傷つけて炎症が起こる。
そこから同時に細菌が感染してしまうこともあります。
尿路結石による膀胱炎は非常に再発しやすいため、一度発症した子は再発を防ぐケアをずっと続ける必要があります。
●特発性膀胱炎・・・細菌感染などの明らかな原因がなく、膀胱炎の症状がみられる。
一概にはいえませんが、ささいな物音に怯えたり、知らない来客者に怯えて隠れたりと、
神経質で臆病な性格の猫は日常でストレスをためやすく、特発性タイプの膀胱炎を発症しやすい傾向にあると考えられています。
〈膀胱炎の症状〉
・おしっこの回数がいつもより多い
・トイレに何回も行くが、おしっこの量が少ない
・おしっこの色が赤い
・おしっこをする際痛みを感じ鳴く
・食欲がない
・元気がない
尿道が細い男の子の猫では、膀胱内に生じた結晶や結石、膀胱炎の影響で尿中に大量に出てきた炎症細胞や膀胱粘膜の細胞が塊となり、細くなっているペニスの先の尿道部分を塞いでしまい尿が出ない状態(尿閉)になってしまうことがあります。尿を出せない状態が続いてしまうと、膀胱内の尿が腎臓に逆流し、腎不全や尿毒症を引き起こすことがあります。
尿毒症になると、嘔吐や体温の低下といった症状が見られ、危険な状態になってしまうこともあります。
尿道が太い女の子の場合は、男の子に比べて症状が出るのが遅いため、発見が遅れることもあるので注意が必要です。
〈膀胱炎の予防・対策〉
・水分摂取量を増やす
濃い尿は膀胱粘膜を刺激するので、水分をたくさんとって尿を薄め、
頻繁に排尿することでおしっこが長い時間膀胱内に留まらないようにすることが理想です!
なかなかお水を飲まない子の場合は、脂身の少ない鶏肉やお魚などのゆで汁やだし汁をあげたり、
普段のゴハンをふやかしてあげたり、スポイトでお水を飲ませてあげるのも工夫のひとつです。
・トイレ環境の見直し
膀胱炎の予防として、トイレを我慢せずに水分をたくさんとって十分に排尿することが重要☆
トイレ環境に神経質な猫が多いので、排尿しやすいトイレ環境を用意してあげましょう。
まず、トイレの数は飼っている猫ちゃんの頭数+1個、留守の多いお家ではそれ以上と言われています。
トイレの場所は暑さ寒さの影響を受けないで、落ち着いて使用できる場所がいいですね(^^)
汚れたトイレでの排泄を嫌がり我慢をしてしまう猫もいるので、排泄をしたらすぐに片付け、
砂の交換やトイレ容器の洗浄などもこまめに行い、常に清潔を保つことも必要です。
・毎日の食事ケア
マグネシウム、カルシウム、リンなど、尿石を構成する成分が多く含まれている食事を避け、これらのミネラル成分を制限した食事に切替えましょう。おしっこのpHバランスを考慮したフードに変えると、ストルバイトとシュウ酸カルシウムの結晶ができにくくなります。
尿路結石の症状が出ている場合は、療法食に切り替え、定期的に尿検査をします。症状が治まっているのであれば、その後は通常の食事に戻すことが可能なこともありますが、結石ができやすい体質の場合は、生涯に渡って療法食を摂る必要があります。
食事を気を付けることにより、尿路結石の予防もでき、膀胱炎にもなりにくくなります。
・ストレスを与えない環境づくり
ストレスを感じるポイントは猫によってさまざまですが、生活環境が自分の好みに合わなかったり、
使いづらかったりすると猫はストレスをためやすくなります。
身を隠すことができる場所を確保するなど、できるだけ穏やかに生活できる環境を提供し、
猫ちゃんの負担やストレスを取り除いてあげましょう(^^)
膀胱炎は「早期発見・早期治療」が重要になります。
日頃から水の飲む量やトイレの回数、尿色や量などをチェックしておき、変わった様子が見られるときには早めに受診するようにしましょう。
本格的な冬を迎える前に、一度尿検査などの健康診断を受けておくのもおすすめです(^^)/
引用:アニコム損害保険株式会社
文責:看護師 齋藤