その⑰「高齢の人や動物は切れ易いってホント?!①」
今日は少し東洋医学から外れますが、次のよもやま話と関連するので、今日はこのお題を選びました。
最近よくテレビで 「切れるお年寄り」が話題に上ることがありますよね。
先日処方箋を扱う薬局にお勤めの飼い主さまが、薬のミスがないようにチェックしていたところ、それ程お待たせしていないのに、ご高齢のお客さまに「一体いつまで待たせるんだ(怒)!!」と、すごい剣幕で怒鳴られて、驚いたとおっしゃってました。
こういう話をマスコミでオーバーに取り上げられていたりすると、少し嫌な気もしますが、実際私も長い間臨床をしていて、患者さんとして連れて来られる高齢のワンちゃんネコちゃん達を見ていると、「切れる!」ところまでは行かなくとも、「若い頃と比べると少し短期になったかな~?!」と思うことが結構あります。
例えば、若い頃は温厚で何でも飼い主様の言う事を受け入れてくれていた子が、高齢になってからは「同じ子??」と思うぐらい自己主張が強くなったり、文句ばっかり言うようになったりすることがあるんですね。(ワンちゃんも猫ちゃんも文句は言いますよ(笑)。)
「それは、どこから来てるんでしょう・・・?!」ということですが、実は人でもよく言う「自律神経のアンバランス(自律神経失調)」から来ていることが多いのです。そして、その「自律神経のアンバランスはどこから来るのか?!」と言えば、加齢が原因でそのアンバランス状態になるのですね~!
《自立神経とは・・・》
下図の通り、①交感神経と②副交感神経を合わせて自律神経と言いますが、そもそも自立神経は体制神経と違い、自分の意思とは全く無関係にその場の状況に合わせて体の機能を調整するために働きます。
※↑図をクリックすると拡大します
例えば、ワンちゃん・ネコちゃん達が家で飼い主さまとゆったり過ごしていたところに、自分の大嫌いな動物や人が突然来た時に①の交感神経が活発になります。
副腎髄質からアドレナリン(神経伝達物質)が分泌されて交感神経を興奮させるのですね。
脈拍や呼吸数が増加し体温も上がり、予想されるべく激しい活動に自分の身体を備えるわけなんですね。・・・それで「闘争と逃走の神経」と言われたりもします。
それに引き換え②副交感神経は?というと・・・
睡眠や休息時に活性化し、脈拍や呼吸数の低下など身体をリラックスさせて休息に適した状態にします。
《自律神経のアンバランスとは・・・》
健康な状態というのは、これら相反する二つの神経活動の綱引きのバランスが保たれているので、身体は活動と休息のそれぞれに適した状態に移行できるようになっています。
しかし、何らかの理由でそのバランスが崩れてしまった時に問題が派生します。
例えば、休息して眠りにつきたいのに、交感神経が過剰に活性化する為興奮して眠れなかったり、逆に副交感神経が活性化しすぎると、活動しなくてはならない状況下にも拘わらず無気力・無反応になったりします。
通常は、人では12時間交代で交感神経と副交感神経が入れ替わると言われています。(昼間は交感神経、夜は副交感神経が優位になります。)
自律神経のアンバランスの原因は加齢であることが最近よく言われるようになりましたが、それ以外では精神的なストレスで脳を休める暇がなかったり過労でもその一因になります。
《加齢による自律神経のアンバランスについて》
中医学では、自然界と共に私達の身体も自然と一体になっていると考える為、「陰・陽」のうち、昼を「陽」と言い、私達の身体が交感神経優位の状態も「陽」、そして夜は「陰」であり同じく副交感神経優位の状態も「陰」ととらえます。
それは後々お話するとして・・・ここで少し?ショッキングな事をお伝えしますね!
年を取ると、自律神経のアンバランスが起こる為、西洋医学の学術論文では、「どちらかと言うと交感神経が活発(優位)になり、副交感神経が低下している。」という報告が多いです。
ある発表によると(人間でのデータ)では以下の通りに副交感神経が減少していると言われています。
・20歳代・・・減少開始
・30歳~40歳代・・・減少促進
・50歳代・・・ほぼ消失
・60歳代~・・・0に近い状態
・・・・と言うことになると、10歳を超えた老犬や老猫が切れ易くなるのも無理ないことだと思いますよね!10歳と言えば、私達人間に例えると60~65歳ですからね。
今日はここまでにしますね。
次回は、副交感神経が殆どなくなってきて交感神経優位になった動物たちに工夫できることをお伝えしたいと思います。
今年は暖冬だと思って喜んでましたら、ここ一週間程めっきり冬らしくなりましたね!
皆さまくれぐれも体調を崩されることのないよう、お気をつけ下さいね(^^)。