その⑮「ドッグかっさマッサージについて」
毎年お盆の最終日には、私が通っている日本獣医中医薬学院主催のセミナーがあります。
午前は当学院の基礎系講師池内公先生の授業があり、午後は外部から講師をお招きして、なかなか聞くことのできない興味深いお話をお聞きすることが出来ます。
今年は8月16日に東京でそのセミナーがありました。
午前の講義の後、午後はなんと、数年前から我が国で大ブレイクしている『美容かっさマッサージ』の第一人者である島田淑子先生をお招きして『ドッグかっさマッサージ』の講義がありました。
因みに人のかっさマッサージは2000年ほど前から中国で ‟民間療法として”普通に行われていたそうですが、いつごろからか治療のみならず美容の為にも使われるようになったそうです。
もともと島田先生は美容関係のお仕事をしておられ、且つ鍼灸師でもあるので、かなり前からかっさの勉強をしてらっしゃいました。
そして単身中国に渡ってかっさマッサージの勉強を積まれた後、人のかっさマッサージを日本に広め、この度、ワンちゃんにも簡単にできるかっさマッサージをご考案されて、ご本を執筆なさいました。(写真参照)。
簡単に言わせて頂くと、「ドッグかっさマッサージ」とは、かっさを使ってワンちゃんの経絡(けいらく)などをこすることにより、人や動物の身体を構成する「気」と「血(けつ)」と「津液(しんえき)」(但しこの本では分かり易く‟水”と表現してあります。)を整えて、ワンちゃんの身体を健康に保つのを目的としたもののようです。
因みに私は当院での治療で、初診時から飼い主さまにお灸セット(もぐさの棒灸とそれを立てる棒灸スタンド、赤い布)を購入して頂き、治療の日以外はご自宅で飼い主さまにお灸をして頂いています。
鍼灸の治療は脉の変化を診ながら行うのですが、ご自宅でお灸をして頂いている子達の脉は、治療中の脉の反応が良く、治療もよりスムーズに進みます。
そして改善していくうちにだんだんに治療間隔を空けて行くのですが、次の治療までの間いい状態を保つことが出来ますし、再発の予防にもなると思います。(全頭再発しないとは言いませんが、かなりの率で再発予防になっていると思います。)
ただ、お年寄りで血の巡りが悪くて夏でも身体が冷えている子は、ご自宅でのお灸を喜んでくれるのですが、若い子やお年寄りでも暑がり屋さんの子は、夏のお灸を嫌がる傾向があるのですね。
それで最近はそういう子の為に、飼い主さまに簡単な推拿(すいな)をお教えして、お灸を嫌がる子には代わりに推拿をして頂いています。(推拿とは、動物の皮膚を推したりさすったりつまんだりすることによって、その反射効果により関節や内臓の病気の治療や予防をするものです。)
この度、島田淑子先生の『ドッグかっさマッサージ』の講義を受講してみて、「かっさマッサージ」は、方法は違っても、お灸や推拿同様、簡単で且つ有効な病気の予防法ではないかと思いました。
上でも言いました通り、‟鍼、お灸、推拿、かっさマッサージはどれも人や動物の「気」と「血」と「津液」を整えて身体を健康の方向へ持っていくものですので・・・。
ところで、「ツボ」と「経絡(けいらく)」ですが、簡単に言わせて頂きますと、「ツボ」は身体の悪い所の離れたところにある治療点みたいなものです。そして「経絡」ですが、ツボが東京、横浜、名古屋という大きな駅だとしたら、経絡はその線路みたいなものだと思って頂くと分かり易いと思います。
鍼灸は、経絡やツボに直接施術をしますが、『ドッグかっさマッサージ』は、かっさを使って皮膚(経絡等)をさすることにより、血流やリンパの流れを良くするだけでなく、ツボの場所を知らなくても、ツボも一緒に刺激をして健康に導きます。
お近くの書店に島田先生のご著書があると思いますので、宜しければ参考にして頂いて、ご家庭の動物たちがより健康になってくれたらと思います。(当院の受付にも本とかっさは置いてあります。)
追記;世間は狭いというかもの凄いご縁の深さを感じますが、学院校長の山内健志先生が動物の鍼灸治療と共に人の治療も出来るようにと、東京の鍼灸専門学校に行かれた時にそこで教鞭を取っておられたのが島田先生のご主人だったそうで、そのご縁でこの度この本の「推薦の辞」を山内先生がお書きになりました。
そして当学院の薬膳講師の堀内香先生が監修をされています。