『歩行障害・・諦めないことが大事!!な時もある』
私には、中医学で師と仰ぐ方が三人おります。
そのうちのお一人、今の日本獣医中医薬学院をお仲間と創設された山内健志校長に10数年前から中医学を教えて頂いて今があります。
今まで、歩行障害でお連れになったワンちゃんの症例で、おしっこ・うんこも麻痺の為コントロール出来ない。何とかほふく前進だけは出来る重度の子から、足元がふらつきながら歩く子、お膝や股関節の脱臼で痛みを伴い歩くのも不自由な子など、校長とお二人の師匠のお陰で、手術せずとも歩けるようになった子は結構います。
そして、手術しても歩けなかった子が鍼灸で歩けるようになった子も何頭かいます。
・・・ですが、今ちょうど手術しても全く歩けない、おしっこ・うんこもちゃんと出ない椎間板ヘルニア(おそらく合併症もあり)の子を二頭診せて頂いてますが、一頭の子はふらふらしながらもどんどん歩いて小走りさえするかと思えば、もう一頭の子は、飼い主様は「こうして立たせると、後ろ足に力が入ってきてるから、リハビリだけじゃなくて鍼灸も効いてるって思うのよね!」と言って下さいますが、おしっこのコントロールが出来るようになっても、正直な話、自力歩行に至っておりません・・。立つのも力が入り難いのが現状です。
申し訳ない気持ちを抱きつつ・・でも、でも、いらっしゃった時はとにかく全力を尽くさせて頂いております。
一人の師匠(国分龍彦先生・・人の鍼灸の先生)が、「工藤先生、どんな重症の子が来ても、『もうこの子はダメだよね。』なんて治療する側が言ってはダメなんだよ・・。みんな大変な思いをして、治療に来てるんだから、力を落すようなことを絶対に言ってはダメだよ。」といつも教えて下さいます。
とは言え、しばらく通院して頂いて「検査や手術をお勧めした方がこの子の為になるかも知れない。」と判断した時は、飼い主様にその旨をお伝えする場面もあります。
今日ご紹介するK.リョウ君は、一昨年の夏に熱射病になって主治医の先生から「やれる事はやったけど、残念だけど恐らくダメだと思います。」と言われ、連れて帰って家に着いた途端、水をがぶ飲みして、生還したというスゴスギル黒ラブさんです(笑)!!
ですが、その日を境に後ろ足が麻痺して全く歩けなくなったそうでした。
初診でお見えになった時は、Kさんがか細い身体で車から降ろして、お腹に補助器具を付けて支えつつ、辛うじて動く前足でエッチラコッチラ歩かせて病院の待合室まで連れて来られてました。
そのお姿を見る度に頭が下がる思いでいっぱいでした・・。
「先生~・・。もう直ぐこの子16歳半になるんですよ~・・。でもほんとこうして元気で食欲もあるし、治療してから毛艶も良くなったし、後ろ足に力が入るようになったから立たせるから筋肉も着いたんですよ~!」と毎回言って下さってましたが、部屋で少し歩けても、ちゃんと歩くところまで至っておらず・・やはり「力不足でごめんなさい・・。」と思いながら日々治療させて頂いてました。
ところが、正月過ぎのある日・・・Kさんが開口一番『先生~!! ハイジのクララ現象が起きちゃった!!見て見て!この動画!!』と仰るじゃないですか!
このお正月にご家族で日間賀島に行かれた時、車から降ろしてふっと手を離した途端、リョウ君が数歩歩いた!と言うことなんです!! この動画の通り・・・
一昨年から歩行障害になって、御年16歳7か月でリョウ君は歩きました(´▽`)!!
家族旅行で気分も良かったのか・・・「見て見て!みんなぁ〜、リョウ君が歩いてるよ〜!!」との事で、その時に撮った動画がコレです。
「っで、帰ってきてからはどうなんだ~?!」と問われると・・やはりトイレまで補助すれば歩けますが、この動画の様には歩けていません。
「でもこうやって諦めずに治療していると、数秒でも歩けるようになったんだし、同じような子を抱えてる人がいたら、その人達にもこういう方法があるって知ってもらって元気になって欲しいのね!だからHPに載せて下さい。」と、Kさんが言って下さったので、この度掲載させて頂くことにしました。
もちろん、先ほどもお伝えした通り、手術してダメだった全てのワンちゃんが鍼灸で歩けるようになったわけではありません。これだけやってもダメだからと言うことで、手術をお勧めして歩けるようになった子、そして鍼灸の後、手術してもダメだった子・・いろいろです。
ですが、どんな場面でも諦めずに手術も鍼灸もあるということを知って頂いて、その子たちが自分の命の灯が消えるまで、元気でいられるようにして頂けたら、そしてそのお手伝いが出来たら嬉しい限りです。
と言うことで、今回のよもやま話はこれでおしまいです。
リョウ君、いつまでも、そして誰もが考えたくはないけど、最期の日がいつかは来ます。でもその日までどうぞ元気でいてね!! そして本当に心優しいKさん、ご協力ありがとうございました(⋈◍>◡<◍)。✧♡
こうしていつも待合室にマットを敷いて、2人で談笑しながら治療させて頂いてます。
リョウ君は、いつも2人の話の聞き役です(笑)。
※追記
私の『よもやま話』をお読みになって、遠方から治療のご希望のお電話を頂くことがあります。ですが、整形の問題のみならず癌など重度の病気に罹っている子達にとって、遠方からの通院が負担になることもままあります。
ですので、そういう方々には『一針多助;いっしんたすけ』と言うHPをご紹介しています。 このHPは、私達が卒業した「日本獣医中医薬学院」の卒業生マップが載っています。
ですので、どうぞこれをご覧になってお近くの鍼灸をやられる先生の所へ行って下さいね!(因みに、忙しさに取り紛れ・・・うちの病院の名前が清水動物病院からリリー動物病院に変わったという申請を出してないので、旧姓のまま載っています。お恥ずかしいですので、後で直しとこ~~っと・・・。ほんまかいな!?)