飼主さまから学ぶ事Ⅲ
Tさんは、8歳の高齢ウサギさんのオーナーであり、瞳の大きな、美人でとてもチャーミングな方です。
4年程前から、たまにご来院下さっていたのですが、去年の6月までは出産の為に退職した水出獣医師が主に診せて頂いておりました。
その後は私が診せて頂いているのですが、慢性肝疾患なので月に一度、血液検査と診察の為にお見えになります。
娘さん達も含めて、皆さまとてもこのウサギさん(クロちゃん)をこよなく愛しておられます。
いつだったか、クロちゃんの事がとても心配で、診察中に涙されていた事がありました。
でも、今はクロちゃんの状態もかなり落ち着いてきましたので、いつも素敵な笑顔でお話してくださいます。
先週の診察の後で、私が「クロちゃん、前から気になっていたんですけど、前足が年のせいか結構変形してますよね。」とお伝えしましたところ…、意外なご返事が返ってきました。
「あっ、これ、このままでいいんです! 私も娘達もこれもこの子の個性だと思ってますから!!」と言うことでした。
「……。。。」
私は、直ぐには言葉をお返し出来ませんでしたが、思わず「な~るほどね~…。。。」と唸ってしまいました。
私達(と言うより私は…ですね。)は、どこか一つ悪いところがあると、それに執着してしまい、その部分がいつも気になってしまいます。
それは、病気だけに限らず、私の子育てにしてもしかり、人間関係にしてもしかりです。
ですが、「それも個性の一つなんだ。」とある意味大きな心で捉えると、随分自分自身楽に生きる事が出来るんですね。
勿論、一見大した症状がなくとも奥に重大な病気を抱えている場合もありますので、それをお伝えして行くのが私達の務めでもあるのですが、Tさんのこのお言葉をお聞きして…「こういう風に、おおらかに構えて、バランス良く生きるのって、大事だよな~…!!」と、とても感心してしまいました。
「先生、いつも元気ですね~!」なんて飼主さんに言われると、つい嬉しくなり、「はい!私達は元気を売る仕事でもありますから・・!」なんて言ったりしてますが、実はこうして、飼主さんから色々な事を教えて頂いたり、元気を頂いたりしているんですよね…。
Tさん、本当にありがとうございました(*^_^*)!