エキノコックス症について
今回は、「エキノコックス症」についてのお話です。
先日、愛知県阿久比町内の山で捕獲された野犬から、エキノコックスという寄生虫が検出されたとのニュースがありました。
エキノコックスとは、もともとは北海道のキタキツネにいる寄生虫の名前です。
キツネや犬は、エキノコックスに感染しているネズミを食べることによって感染しますが、キツネや犬にとってはほぼ無害の寄生虫です。
問題となるのは、人に感染してしまった場合です。
人の場合、エキノコックスに感染したキツネや犬の糞便に汚染されたものを偶然飲み込んでしまうことによって感染します。その多くは、野山に行ったときに、山菜や手指についた虫卵が口から侵入して感染してしまうケースが多いようです。
症状が現れるのは感染してから10年前後経ってからです。人の症状としては、疲労感・黄疸・右わき腹の痛みなどです。現状のところ、進行を抑制する薬はあるものの、完治には患部の切除の他なく、放置すれば死に至る、恐い病気です。
予防としては、
・野山から帰ったときはよく手を洗う
・衣服や靴についた泥はよく落とす
・沢や川の生水は飲まない
・山菜や野菜、果物などはよく洗ってから食べる
・犬を放し飼いにしない
などです。
こういった適切な予防ができれば人への感染は心配ないので、特に山に出かけられる機会がある方は、ご注意してくださいね(^^)
【エキノコックスの感染経路】
担当:獣医師 加藤