QOLという考え方 ~最後まで同じような毎日を!~
皆さんは“Quality of life(クオリティ オブ ライフ)”という言葉をお聞きになられた事はありますか?
この言葉は QOLと略され、日本語に直訳すると“生活の質”“生命の質”となります。
簡単に生活の質、と言ってもあまりピンときませんが、「高齢期や病気になってもなるべく今までと同じような毎日を送る」と考えてみると良いのではないでしょうか。
QOLを保つためには、病気の完治を目指す事はもちろんですが、時には痛みや食欲の低下、二次的に起こる病気(感染症や床ズレなど)を予防・改善させる治療が主となる時もあります。
例えば乳腺腫瘍が自壊(内側からはじけてしまう)し、膿んだり蛆が湧いてしまった…でも手術はリスクが高すぎて出来ない…
こうした場合でも抗生物質の投与や特殊なペーストなどを使い、痛み・痒み・匂いなどをかなり改善させることが可能です。
『病気を治すことを目指す事から頭を切り替え、、最後まで病気とうまく付き合っていくことを目指す』
こうした治療はホスピスやプライマリーケア、緩和ケアという言葉の方がイメージしやすいかもしれません
病気の種類によっては、残念ながら完治させる事が難しかったり、不可能だったりするものもあります。そのような場合、当院では“QOLを保つ事”が特に重要であると考えて、西洋医学や東洋医学にこだわらずに診断・治療を行えるように努力しております。
また、ワクチンやフィラリア症の薬など、予防法の充実・徹底により、ペットの寿命も随分長くなりました。シニア世代に入った子にとっても、QOLの維持がとても重要になってくると思います。
私達が診させて頂いている動物さん達は、言葉を話す事が出来ません。その子が最も強く望んでいる事が何であるのか、一番よく理解できるのは飼い主さんなのだと思います。
数ある治療法の中からその子や飼い主さんにとって色々な角度から見てベストな治療法を一緒に探し、様々なお手伝いをさせて頂くのが私達の務めだとも考えております。
小さな事でもかまいませんので、診断・治療についてのご不安やご希望などがございましたら、お気軽にお伝え下さい。
文責:獣医師 水出