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狂犬病について

今回は、日本ではワンちゃんで毎年予防接種が義務付けられている、狂犬病についてのお話です。

〈狂犬病の現状について〉

世界では、ほとんどの国で今なお見られる病気です。
発生が見られない国は、日本を含め、10ヶ国ほどしかありません。
年間55,000人もの人が命を落としていると報告されています。

日本では、ここ50年ほど、国内感染での人・動物での発生の報告はありません。
しかし、海外に滞在中の日本人が、狂犬病の犬に咬まれて感染してしまった例は近年でもあります。
一番新しい報告では、2006年フィリピンに滞在中の日本人が、狂犬病の犬に咬まれて感染し、日本に帰ってから症状が出て死亡した例が2例あります。

今後も、海外で感染した人が帰国後に発症する可能性や、近い将来感染動物が日本に侵入する可能性は否定できません。(特に、北海道の離島に来る外国人の方が、舟で犬を持ち込むことがあり、感染犬の侵入が危ぶまれているそうです。)

〈狂犬病の感染と予後について〉

狂犬病は人を含むほとんどの哺乳類に感染する人獣共通感染症です。主に感染が認められている動物としては、犬、アライグマ、スカンク、キツネ、コウモリなどが挙げられます。

犬の感染経路は、ほとんどが狂犬病感染犬による咬傷からの感染です。
潜伏期間は3~8週間で、症状としては、攻撃的になり、常によだれが出て、けいれんや麻痺症状も出ます。
治療法は無く、ほぼ100%死亡します。

人の感染経路も、ほとんどが狂犬病感染犬による咬傷からの感染です。
潜伏期間は1~3ヶ月くらいですが、まれに1年以上のケースもあります。
症状としては、頭痛、発熱、強度の不安感、恐水症(水が恐い)、恐水症(風を感じると体が痛い)、けいれんや麻痺症状が出ます。
発症を予防するためのワクチンは有効ですが、ひとたび発症すると治療法は無く、ほぼ100%死亡します。

現在、日本の犬の狂犬病の予防接種率は50%を満たないと報告されており、これは狂犬病の流行を阻止できる予防率70%を大きく下回っています。
狂犬病が日本に侵入して流行してしまった場合、想像できない程のパニックが起こると考えられます。

「狂犬病は過去の病気」と捉えがちですが、実際はいつまた日本に侵入してくるか分からない、とても恐い病気です。
毎年、動物病院またはお近くでの集合注射での予防接種をお願いします。

2011年 6月 01日掲載
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