最近思うこと… 患者さんに対する医者や獣医の一言の重さ
かれこれ4年程前になりますが、宝石光線療法(テレセラピー)を自分の病院の治療法の一つとして取り入れた年に、宝石光線療法の発明者のお孫さんであり、インドで第一線で活躍なさっている医師 A.K.バッタチャリア博士の講演をお聞きしました。
その時の「医者は患者を脅しすぎている。不安を抱えて来院している患者さんの気持をあおる様な発現はすべきではない!」と言う言葉がとても印象に残りました。
確かに、まだ起きてもいない出来事をあたかも直ぐ起きるような口調で言う医師(獣医師)や、これは末期癌患者のご家族の方からお聞きしたのですが、その病気と闘っている患者さんを目の前にして「今の段階では、すべき事は何もありませんから・・・。」と医師に言われたそうで、その日からその方のお兄様はどんどん悪くなられて死期が却って早まったそうです。
バッタチャリア医師は腫瘍の患者さんが来院した時、「これは単なるデキモノだよ!」と言われるそうです。
でも実はこれには裏話があって、彼はサイキックなところがあり、患者さんを目の前にすると末期の場合、何日に亡くなるのかが、直ぐ分かるらしいのです。
なので、余計な情報を入れずに直感でその方に必要な情報だけ入れる事が出来るんですよね。それで、患者さんは安心して病気と闘ったり死を迎える事が出来るようです。(彼がこの特殊な能力を持っていると言うことは、たまたまお互いの共通の友人がいて、後になって私は彼女からその事を聞きました。)
それは置いといて・・・バッタチャリア医師の様な特殊な能力を持っていない私は、重症な動物の飼い主さんへの説明はいつも、“どうしたら落胆する事なく、その病気と闘う様に出来るか。”と言うところで迷ってしまいます。
なぜなら、私はいつも 「思うように転がる・・・。」と思うところがあるからです。
これは「必ず思い通りになる。」と言う事ではありませんよ。
でも、試験でも試合でも(そう!オリンピックしかり、今日の国別対抗野球大会もしかり・・・)、そして私達の仕事でも・・・「ダメじゃないか?」と思った時は殆どがダメな結果が出たりします。
「殆ど気持がそっち(マイナスの方)に向かっているのにも拘らず、結果は良いほうに向かった!」と言う事はあまりないんじゃないでしょうか?
と言う事は、飼い主さんに「こうなるかも知れない!」と悪い情報をお伝えすると、そっちの方へと飼い主さんの気持が進んで行って、却って動物もその気持を読み取って、病気の進行が早まったりしないか?!と言う不安が出てきます。それが果たして本当に飼い主さんや動物にとって良い事なのだろうか?と思う訳なんですよね・・・。
でも、たとえ悪い事でも、「こうなるかもしれない・・。」と言う情報をお伝えするのも私達獣医の仕事の一つでもあります。
特に死期が近いと思われる子や重症の子は飼い主さんのお気持を考えると本当はお伝えしたくないのですが、でも敢えてお伝えしなくてはならないとも思います。
ですのでそういう時はいつも、「難しいな~・・・。」と思ってしまいます。
それで最近は、予想されうる悪い事態を一旦飼い主さんにお伝えしてから、「今の病気でこうなる可能性はあります。でも、現実を受け止めつつ、今現在がそうなってる訳じゃないので、悪い事ばかりを考えるとそっちの方に転がって行く事ってありますよね。なのであまり意識しすぎずに一緒に頑張って行きましょう!」とお伝えする事にしています。
久々のコラムでしたが、何だか、また長くてくどくなってしまいました・・・。(反省)
最後までお読み下さいましてありがとうございました。次はもっと短くて読み易いコラムを書こうと思います。
春、、、春ですね~・・・。
お隣の畑に植えられている梅の花を愛犬(ムサシ)の散歩で毎日眺めては、ふと、心を和まさせて頂いています(^^)V。