『心身一如(しんしんいつじょ);心と身体は繋がっている!』
前回の「よもやま話」で、『中医学のベースになっている概念』についてお話させて頂きました。
今日は「その6」『心身一如;心と身体は繋がっている!』という事例についてお伝えしようと思います。
私達の生活の中で、例えば職場での人間関係のもつれや家族とのいさかいなどで、ストレスを感じる時、とても憂鬱になりますよね。そしてその憂鬱が長い間続くと、胃が痛くなったり、はたまた怒りを抱えて生活していると、肝臓を傷めたり、ふつふつとした怒りが何年間も続くとやがては腎を傷めたり・・・と、心の問題が身体に出てきますよね!
それは人間ばかりではなくて、動物たちもおんなじなんです。
今回、飼い主さまご了承の元、典型的な例を三例、掲載させて頂くことにしました。
⦿ 以前も掲載させて頂いたことのある、Tソラちゃん
前回は、大好きなお母さんの体調一つで、尾っぽの腫瘍が大きくなったり小さくなったりする事を書かせて頂きました。
実はこの春、睾丸にも腫瘍ができていて、大きくなっていた事に気付きました。
ですが心臓が悪い為、いろいろ悩まれた末、手術しないで鍼灸治療で良い状態を保ちたいとおっしゃいました。
ソラちゃんは、お母さんがいらっしゃる時は常に元気で食欲もあるんですが、大好きなお母さんが数日ご旅行に出かけたりすると、鍼灸治療をしていても腫瘍が大きくなってしまいます。そしてお母さんがお帰りになるとまた小さくなるんです。それを何回も繰り返しているんですね!!正しく心の状態と身体は繋がっているんですね・・。
⦿ Tルーシーちゃん
口腔内腫瘍で、二年前から通って頂いています。
鍼灸治療の他、手作りご飯とご自宅でお灸をして頂いています。
約二年ほど、腫瘍はさほど大きくならずに同じ大きさを保っていました。
ですが、この夏ご自宅をリフォームすることになり、数か月間ご親戚のマンションを間借りすることになりました。
そのマンションのワンちゃんが、ルーシーちゃんんとお友達になれなくて、事あるごとにルーシーちゃんに吠えていたらしく、慣れないマンションとその子の鳴き声でルーシーちゃんはかなり小さくなっていて、毎日の眠りも浅いとのことでした。
間借りしてから、二か月めのある日、口の中の腫瘍を見て一同びっくり!!
なんと・・・かなり大きくなっているではありませんか~・・・!!
やっと先日、元のお家に戻れましたので、これから腫瘍が小さくなってくれると良いんですが・・。
とにかく飼い主さまと私の連携プレーで頑張りたいと思います。
⦿ Sももちゃん
もともと胃腸が弱く、ちょっとした事で、直ぐに下痢をしたり食欲不振になってしまう子でした。
鍼灸治療を続けていくうちに、軽いストレスでは下痢も食欲不振も起こさなくなって、Sさんも喜んでおられました。
が、そんな折、Sさんの友人が数日家を空けなくてはならない事になり、Sさんは人助けと思って、その方のワンちゃんを数日預かりました。
一日、二日と・・時間の経過に伴なって、ももちゃんの便は柔らかくなっていったそうです。
そして、そのワンちゃんが帰って二日ほどして、ももちゃんの便は固まって、いつもの良い便になったそうです。
◇◇◇
※『心身一如;心と身体は繋がっている!!』ということは、中国では3千年前の古書『黄帝内経;こうていだいけい』という本に書いてあります。
西洋医学では、臓器は孤立した一つのパーツという見方を長い間してきました。そして「心と身体は繋がっていてお互いに影響しあっている。」という事を医療の中に積極的に取り入れるようになったのも、西洋医学の歴史上浅いのではないかと思います。
もちろんそれが故に、一つの臓器を一つのパーツとして、またミクロとして、臓器や細菌の研究を深くやってきたからこそ、現代西洋医学はここまで発展し、手術・薬品・検査がどんどん進み、多くの命を助けることが出来ていることは紛れもない事実だと思います。
中医学も西洋医学もどちらも優れた面を持っています。
ですので、手術が必要な場面は当然あるでしょうし、『薬膳』『気功・呼吸法』など、予防的な中医学の考えを取り入れて、病気にならない工夫をしながら、なんとか手術をしなくてもいい場面であれば、針治療、お灸、推拿(すいな;身体のツボや経絡を指や手で刺激して病気を改善する方法)など、身体に優しい治療を取り入れるのもお勧めですよ!