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その⑱「不眠症(痴呆による夜鳴き)の子に効くお灸など・・その1」

よもやま話その⑰で書きました様に、歳を取ると人も動物も交感神経優位になる為、若い頃より短気になる傾向にあります。
人は‟意識”によって短気にならないように自分の気持ちをコントロールしたり、深呼吸や瞑想・ヨガ等によって交感神経と副交感神経のバランスを整える工夫が出来ます。
ですが、同居動物たちはそれが出来ません。

今日は、「高齢の動物と暮らしている飼い主様から受けたご相談」の中で一番多い「痴呆による夜鳴き」について書かせて頂こうと思います。

特にここで言う「痴呆による夜鳴き」は、猫ちゃんよりもワンちゃんで多く見受けられます。
10歳を過ぎると、多くの子はそれまで活動的だったのに、夜のみならず昼もよく眠るようになります。
更に何年か経つと、昼夜逆転してしまい、夜中ご家族が就寝している時間に突然起きて、鳴き叫ぶようになる子がいます。 どこか身体に痛いところがあって鳴くのではなく、高齢になってから‟痴呆の一症状”として、理由もなく夜中に鳴き続けることがあるのですね。
飼い主様が数十分~数時間抱いたりすかしたりすると納得して眠りに就くこともありますが、それが長期間続くと、殆どの飼い主さまは疲労困憊してしまいます。

一昔前までは睡眠導入剤しか選択肢がありませんでしたので、鳴かなくなるまで服用させるとなると副作用と背中合わせになり、いつもコントロールの難しさを感じつつ処方していました。
今は身体に優しいサプリメントが数種類ありますので、それらを以下にご説明するお灸と併用してなるべく夜寝てくれるように持っていきます。(勿論全頭の子が夜から朝まで熟睡できるようになったわけではありませんが、かなり効果はありました。)

さて、ここで本題に入りますね。
東洋医学(中医学)では、全ての自然や生きている私達の身体などを「陰」と「陽」の二つに分けて考えることを原点としています(陰陽論と言います)。
そしてこれらはお互いに対立しながらも影響しあって平衡状態を保っています。
図の通り、①自然界において、昼(朝)は、陰陽でいう「陽」であり、夜(夕)は「陰」になります。

東洋医学(中医学)

よもやま話・その⑰でもお話した通り、人も動物も歳を取ると副交感神経(陰陽で分けると陰になります)の反応がぐっと減って来て、交感神経(同じく陽)が優位になります。つまり「陽が多い」という事ですね。

夜は「陰」ですから、陰陽のバランスが取れている動物は、夜になると寝るのが普通です。
ところが、高齢の動物は「陽」が多い為、陰である夜中に目が覚めてしまうんですね。

そこで、最近特に飼い主様にやって頂いて、功を奏しているのが、寝る前の「ハチミツ」と「百会・腎兪」のお灸です。特に下半身不随の子はそれが故に気が上に上っているので(上実下虚と言います)、気を下げる意味でも百会の後腎兪のお灸をするとより効果的です。更に同居犬や同居猫とのストレスがある子には「まこも」も一緒に服用することにより、効果が上がっているように思います。

  • ハチミツは「陰」の食品ですので、陰である夜にハチミツをティースプーン一杯~ニ杯(動物の身体のサイズによります)飲ませることにより、身体の中で「陰」が増えて眠りが深くなります。
  • 「百会」のツボは、頭頂部を左右半分に割った真ん中のラインとワンちゃんのお耳を頭の上にひっくり返して両耳の先が重なったところとの交点にあります。
    「百会」のお灸は回陽作用(陽気を回す作用)がありますので、頭に気が上がっていて且つ「気」の巡りの悪い、足先の冷えた子の気(血)の巡りを良くします。(因みに人では痔にも効きますよ!)
    但し、癲癇(てんかん)を持っている子はなるべく短時間にして下さいね。
  • 「腎兪」(第二・第三腰椎棘突起の両側)は、補腎効果(腎を補う)があり、冷えた身体を温め百会同様下半身の血流を促して腰痛にも効くので、下半身不随の子は「百会」のお灸の後で「腎兪」にもお灸をして頂くと、より有効かと思います。

長くなりましたので今日のところはこの辺にして、次回は「まこも」やその他お勧めの「サプリメント」等についてお話しますね!
少しでも高齢のワンちゃん猫ちゃんの不眠症のお役に立つことが出来たら幸いです。
それではごきげんよう~(^^)/

2015年 12月 10日掲載
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