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犬・猫・ペットの治療と予防│リリー動物病院

『ツボと経絡(けいらく)の話・・回陽作用より』

前回のよもやま話『認知症』で、頭頂部の真ん中にある「百会;ひゃくえ」というツボについて書きました。
「百会」というツボは、精神安定作用や頭をすっきりさせたり、頭痛、めまい、鼻づまり、てんかんなどに効く他、脱肛や子宮下垂という病気にも効果があります。
前回のよもやま話で、「百会にお灸すると回陽作用があるので身体全体が温まる」と書きました。

鍼灸などの中医学は、『気の理論』と言って、「全ては気から始まる。気は最小単位のものであり、万物の基になるものである。目には見えないが必ずある。」ということと、「気を含めた全てのものを陰と陽に分けて考える。」という考え方などがベースになっています。
ですので、気も陰と陽に分けて考えた場合、これはイメージして頂けたら分り易いと思いますが、温度に例えたら、陰は冷たく陽は温かい。ってことになりますよね!? なので陰の気は冷たく、陽の気は温かいということになります(それぞれを陰気、陽気と言います)。
このことを一旦、覚えといてくださいね。

さて、「回陽作用」とは、今お伝えした陰陽でいうところの「陽気を回す作用」という意味です。

では「なぜ、“百会”というツボにお灸をすると身体が温まるのか・・。」ということについてお話しますね!

それをご説明するには、ツボと経絡(けいらく)の話をすることになります。
まず、ツボというのは、体の表面にある特殊な作用点(または反応点)のことを言います。
作用点というのは、体の深部の内臓や骨、器官などが異常を起こした(病気になった)時、体の表面のあるツボを刺激すると、そのツボと繋がっている深部の内臓等に作用して、その異常(病気)を治癒に導くことが出来るんですね。

また逆もありきで、内臓や骨など体の深部に異常があると、その異常のある臓や骨と繋がっている体の表面のツボを軽く刺激するだけで、痛みを感じたりするんですね。
A.体表面のツボと体の深部の内臓等とを繋いでいるのは経絡(けいらく)です。
そして経絡はそれらを繋ぐだけではなく、
B.ツボとツボも繋ぎます。

例えば、Aの例として、胃が痛む時に胃から離れた足の膝の下の足三里(あしさんり)というツボを刺激すると、胃の痛みが緩和されます。
Bに関して言えば、一つの経絡を新幹線の線路に例えるなら、東京・品川・・新大阪など、その線路の主要な駅はツボに当たります。なのでいくつものツボが経絡上にある。もしくはツボとツボは経絡で繋がっていることになります。

私達人間も犬や猫などの動物にも、「12本の経脈(けいみゃく)」と「2本の経脈」の合計14本の経脈という線路が体中にあります。そのうちの「12本の経脈」は、実は独立したものではなくて、一本と一本の端どうしが手や足の先でくっついていて、一本の長い輪っかになってるんですね~!
因みに先ほど言った「2本の経脈」のうちの一本は督脈(とくみゃく)、もう一本は任脈(にんみゃく)といいます。

ここで「経絡」についてもうちょっと詳しいお話をさせて頂こうと思いましたが、その話を持ってくると、話がぐっちゃんこになるので、敢えてここではしないことにしますね。
「経絡」の話はまたの機会にさせて頂きますね!

さて・・っと、ここまで読んで下さった方、どうもお疲れさまでした(^-^;。
やっと、ここで本題に入ることができます(*^^)v!

一番最初に言った頭頂部の真ん中にある「百会(ひゃくえ)」というツボですが、「百」は多種多様であること、「会」は、会うという意味です。このツボは、頭にあり、そもそも頭は「諸陽の会」と言われるくらい多くの陽の気が集まるところです。
そして、ここ「百会」は、なんと5本の線路(経絡・経脈)が交わるところなんですね。
多くの経脈が交わることから「百会」という名前がついたんです。
もともと“経脈は血や気が流れている線路”なので、その5本の経脈が交わる「百会」にお灸をすると、そこで交わる各々の経脈の血や気の巡りが良くなって、身体全体が温まるんですね。

なので、「認知症」のように、頭に気や血が上って足先が冷えるような子には、「百会」をお灸して、なるべく早く温かい陽気を回して身体全体を温めてあげることがとっても大事なんですね。
「認知症」など歳を取った子は「上実下虚(じょうじつげこ)」の状態にある。と言います。これは上半身はのぼせて熱くなり、下半身や手足は冷たくなっている状態のことです。なので「認知症」に限らず、そういう状態の方(私がそうです)にも「百会のお灸」はお勧めです。

だんだんと春めいて来ましたね!
お日さまが沈むのが遅くなり、外で遅くなるまで遊んだ子供時代の感覚が蘇ってきて、とっても嬉しくなる今日この頃です。ですが、極端な乾燥とともに花粉も飛んで来るので、多くの動物さんや飼い主さまたちが痒がっているのを見ると、お気の毒になります。
加湿器を置いたり、必要なら目薬をさしたり、お耳を痒がっているようならケアをしたり・・・そして皮膚全体を痒がるようならマコモ風呂に入れたりマコモを飲んだりして・・・何とかこの季節を乗り切って頂けたらな~と思います。
それでは皆さまごきげんよう~(*^_^*)。

◇◇◇

病院で使っているお灸~病院で使っているお灸~

左側の容器に入った4つのもぐさのお灸のうち下二つは、私が治療中に一番よく使うお灸です。もぐさを左手の指で形作って動物さんのツボに乗せてお灸します。

上2つは普通に薬局でも売っている「せんねん灸」です。
これらは動物さんの熱さに対する感度や性格、時間等で使い分けます。
右側上にある三本の棒状のものは、もぐさを棒状にしたお灸(棒灸)です。

ご自宅で施灸する時はこれを使って頂いてます。右側一番下は、上の棒灸を茶色い棒灸ストッパーに刺してセッティングしたものです。この棒灸に火をつけて、動物さんの体のツボに赤い布を置き、その上にこれを乗せます。5分~10分施灸します。
なぜ赤い布を使うかと言うと、赤は熱を通しやすい性質を持っていることと、遠赤外線効果もあるからです。

※2018年8月16日の「よもやま話」にも書きましたが、一番上の炭のお灸は時間経過とともにどんどん熱くなるのと、落ちた灰にも火が残っているので動物さんに火傷をさせないよう、十分注意して頂きたいと思います。

2019年 2月 25日掲載
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